beatle さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
全24話の視聴で氷解した主人公の異常な正義感
ディーン版のセイバールート見終わった後は、「なんだこの主人公の性格は、全く持って現実に剥離した頭の中お花畑の子供は」だなんて思ってましたが、ディーン版フェイトを視聴後、ゼロを観終り、改めてフェイトの凛ルートを見直すと、なかなかよくよく出来てました。
なにしろ戦闘がカッコイイ。ガチンコの闘いは本当に打ち合ってる感じが出ていて、ファンタジーってこんなものだったんだなって思い出させてくれます。
小説の中の一文で「激しい猛攻を紙一重で凌ぎきり」だなんて言葉の羅列が有って頭の中で想像してみた戦闘応酬が、目に見える形での視覚の下でハッキリと明確に提示してくれているのです。凄いッ!!て思わずにはいられません。
特にキャラクターの持つ必殺技に値する特殊能力発言の描写には目を見張るものがあります。アニメでなければ不可能なおもしろさがここにはあります。ヤリを持ったキャラクターが槍を投げる必殺技出した時、主人公がそんな大技である必殺技をいかに防ぎきったのか。致命傷を避けてやり過ごせたのか。十二分な描写には万人の納得のいく過密な描写が必要であり、視聴者はそれを期待して、このアニメは見事にその期待に応えています。
よくアニメ通の言う、作画がどうたらって言いますが、本作レベルの最高品質を見れば、それがいかにアニメにおける作画の重要性がアニメという代物にとって大切なものか。よくよく理解できました。
フェイトってどういうのなん?タイプムーン作に触れられていない今更な方は、とりあえず第0話のオープニングだけでも観て、視聴するか否かの判断を下して欲しい。
美しい美術背景に、ファンタジーアニメ特有の臨場感、アニメにおける最高の没入感をきっと与えてくれることでしょう。
ディーン版のフェイトをクソミソに貶して最低評価を下した一番の理由である、主人公の自己犠牲、呪縛とさえ言えるレベルの人助けをする理由が本作全編で丁寧に描かれています。個人的に、本作を見てからようやく、主人公のありえない性格に対して納得しました。
これこそアニメ!エンターテイメント!良いアニメかどうかは、一話観終わった後にすぐにでも続きが観たくなるアニメか否かがポイントでしょう。本作はそれでいえば、断然トップに優れたアニメでした。
本作の主人公ともいえるキャラクターが、「何故そんな行動をするのか」「なんでそんな事を言うのか」「なんでそんなに強いのか」ディーン版のフェイトを見て疑問に思った答えが、本作を視聴すれば腑に落ちます。
本作フェイトは元々ゲームでした。だからゲームの名残の複線であったのでしょう。ゲーム版は未プレイの身の上なのでおそらくそうであろうなという推測のもとでの決断になりますが。
実際本作の完成度は非常に高く、見ていても面白いです。面白いのですが、ラストのエピローグで語られるハッピーエンド。
その後の物語の二年後が語られる最後は、原作組としては非常に嬉しい事でしょう。
しかし。{netabare} 原作未プレイ側はちょっとだけもやっとしたとした事があります。「結局ハッピーエンドなのか?」という事です。もちろん、視聴した表面上の視聴後の感覚は勿論幸せな結末です。ラスボスも倒したし、生き残ってます。ですが、本当の意味合いでハッピーエンドなのか。観終わった後に少しだけもやっとしました。理由は最後の最後のワンカット。
ラストの砂漠を渡り歩く孤独な主人公の絵。おそらく、凛とは死別するなり、離別するなりで別れたのでしょう。ラストシーンで一人丘の上で『エミヤはこの選択を永遠に後悔するだろう』だなんてすら言ってのけてます。正直言って、この辺は型月の次回作待ちぐらいなものでしょう。
主人公が目指すのは正義の味方。サイレンでいうSDKなのです。
今回のこの世が滅ぶか否かの戦いは、聖杯戦争は極東の果てで行われたマイナーな儀式扱いされてます。このレベルで。じゃあ世界中にはどんだけヤバイ事があるんだよって思いますが、思えば月姫の世界と共通扱いなので、そういや『ヤバ過ぎるヤツ』なんかもいるよな。とか思っちゃえます。SCPでいうケテルレベルが闊歩してる世界観なのです。
月姫2で端役のエミヤ君の登場に期待せざるをえないという事です。可能性は十分にあります。我々には彼らが製作するまでの時間を、長い忍耐で待つ十分な準備があるのです。{netabare}
本作は万人にも楽しめる内容だと思われます。ゼロが面白かったですが、改めて切継さん視点でのみ、改めて評価を下したら。
フェイトゼロってバッドエンドやん!!!!!!!!!!!!!!
って思っちゃいました。もうゼロ観なくていいです。ゼロは黒歴史。同人誌扱いのファンアニメ。いいね?
つまり何が言いたいかというと、月姫2が出るまで全裸正座をしておりましたが、そろそろ痺れが切れて涅槃の域に到達しそうという事なのです。
リメイクなんてどうでもいい。月姫やりたいやつは、この世の中の危ない橋を渡ってでもやるだろうし、運命がソイツにプレイさせるようにもっていくことでしょう。リメイクなんてどうでもいいんだよ。どうでもね。
え。えっと。本作は素晴らしいエンターテイメントでした。ヒマな方はとりあえず観ましょう。とっつきにくい世界観かもしれませんが、大丈夫です。なにせ主人公が「正義の味方」なのですからね。