Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
91日間の復讐劇…
この作品はオリジナルアニメだったみたいですね。
7年前にマフィアに家族を皆殺しにされ…唯一の生き残りが自らの命を顧みず、ただ復讐のためだけに生きた91日間を描いた作品です。
物語の時代設定は禁酒法時代…マフィア達は禁酒法の網をかいくぐり、秘密裡に酒の売買を行う事で資金を荒稼ぎしていました。
少年の名はアヴィリオ…7年前に家族を皆殺しにされた唯一の生き残りのもとに一通の手紙が届くのですが、その手紙にはかつてアヴィリオの両親と弟を手にかけた犯人の名前が記されていたのです。
その手紙は空っぽだったアヴィリオに生きる意味を与えてくれました。
彼は復讐を心に誓い、昔の故郷に戻ってきて…物語が動いていきます。
復讐ってもし自分の肉親が殺されたら…誰にでも宿る気持ちなんだと思います。
家族は存在そのものも、一緒に過ごした時間も大切にすべきモノだから…
でもこの作品…というよりこの時代の人たちってどこか掛け違えている様に感じました。
この作品を視聴していて、胸が痛む理由が2つありました。
まず一つは復讐そのもの…
確かに悔しいし苦しい…そしてその気持ちはこの先もずっと消える事は無いのだと思います。
それでもマフィアという隠れ蓑の中で人の命を殺めていく事に対して何の希望も感じられないんです。
人って現状を良くするため…或いは希望に向かって行動する生き物だと思います。
でも復讐が欲するのは負のパワーで先が全然見えない真っ暗闇を彷徨っているみたい…
そう、出口が見えず周りを巻き込みながらただもがき続けるだけ…
きっと復讐ってそういうモノなんだと思います。
だから実際に事を起こすには相当の覚悟が必要である事を思い知らされます。
そして二つ目にはマフィアという組織そのもの…
人にとって一番大切にしなければいけない…守るべき最少単位は家族だと思います。
その家族はマフィアで言うところのファミリーではなく、自らを育ててくれた両親…或いは自分の育てている子供たちにほかなりません。
けれど、この作品に登場するマフィアの人が優先するのは、家族ではなく組織としてのファミリーなんですよね。
そして組織のファミリーのためなら家族だって蔑ろにできる…
彼らはなぜそこまでしてファミリーを優先したんでしょう…
そんな時代でも物語の中で小さいですが苦しむ声が随所に散りばめられていました…
その小さな声が拾い上げられた事は結果的に一つもありませんでしたけれど…
だから彼らは本当に全てを無くす事ができる存在である…と言えると思います。
そして仕方の無い事なんですが、この作品における人の命は決して重くありません。
平然と人に銃口を向けて…引き金を引ける人が大勢登場します。
生み出すより失う事の方が多かった時代…
ファミリーと尊厳を一番大切にしていた時代…
そんな時代で少年が引き起こした91日の復讐劇…気になる方は是非本編でご確認頂ければ、と思います。
オープニングテーマは、TK from 凛として時雨さんの「Signal」
エンディングテーマは、ELISAさんの「Rain or Shine」
1クール計12話の作品でした。
復讐を題材にしているので仕方無いのですが、どこにも救いの無い作品でした。
でも真面目に…とても丁寧に作り込まれているので、作品としてのクオリティは決して低くないと思います。
視聴するのに見届ける覚悟を要する作品だったと思います。