あんにゅい さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
TVドラマ的お仕事モノのアニメ。
ストーリーの印象、または感想
花咲くいろはを観ると、観光地に憧れを抱く。アニメの聖地としての観光地かもしれないけど、「ここ」ではないどこかの景色に憧れてしまう。その憧れは叩き壊されることも含めて魅力的でした。
この憧れは、第一話で緒花が抱いている気持と共鳴している。緒花にとっての「ここ」である都会は、モノや人が豊かにある代わりに希望や夢がない。第一話のうちに突如として、「ここ」から離れて祖母のもとへ送られることになるのだが、その時緒花は新天地へドラマチックな希望を抱く。見知らぬ場所で始まる新生活への期待や憧れが列車に揺られながら高まっていくのだ、「飴ちゃんをくれるようなおばあちゃん」をゆめみて。
しかし、美しい景観の新天地ではキツイ洗礼が待ち構えていました。初対面の民子から「死ね」で迎えられて祖母スイの往復ビンタをもらって、新生活もとい旅館での修行が始まります。あっという間に憧れの場所はカビ臭い布団で寝る場所となって、緒花は忙しい仲居生活へ転がりこんでいくのです。
憧れの地はドラマチックでもなんでもなかった。いやむしろ全力で雑巾がけをするところだった。アイロニカルな事態で我武者羅に奮闘するしかなくなった手負いの獅子のような緒花の格闘ぶりが、ストーリーを引っ張っていく。
憧れの甘い感情と、それを破壊される快感を味わい、それでもなお獅子奮迅の活躍で「ここ」をつくりかえていくことが描かれています。
花咲くいろはは一部のファンタジーの構造に似ています。ざっくりいえば、異世界へ行って戻ってくるお話です。大きな違いは異世界に相当する場所が田舎の旅館であること。緒花は旅館へ行って、また都会に戻ってくるのです。都会に戻っても、旅館での経験をもって退屈な「ここ」を全く別の景色へ変えてしまうのでしょう。「ここ」を自分の居場所、活躍する場所へと切り替えるように緒花は変わったはずだから。
その他
キャラクターデザインと声優さんの力でキャラに魅力があり、それを動かす脚本は岡田麿理で面白くならないわけがなく、飽きずに2シーズン見通せました。2シーズンあるのでキャラの関係性や内面を丁寧に積み重ねることができていて、豊かな世界を感じることができるかと思います。