剣道部 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
魔法少女モノの系譜の中で
魔法少女モノ、といえば昔は「魔法使いサリー」を始祖とした、いわゆる「魔女っ娘」(変身×可愛い×人助け)モノを指していたと思います(ひみつのアッコちゃん・魔法の天使クリィミーマミ 等)。それが、「美少女戦士セーラームーン」で戦いの要素が加わりバトルものとしての一面ももつようになりました(魔法騎士レイアース・カードギャプターさくら 等)。
「おジャ魔女どれみ」で、その二つのジャンルを合体させ、「プリキュアシリーズ」は、「魔法少女」モノの1つの到達点だったと思います。
しかし、「魔法少女まどか☆マギカ」が公開になってからはその流れが一変。我々アニメ好きにとって「魔法少女」モノと言えば、いわゆる「まどマギ」の様な作風を指すようになりました(新世代の魔法少女モノ?)。
以降、古典的な「魔女っ娘」モノは「プリキュアシリーズ」がなんとか守り、「魔法少女バトルモノ」は「リリカルなのはシリーズ」が。「魔法少女」モノは、「結城友奈は勇者である」など後続する沢山の作品が作られ(ひとつのジャンルを作りあげ)、最近では「ふらいんぐうぃっち」「魔法少女なんてもういいですから」など、(魔法×日常系)の作品も出されるなど、「魔法少女」モノは再び細分化され、群雄割拠の様相を呈していると思います。
さて、本作ですが、所謂「まどマギ」以降の、新世代の「魔法少女」モノに分類されると思います。鬼畜マスコットやら死の恐怖やら、堂々と近い世界観を作っています。ただ、他のレビュアーさんもすでに指摘している通り、序盤を見る限り、どちらかといえば「Fate」に近い展開で、「まどマギの世界観でFateをやってみた」という作品になるのかな? と思いながら視聴していました。
また、前述の「魔法少女モノの系譜」も意図的に使われていて、主人公のスノーホワイトは、所謂「古典的な魔法少女」に憧れをもつ少女で、そんな清く優しい主人公が、否応なく「新世代の魔法少女」モノの世界にのみ込まれていく様子は、さながらこれまでのアニメ業界の流れを揶揄するようだなと思いました。
さらに、「SNS」「固有能力」「男子なのに魔法少女(恋愛要素?)」と、様々な小技も入れ込んできて、なかなか意欲的な作品だな~という印象。今後のシナリオ、特に最終回に期待ですね。
【各話感想】
{netabare}
追記1
今のところ、一番記憶に残った話は、第4話。かなり優秀なシナリオだった思う。裏切り、と一言では片付けられないスイムスイムの感情。魔法能力の対決だけでなく、人間の感情、知力による争い。第2話で死んだネムが活きてくるのも良い。全く作風は違ういますが、「マリワカ」の2話以来の、感心したシナリオでした!
追記2
6話感想→イヤイヤイヤ。急にグロ系にきたけど(汗) 4話で「頭脳戦か?」と思わせときながら、肉弾戦のオンパレード。流石に一筋縄ではいきませんな。あの人がこんなに早く退場とは……。この6話で、一般ウケは完全に捨てた印象。それはそれで潔いですが、商業的には吉と出るか凶と出るか(汗) 私はシリアスは好きですがグロは苦手で、血がどば~とかは生理的にキツい。ただ、4話のシナリオのですでに興味をもってしまってることも含め、ここでやめちゃうと逆にキツいかも(後味悪すぎて)。今後、更に後味悪くなっていく確率高いけどw、最後までちゃんと観ようと思いました、逆に。もうここまできたら一蓮托生です(笑)
追記3
9話目まで。う~ん、とにかく殺人が続いていく展開に辟易としてきた。殺人が装置のひとつとして使われている分にはまだ観られていたけど、それが目的化してくるとな。例えば妊婦の死や首吊り自殺後の尿もれとか、それを見せて何を伝えたいのだろう? とりあえず残酷で悲惨であれば、それで満足なのだろうか? ただ殺すな、と言いたい。
追記4
11話目まで。スイムスイムが光と音を透過できないとか、まあ納得の出来る理由。最強のクラムベリーを最弱のタマが倒すのはまずまず。グロすぎるけど。てかタマの能力、一撃必殺? BLEACHの砕蜂以上のチート能力やん。しかも、正体バレて即殺害とか、鬼畜過ぎ。スイムスイムは、子供ならではの残虐性だったんですね。とって付けたような魔法少女への変身シーンは、過去の魔法少女モノへの嫌みとしかとれないな。
{/netabare}
【視聴終了】
ラストは……う~ん、微妙かな(まあ、どうなっても、仮に全員復活エンドになろうが、スッキリはしないのだが)。
まず、リップルは片腕切り落とされて、なぜ生きているのかな? まあ、アイテム「兎の足」の効果なんだろうけど、じゃあなんでハードゴアアリスは死んだのかが気になる。ハードゴアアリスの死に際の願いが、「生きたい」ではなく、「スノーホワイトに伝えたい」で、今回のスノーホワイトの願いが「リップルに生きていてほしい」だったから? その上で、「生き返す」ことや「体組織の再生」は出来なくても、「止血」程度なら、アイテムの効果範囲内だったとか、そのへんかな?
まあ、ファブの困った声を聞いてファブを倒す、というのは良かった(戦闘面においてスノーホワイトの能力が初めて役にたった)と思うけど、スノーホワイトが何も言わなくても結局、リップルはマスター用の端末を壊していただろうし、やはりスノーホワイトは最後まで空気だったな。なんなら、リップル死亡でスノーホワイトが「ルーラ」でファブを倒しても良かったと思う(原作上の都合かな?)。
Cパートは、スノーホワイトが様々な場所で起きている事件に介入し、それを魔法少女の武力でもって解決しているということ? それが原作での続編になるのかな? なんか、ソレスタルビーイングみたいなことしてるなw
やはり、シナリオ的には第4話を越える回はなかったと思う。
今回の顛末は、「ファブとクラムベリーが魔法の国の選抜試験の内容をねじ曲げ、デスゲーム化させた」ということが諸悪の根元のようだけど、それにも疑問を感じる。であれば、べつにカラミティ・メアリやクラムベリーのような人間性(殺人OKの悪人)ばかりを集めて魔法少女にし、ルールを公表し、堂々と殺し合わせれば良かったのでは? シスターナナやスノーホワイトのような人材(善人)がいないほうが、「より強者と戦いたい」というクラムベリーの希望も叶うし、「普通の試験じゃつまらない」というファブの希望も叶うのでは? それとも、魔法少女になるための素養は誰でももっているわけではないのか? 魔法の国を騙す為にはスノーホワイトのように真面目にキャンディ集めをする人材も必要だったのか? 単に「善人が殺し殺されていく様を見たい」というファブの鬼畜さなのか? よく分からない。そのへん、ファブの意図を知りたかったな。私はてっきり、「棺姫のチャイカ」の様に、あえて多様な人材を競わせる(殺し合わせる)ことで、真の魔法少女に成りうる存在を見つけるって狙いがあったのかと思ってたけど、ファブの様子を見ている限り、魔法少女としてより優秀な人材を発掘することにはさほどこだわっていないし、魔法の国の為にそこまで真面目に働いているわけではなさそうだから、単純に道楽なのかな? だとしたら、やっぱりファブは鬼畜野郎でしたね。
まあ、いずれにせよ、良い意味でも悪い意味でも、記憶に残る作品。続編が出ても、視聴するかは正直迷う。が、結局観てしまうんだろうな。そして、また後悔しちゃうんだろうな(苦笑)