Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
仄かに光るペンダントが繋がりの印…
この作品は、P.A.WORKS 15周年記念アニメーションであると同時に、初のロボットアニメに位置付けられる作品です。
監督は「七つの大罪」や「青の祓魔師」を手掛けられた岡村天斎さん、キャラデザに「Another」や「凪のあすから」を手掛けられた石井百合子さん、が入りスタッフ陣が構成されていましたが、15周年記念アニメーションに相応しい作り手の気合が感じられた作品だったと思います。
物語の舞台は富山県黒部ダムに設立された「国際連合黒部研究所」
ある日、研究所の周囲に現れた謎の飛行物体が落下した地点に多数のロボットが出現して研究所を襲撃し始めるのです。
たまたま研究所に居合わせた所長の娘…本作品のヒロインに当たる白羽由希奈は、襲撃の最中に偶然「ザ・キューブ」と呼ばれるアーティファクトに触れてしまったところ、その物体が動き出し中から裸の男が飛び出してきたのです。
由希奈を姫と呼び、襲撃から守ってくれた裸の男は、この作品の主人公である青馬剣之介時貞…
彼は戦国の乱世で自分の主である雪姫様のために戦いに明け暮れていた筈だったのですが…
剣之介の目覚めと同じ頃…地球の衛星軌道上には世界各地にジオフレームと呼ばれるロボットを多数降下させる一隻の宇宙船が居座っていました。
その宇宙船の目的は地球の侵略と支配…
こうして剣之介と由希奈だけが動かせる「クロムクロ」と呼ばれるアーティファクトを配する地球とジオフレームとの戦いの火蓋が切って落とされ…物語が動いていきます。
「非の打ちどころのない作品」とは、こういう作品を指すのだと思います。
何と言っても剣之介の魅力が溢れんばかり…
最初は怒鳴り喚き散らすだけでした…周りが戦国時代から現代に突如変わってしまったら困惑して、怯えを感じるのも当然…だってそれくらい劇的に状況が変化している訳ですから…
それでも、時折訪れるエフィドルグと戦って…由希奈と同じクラスに入学して、クラスメイトと時を重ねて…
そんな現代の暮らしに馴染んでいく剣之介がとても自然で…
でも剣之介がここまで劇的な変化を遂げる事ができたのは、全て由希奈のお蔭と言って過言は無いでしょう…
今期視聴していた作品の中でリゼロのレムの次に大好きなキャラだった彼女は、普通の高校生の女の娘…
普段の彼女のままでも十分に可愛らしいのですが、剣之介を目覚めさせてしまった事でエフィドルグとの戦い…それも最前線に引っ張り出されてしまうんです。
しかも、これまの生活では全く無縁だったクロムクロに乗る羽目になってしまう…
由希奈が困惑するのも至極当然です…
だってクロムクロに乗ることは、本気の殺し合いをする事になる訳ですから…
剣之介と由希奈はお互い困惑する者同士…
それでも手探りで次の一手を導き出す二人…
絆が深まるのも頷けますし、二人の絆の深まりが楽しみな作品でもありました。
物語の終盤…これまでで最大のピンチが由希奈に訪れます…
ですがお互いを守り合うと誓った剣之介が黙っている筈はありません…
有言実行…この時の剣之介は最高に恰好良くて…
傷付いて怖い思いを何度もしながらも「負けない…」と言って精一杯の由希奈に心を打たれて…
だからこそ大粒の涙をボロボロ流しながら剣之介の胸に飛び込んでいく由希奈に、私は涙する事しかできませんでした。
剣之介と由希奈はお似合いのカップルでこれからもずっと仲睦まじく過ごして欲しい…
本気でそう思っていましたが、運命ってやっぱり残酷です…
剣之介は心の中で嬉しかったに違いありません。
やっとの思いで手を取り合えたのに…
由希奈の涙ながらの悲鳴に対する剣之介のはにかんだ表情と一言はきっと本気…
剣之介と由希奈の顛末…気になる方は是非本編でご確認下さい。
「この世は悲しみで出来ていました…」そんな思いから一歩踏み出せる救いが視聴する人を待っていてくれると思います。
剣之介と由希奈の事ばかり書きましたが、この作品の魅了的なキャラは決して二人だけではありません。
時に残酷なまでに冷静沈着…決して心を乱さない彼女…だからこそ最終決戦で見せた彼女の表情が心に刻まれて離れない…物語の中でも重要な立ち位置にいたソフィー・ノエル…
言葉づかいは最悪の汚さ…それでも仲間思いなトム・ボーデン…
雪姫と瓜二つな容姿の持ち主…最初は真意を何も知らされず命令のままに行動するだけでした。でも、自分の気持ちに向き合う事を優先したムエッタ…
他にも魅力的なキャラがたくさん登場するので見応え十分な作品です。
オープニングテーマは、GLAYさんの「デストピア」と「超音速デスティニー」
エンディングテーマは、MICHIさんの「リアリ・スティック」と和島あみさんの「永遠ループ」
正直GLAYさんがアニソンを歌うとは予想外でした…けれど、2曲ともオープニングのアニメにピッタリな恰好良い曲でした。カラオケで歌うと気持ちの良くなる歌です。
エンディングでは「永遠ループ」が好みでした。
2クール計26話の作品でした。流石P.A.WORKSの作品…と素直に思えるくらい、この作品には楽しませて貰いました。本当はエンディングのもう少し先まで見たかった…が本音です。
けれど、由希奈の持つ仄かに光るペンダントが奇跡を起こしてくれると信じています。