じょー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
1960年代を舞台とした、ジャズと恋の物語
1960年代の夏。転校してきた秀才、薫は不良の同級生の千太郎と知り合い、ジャズの世界に魅入られていきます。そして千太郎の幼なじみ律子を含めた3人を中心とした恋模様が描かれます。まさに王道の少女マンガなのですが、この1960年代、サウンドオブミュージック、ビートルズ、学生運動などの世相を背景に、日本のジャズの聖地である、長崎佐世保を舞台として描き、切なく暖かくそして懐かしい、恋と友情の物語が語られていきます。
このマンガがすごい女編で、2009年の1位作品。このマンガがすごいの女性編1位は、ハチクロ、君に届け、ちはやふる、に続き4作目のアニメ化です。小玉ゆき原作、flowers連載終了です。
カウボーイビバップと同じ、渡辺信一郎監督と管野よう子さんの音楽は素晴らしかったです。またスタッフ演技ともに満足の行く作品だったと思います。
ただ、あと1話あれば、名作になったであろうアニメ。と言うのが正直な評価です。原作は、9巻でメインストーリー完結していますが、この9巻1クール12話というかなり厳しいスケジュールが最後の最後で、歪みを生んでしまったのが悔やまれます。
{netabare}
ちょっと原作厨的な内容になりますが、ファンの一人の意見と、ご容赦ください。原作8巻の内容までは、かなりのスピードで消化しながらも、しっかり描いていたのですが、高校卒業後の薫の8年間の成長と心情の変化を、しっかり描いた9巻の内容が、ほとんど反映されず、アニメだけだと、少し唐突な印象を受けたかと思います。アニメの最後も良かったのですが、良作から秀作へとはなりきれなかったのが、この尺のせいであろうというのが残念な所です。是非アニメ見た後でもかまわないので、9巻だけでもお手に取ってみてください。
{/netabare}
このアニメ化に際してのキーはたびたび、物語の転機となる、ジャズセッション。この音楽を通じて、薫と千太郎の友情は語られるので、これをどう音楽まで含めたアニメで表現するのかが楽しみだったのですが、これは素晴らしいとしか言いようがなかったです。演奏シーンの描写は特に素晴らしく、7話学園祭での演奏が、物語としてのピークだったと思います。
作中に鍵となる曲は下記の50年代、60年代の名曲です。
アートブレイキー「Moanin」
チェットベイカー「But not for me]
ビル・エバンス「Some Day My Prince Will Come」
コルトレーン「Blue Train」「My favorite things」
マイルス・デイビス「Four」
皆様も、一度は耳にした事がある曲かも知れません。ジャズに興味のある方もない方も、一度Youtubeなどで、耳を傾けてみてください。このマンガにちなんで、CDも発売されているようです。
レトロで王道な原作はストーリーもしっかりしていただけに、最終回の駆け足が残念です。ただ、それを除いても、素晴らしい作品であるという評価は変わりません。ジャズのリズムに絡めて、日本の躍動していた時代の郷愁を感じていただければと思います。
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以下各話レビュー他
9話「ラヴ・ミー・オア・ビリーブ・ミー」
{netabare}
昭和ダナ~、僕みたいなおっさんでも、自分が生まれる前の話と感じるくらいに昭和です。駆け落ちエンドは、なんだか原作読んだときよりずっと、印象深い物になっていました。終わり方が毎回綺麗ですが、7話と同じくらいに印象深い回になったかと。
ジャスの方の比率は少なくなっていったのですが、物語の方は、8話から急速に展開、こじらせて、見事に色々回収しました。原作を読んでいると、「殴り合い」のセッションや、駆け落ちシーンは、さらっと読めてしまうのですが、映像で動くとなんだかドラマ性が上がりますね。やはり、今回もセッションのシーンはなかなかに、漫画を読んでいただけでは伝わらないものが、伝わって来ました。
{/netabare}
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7話「ナウズ・ザ・タイム」
{netabare}
一番の盛り上がりを見せる文化祭の回、これはもう最高でしたとしか言いようがないです。原作でも名シーンだったのですが、相棒が・・のセリフから、この4分近い演奏シーンへの流れは、セリフが無くても音楽で、二人の心情が伝わる最高のシーンだったと思います。my favorite things, いつか王子様が、からmoanin'への流れは、鳥肌がたちました。それまでの鬱展開を全て気持ちよく吹っ飛ばしてくれました。
{/netabare}
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5話「バートランドの子守歌」
{netabare}
今回はジャスの演奏場面がないのが少し寂しいですが、物語としては、大きく進展します。糸電話の場面、薫の恋は華々しく散って行くのですが、この場面が一番切ないです。そして母親との邂逅。千太郎の役割が薫にとって、如何に大きく、支えになっているか、上手く描きます。母親のシーンは原作よりカットされているところが少し気になりましたが、いいシーンに仕上がってると思います。千太郎がいい奴過ぎますね。
母親に送ったアルバムはクリス・コナーのバートランドの子守歌、バックに流れていましたが、少し色っぽい子守歌です。バートランドは、NYCにある、有名なジャズバー。ジャズの本当の楽しさを演じる場所という印象でした。ブルーノートとは違った雰囲気が味わえます。バートランドの子守歌は、演奏に歌詞が後付けされた曲ですが、独特のリズムが印象的な曲です。この曲も多分後ほどでてくると思いますので、是非聞いて見ておいてください。
