てけ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
死々生々
1997年に公開された劇場版。
「ヱヴァ」ではなく「エヴァ」であることに注意です。
TV版とは異なるエヴァンゲリオンのもうひとつの結末。
というよりTV版が内面世界、映画版が外面世界と言ったほうがいいかも。
私は未だにエヴァンゲリオンの人気の秘訣がわかりません。
わかったら自分で作品を書きます。
……とはいえ、キャッチーな部分がたくさんあったのも事実です。
* キャラデザインの良さ
* 思春期の繊細な行動やリアクション
* 宗教をモチーフとした設定
* ロボットではなく人造人間という設定
* クラシックの多用、長時間の静止画、字幕の利用など、既存のルールを破るアニメ造り
* 「笑えばいいと思うよ」「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げ(ry」のような印象的なセリフとシーン
* 随所で光る、遊び心のあるネーミングセンス
そして謎も多く、考察の余地が大きかったのも幸いしました。
情報を小出しにすれば続きが気になる。
謎が残れば人と内容を語りたくなる。
語ればより多くの人が視聴者層に取り込まれる。
そうして輪が大きくなっていきました。
考察は書きません。
ぐぐればいいと思うよ。
それに加え、映画版ではショッキングなシーンで話題をさらいました。
人造人間がやられたときは何か色々飛び出ますし、主人公のシンジは○○ニーを始めますし、繋がったりしますし。
重要な人物もそうでない一般人も痛そうだし苦しそうだし死屍累々だし。
あろうことか私はこの映画を学校の先生と見に行ったのです。
なんとも気まずいですよね性教育的に考えて。
しかも、帰り道に「ドウジンシ」なるものを設定資料集だと思って買いました。
家で封を切ってみると、そのエログロさに二度目の衝撃!
机の下に隠しておいたりなんかしていません。
友達に持って行かれてショックなんて受けていません。
この映画は「生々しさ」という点において、他の追従を許していなかったと思います。
「リアル」ではありません。
キャラクターの造形は大いにデフォルメされています。
ぼかして描かれることが多かったものを直接的に描く「生々しさ」です。
すでに大勢のファンのいる大衆向けアニメでここまでやるか!と。
さすが「シ」と「セイ」を扱う作品と言いましょうか。
こうして描かれた「生々しさ」がさらに話題をかっさらい、とどめを刺しました。
またストーリーに終止符が打たれているのもポイント。
TV版はシンジの思考を延々と回りくどく流し続けるという、意味のわからない終わり方です。
この旧劇場版では素直に「何が起こったか」が描かれています。
設定集等と合わせていくらかスッキリしたという人も多いと思われます。
話題に劣らないBGMと作画の良さも忘れることなかれ。
『魂のルフラン/THANATOS-IF I CAN'T BE YOURS-』のシングルは素晴らしい。
夕方に上映するとお茶の間は凍りつきます。
しかし、当時のファンを熱狂させるには十分な作品だったと思います。