101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
改めてゲームにどう向き合うかについても考えさせられる作品です
原作カードゲームは未プレイ。
TVアニメ版は1期、2期共に視聴済み。
劇場版総集編+αな内容。
ここから入ると編集が超高速過ぎて、何が起きているか把握し辛いと思います。
追加シーンは主に、 {netabare}ウリス{/netabare}の視点。
後は本編に比べ、一定の{netabare} スッキリ度{/netabare}はあると思われるので、
それを求める方にとっては観る意味はあると思います。
で、その新たな視点を交えられて改めて思うこと。
{netabare}自分はカードゲーム食わず嫌いの、ヘタレなビデオゲーマーに過ぎませんが、
本シリーズはゲームとの折り合いの付け方について
考えることも多い作品だと思います。
本シリーズではカードゲームの理想として、
リアルで友達とワイワイ楽しくWIXOSSを遊ぶスタイルを至高としているようです。
そして、その対極としてウリスによる
破壊衝動のはけ口としてゲームで対戦相手を痛め付けるプレイスタイルを置きます。
構図は典型的ですが、本作ではウリスがゲームに暴虐を求める経緯が、
生々しく描かれており、痛々しいです。
テレビゲームでもガチをこじらせたプレイヤーの中には、
射殺したプレイヤーに死体蹴りを喰らわす、
病んだ方をしばしばオンライン上で見かけたりしますが、
彼らの心理はウリスみたいな状態だったのかな?と考えてみたり……。
ただ、これもビデオゲームの話になって恐縮ですが、
今、欧米ではプロゲーマー市場が確立されて来ています。
プロカードゲーマーの職業が確固たる物になることはないとは思いますが……。
プロビデオゲーマー浸透の流れが日本でも波及していくと、
楽しく遊んでこそゲームという価値観が変化する可能性もあります。
ゲームであって遊びではない!というプロ意識がリアルに浸透した時、
何か大事な物を賭けてまでゲームに挑むことは理想的ではないとする、
私の本シリーズで抱いた感想が変化するかどうかに興味があります。
ゲームという点ではもう一つ、
本シリーズは心象の描写に接近しすぎていると言いましょうか……。
ゲームルールやそれに立脚した作品設定、プロットをも揺るがす
乙女心の禁断と言いましょうか……。
本作はルール製作者の精神世界が染み渡るのがゲーム
という着想を抱くことが多い作品でした。
ゲームとリアルの境界がなくなるという恐怖。
その本質はゲームを構築した製作者の心理が、
物理法則のレベルでリアル世界を覆い、
人間が創造主に成り代わることへの警戒感なのだと、
本作を観て改めて思いました。{/netabare}