かしろん さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
見事なエンターテイメント
【10/20 締め方についての感想を微修正】
新海誠作品は
・ほしのこえ
・秒速5センチメートル
・言の葉の庭
しか見てない人間の感想です。
【言の葉の庭から3年】
{netabare}えーっと・・・誰だっけ・・・
あの、綺麗な画の、アニメで、雨がどういうってやつ作った・・・
え・・っと・・・監督の名は・・・{/netabare}
【あれから5年】
{netabare}2011年3月11日。
東北大震災。
あれから5年か・・・{/netabare}
【見事なエンターテイメント、なんだけど】
{netabare}見に行くか迷ってたんだけど、普通にネットしてるだけでネタバレに触れ
そうなのが怖くなって見に行っちゃいました。
見終えた直後の感想は
「文句の付け所がねぇ」
でした。
さて。
新海作品の集大成として、見事にエンターテイメントに徹した素晴らしい作品でしたっ!
いや、まぁ、全ての作品を見た訳じゃない私が「集大成」などと言っても何の説得力も
無いのは重々承知として。
私が新海作品に持っている印象は
・画が綺麗
・やりすぎてチョイチョイあざとい
・男として突かれたくない部分を突いてくる
・男と女の距離と時間の関係性が巧い
という感じ。
画が綺麗、は見たまんま。
あざとい、は言の葉の庭感想にも書いた雨の雫の跳ね方とか。
突かれたくない部分、は男としての劣等感だったり、女々しさだったり、マザコン
っぷりだったり。
距離と時間、は各作品見たとおり。
で、本作。
画は実に綺麗だし、新海作品はどっちかというとテッカテカしてる気がするんだけど
本作では抑え気味。
サービス的に今までの作品でもやってきた場面をチョイチョイ挟みつつ、
「ここまでやっちゃうよー」
みたいなあざとさも抑え気味。
突かれたくない部分は
「もし自分が女の子だったら」
だよね。胸を揉みしだくのが良いギャグになってた。
今回も話の肝として距離と時間を持ってきてる。
本当に、今までやってきたことをシッカリと押さえつつ、抑えるべきを抑えて、
見事なエンターテイメント作品に仕上がっていた。
紐と結びという1本のキーアイテムを使った本筋も見事。
文句の付け所もありません!
といいつつ。
2点ほど気になる点が。
1つは音楽。
RADWIMPSの楽曲が良いよね。彼らの曲って「おしゃかしゃま」しか知らなく
トガッたイメージを持っていたので、こういう楽曲もあるのね、と感心。
なんだけど、流石に1本の映画で劇中曲使った演出を2シーンも持ってくる
のは・・・
映画とはいえアニメーションだし、ってことでOPもあるんだけど、このOP
含めて3回も同じ演出を重ねられてる気分になってくる。
流石にちょっとクドく感じた。
もう1点は結末。
こっちが重要。
2人を出会わせた。
今までの新海作品の流れで言うと、絶対に会わせなかったはず。
上に書かなかったが、私が新海作品に感じている一番強い印象。
それは、見終えた後の言い知れぬモヤッとした感じ。
「運命で出会った二人は、運命で一緒になれないよね。
それでも前を向いて行こうよ」
これこそが今までの彼の作品。
ある種の作家性や矜持と言ってもいいだろう。
この作家性を捨てたとも見られかねない締め方。
2人を出会わせ、あの台詞で締めたことで非常にスッキリした仕上がりとなった。
これが、新海監督の新境地なのか。
それとも、エンターテイメントに徹したが故の折れなのか。
折れではなく、今までの作品すらもフリとして描いたものなのか。
持ち味を殺して得た、文句のないエンターテイメント作品。
徹底した娯楽作品と言っても良い。
150億という売上を突破した凄い作品。
はてさて。
次回作でどんな作品を仕上げ、どんな締め方をしてくるのか。
楽しみにしたいです。{/netabare}