oxPGx85958 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
大傑作になりえたかもしれないシリーズ
2017年3月に追記
最初に本作の感想を書いたときは、まだアニメのまとめ見を始めたばかりの頃で、他に比較するものがあまりなかったのですが、あれからいろいろと見てきて、本作を飛ばし飛ばしではあるが見返して思うのは、やはり本作は「ライトノベル原作もの」とか「ハーレムもの」のカテゴリーの中ではずば抜けて優れている、ということでした。第1期に限りますが、本当によく出来ていると思います。
なお最初に書いたときにはぼかしたのですが、本作が持ち得たかもしれないポテンシャルについて。妹の桐乃はゲイのペドフィリアなのではないか。原作を読んでいないので「作者の意図」がどこにあるかは知りませんが、作品の方向性としてあり得たかもしれない道であり、作品中でより強く示唆されていると思われるインセストは、これと比べたらずーっと安全なトピックである、というぐらいにシリアスな問題提起ができたかもしれない、と思ったのでした。
実際、シリーズ中で何度か示唆され、2期の終わりの方で明示される、桐乃が妹ものにハマった真のきっかけは、この物語の理屈としてはつまらないものだ、と感じます。
ただまあ、少なくとも1話の段階では、兄が妹の「ゲイのペドフィリア」的な嗜好を理解して受け入れる、という超リベラルなプロットではあるわけ。これ、日本のアニメ・ファンは麻痺していて分からないかもしれないけれども、世界基準で見れば超大胆な導入だし、そういうのをさらっと見せてしまえる日本のアニメというメディアの美点を体現している、と、部外者としての私は思いますね。
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初稿は2016年10月。
シーズン最後まで見通せただけでなく、何度も声を出して笑ってしまった。面白く楽しい作品。
シーズン2まで見終えて振り返ると、これは「きょうだい愛」の物語。この手の物語は、同性のきょうだいを扱うものは多数思い出せるけれども、異性のきょうだいの話はそんなにないような気がする。突拍子もない連想ではあるが、サリンジャーのグラース家ものを思い出した。
ただそうやって、ここで描かれているテーマをシリアスなものとして考え始めると、やっぱり限界というか底の浅さを感じざるをえない。実際、ここには「普通の小説」では見かけないユニークな主題へと発展しそうなアイデアがいくつか眠っているのだが、それが十分に発展させられていないので歯がゆい思いをする。
もちろんアニメは、また原作であるライトノベルは、そのような主題をシリアスに扱うメディアではないわけで、最初からないものねだりであることはわかっている。でも、特にシーズン2に入るとあらゆる要素が予定調和的に典型的な解決に向かってしまうので、もったいないと感じてしまうのだ。
その意味で、純粋に楽しんで見られるのはシーズン1のみ。シーズン2はそこまでで作られた構築物が壊れていくのを見せつけられている感じ。