{/netabare}
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4話「バット・ノット・フォー・ミー」
{netabare}
展開は早いのですが、丁寧に物語をつないでいきます。この人草食系に見えて結構強引です。そして明かされる、千太郎の過去。このシーンは素晴らしいですね。家に居場所のない二人がお互いを理解する所。ここにもモーニン、物語の鍵の所でのこの曲を印象づけます。ピアノと、ペットだけのバット・ノット・フォー・ミーでしたが、やっぱりカルテットのノリノリ演奏の方が個人的には好きですね。
なんといっても、やはりBGM、セッション音楽が素晴らしいですね。
印象的なシーンを原作以上により新鮮に、より鮮明にしてくれます。のだめもそうなのですが、やはり音楽を題材にしてるのって、マンガよりアニメの方が映えますね。
{/netabare}
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3話「いつか王子様が」
{netabare}
急展開で、切ない思いをさせてくれます。この心情に、ジャズを絡めていくのはいいですね~、白雪姫でおなじみのポピュラーナンバー、ビル・エバンスのSomeday my prince will comeに乗せての告白シーンでした。ここからのEDも、心情にぴったりのいい曲なのですが、やっぱり僕はジャズにして欲しかったなと
But Not for Meのセッション。hiroshi2.4さんには不評だった様ですが、僕はこのセッションのシーンは大好きです。振られ男の少しひねくれた心情を歌った曲が、いつの間にかジャズの自由さと楽しさを表現する事により、曲調を通して、二人の心情が変わっていく様は、とても象徴的な、いいシーンだったなと思います。このシーンの絵の動かし方も凄いなと。セッションのシーンはやっぱりイイですねこのアニメ。この曲の人の心に訴えかける奥深さの方は、後ほど象徴的なシーンが出てくると思いますので、それはそれで楽しみにしたいなと。
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2話「サマータイム」
{netabare}
早速の水着回(笑)、気持ちのいいくらいな青春ストーリーですね。
律ちゃんの長崎弁での「シュークリームもつける?」が可愛いです。1話ほどのインパクトはありませんが、恋愛模様、友情そしてジャズに人間模様。このアニメすべてがレベル高いです。ジャズセッションは今回はカルテット。初めて薫がセッションに入っていきますが、この入り方の演奏も、それに合わせる周りもなかなか秀逸でした。ジャズの楽しさが伝わってきますね。それに演奏の描写も素晴らしいです。最後にヒロイン百合香登場、ここはさすがに遠藤綾さんは、存在感ありますね。
そして、来週予告の「いつか王子様が」も前半の盛り上がりどころ。楽しみです。
{/netabare}
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1話「モーニン」
{netabare}
流れる60年代古き良き時代の昭和の香り、佐世保の街、期待通り、いや期待以上の1話でした。ノイタミナの役割って、やっぱりこういう作品だと思います。
いやー原作も大概好きな作品なのですが、やっぱりこういうのは音が入るだけで、全然違いますね。今回は、ジャズドラムだけだったのですが、これだけでも、薫の飛び上がる様な心情が、原作より格段に伝わります。最初の題名は、Moanin’アートブレイキーの名曲に、薫が興味を持つところまで。これからの展開と、そしてピアノとドラムのセッションの音楽が楽しみでしょうがないです。そして、管野よう子自身のピアノもあるらしい。
そして、南里侑香さんの長崎弁は、さすがに本物。田舎くさいけど、純情そのものの律子の魅力を十分以上に表現してくれました。
No1候補筆頭の氷菓が来るまではなんとも言えませんが、今のところの個人的今期1です。
{/netabare}
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視聴前レビュー
{netabare}
今年の春個人的に一番の期待作。公式サイトにPVがアップされ、スタッフの発表がありましたが、これがサプライズでした。
この作品は、音楽、ジャズがテーマの一つなのですが、監督には渡辺信一郎(アフロでない方のナベシン)さん。カーボーイビバップではジャズを、チャンプルーでは、ヒップホップを題材にしていましたが、今回もジャズがテーマの本作、納得と言えば納得です。何より楽しみなのが、音楽に管野よう子さん。渡辺信一郎x管野よう子といえば、マクロスシリーズの中でも傑出した出来の「マクロスプラス」、そして、往年の名作「カウボーイビバップ」スタッフ発表と同じく発表されたPVも、ジャズドラムだけで気分を盛り上げてくれます。 そして制作は手塚プロダクション。虫プロ倒産以降は、グロスとかばっかりでしたが、久しぶりの制作。MAPPAという会社との共同制作です。脚本は、ちはやふるなどの加藤綾子さんと柿原優子さん。キャラデザは結城信輝さん、山下喜光さん作画監督と、なんというか渋いスタッフで固めてます。これは楽しみがさらに増してきました。
キャストの方はこちら
西見薫 木村良平
川渕千太郎 細谷佳正
迎 律子 南里侑香
百合香 遠藤綾、
淳一 諏訪部順一
線の細い、主人公役に木村良平、バンカラの千太郎役に細谷さん、ヒロイン律子は作品の舞台、長崎出身の南里さん、地味な配役ですが、作品の雰囲気には合ってます。
{/netabare}