oxPGx85958 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
王道を行く傑作
2018年7月に加筆
本作は私のここ最近のアニメ熱のきっかけを作ってくれた作品であり、私にとっては特別な意味合いを持った作品です。あれから2年が経って、いろいろなアニメを見漁った上での追記。
下記の熱狂的なコメントは第1シーズンに対してのもので、本作の第2シーズンは突出したところのないティーン・アングストものになってしまいました。思えば第1シーズンは、その要素を含みつつも、音楽という大テーマにすべてが戻っていくという構図があったのが良かったのだけれども、ストーリーの都合上、第2シーズンではあれ以上、音楽を中心テーマに持ってくることができなかったのでしょう。ということで、私が勧められるのは第1シーズンのみです。
実際、制作会社の京都アニメーション、監督の石原立也、脚本の花田十輝、演出の山田尚子といった固有名詞との関わりがある作品群の中で、本作の第1シーズンは例外的といっていいぐらいによくできている、というのが実態なように思います。偶然のケミストリーの産物であり、再現性はない。それがこの2年間にいろいろと見た私のとりあえずの結論です。
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2016年10月に初稿
若干の萌えアニメ臭はあるものの、それに耐えさえすれば、一般性のある青春・音楽ドラマとして十分に成立している。この分野での傑作とされる『フェーム』のような映画と並び立つレベルの作品だと思った。
この作品の素晴らしいところは、主人公たちの音楽演奏技術の向上を必要十分に描いていること。『昭和元禄落語心中』をいま実写で作るのは無理というのと同じ意味で、この作品の実写化もきわめて難しいだろう。本腰をいれてやろうとしたら、集めた役者で構成される楽団がほんとうに上手になっていくのに合わせて撮影を進めていかなくてはならないかもしれない。この意味で、本作もまた「アニメでないとできない作品」だった。
この作品で実際に描かれている物語が好きかどうかと問われたらいくらか保留したい点もないわけではないのだが、青春ドラマという題材に真っ正面から取り組んで、表現として成功させているだけで、いまの私にとっては十分。
主人公を演じる黒沢ともよの演技が、役者として「人物造形」に真剣に取り組んでいるという感じで、強く印象に残った。アニメの声優にありがちな、レパートリーにあるパターンをうまく配置している、という印象を受けない。