mkanime さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
繊細な心理描写
13話からは思わず一気に見てしまいました。15話からは涙が止まりませんでした。
しかし、評判は2分されているようですね。意外すぎる。
まず1話でvoidが一体何を表してるのか、この作品は何を描こうとしたのか、がつかめなかった方は展開についてこれなかったのではないでしょうか?加えて、キャラの心理描写が非常に繊細、あいまい、というかアート的要素が強いのでそれを追い続けられたか、というのが評価の分かれ目になったのではないかと推測します。OP、EDを適当に見ていたとか。
サブキャラの心理描写がなされていないという評がありますが、この作品のどこを見ればそんな感想が出るのか教えてもらいたい。
某シャフトのアニメや、京アニの大作など観てきましたが、この作品ほど「想い」について大切に扱っているアニメは見当たりませんよ。
{netabare}集が「王になってやる」といった時の表情、声、背景。そして次の回の冒頭のシーンではあたかも独裁者かのように描かれている。これだけでも集が、祭の言った「やさしい王様」になっている事の描写には十分すぎます。信じてくれたのはいのりだけ、あの状況、あの段階の集ではどう考えてもそう感じざるを得ないでしょう。しかし、本人もそうでない事は分かっています。
右腕を落とされる前の戦闘シーン、そして切りおとされた時のセリフ。文字通りに受け取ればただの暴君ですが、力を奪われたことに対する絶望、という面では共通していますが、暴君のそれとは真意が全く別です。それにあのときの涯の表情を見れば彼の本当の意図が分かるはずです。二度目ですしね。
キャラの心理を読み取ろうとするのではなく、キャラの心理に共感しようとすること、そうしないとわけがわからないストーリーである、というのは1話で分かっているはずのことです。もともとそのことが、いのりの言う「集が教えてくれたこと」なのだから。物語の途中でも、嘘界のセリフ「美しい!!」(1期の冒頭、いのりが命令を無視した時の。)や、「なんか違うんだよな」(2期。voidを使う涯を観た時。)からもこの作品が何を描きたいか分かるはずです。
だからこそ彼女は最後に全てを背負った。集に罰を与えてあげた。
まぁ、ハッピーエンドとは言い切れないかもしれませんが、これもある意味ハッピーエンドです。{/netabare}
思わず語調が強くなってしまいましたが、それだけ丁寧に鑑賞する価値のある作品だと思います。この作品に出会えて本当によかった。