どらむろ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
男子大学生の青春群像劇。先入観で敬遠するのは勿体ない、王道な佳作です。
大学の男子チアリーディング部を題材にした、青春ドラマです。
原作は朝井リョウ氏の母校・早稲田大学のチアリーディング部をモデルにした青春小説。
様々な悩みやモラトリアムの渦中にある男子大学生たちが、チアリーディングに打ち込み、成長していく。
…2016夏やたら多かった「男子いっぱい、女性向け」「美男子動物園」の一作品と思われがちかもですが、青春群像劇として普通以上に良く、私的にダークホースでした。
腐要素は殆ど気にならず、王道なドラマが期待できます。
アニメでは希少な、大学生ならではの舞台設定も効果的に活かされ、男性視聴者でも楽しめるのでは。
{netabare}『物語』
チアリーデング。普通は女子がやる応援なイメージですが、これに男子大学生が青春と情熱を捧げるお話です。
実力に差がある中で、皆が助け合って演技を向上させていく、王道な努力と友情のスポコンが熱い。
本作に置いて「男女の違いは殆ど重要ではない」です。
男子チアは「誰もやっていない事を皆で打ち込む」舞台の一つ、ここら辺の自然さは大学ならではでしょうか。
随所に「大学生ならでは」の雰囲気や流れが見所。
自発的に仲間を集めて新しい事に打ち込む、高校生では中々面倒なのでは。
メンバーが16人もいる割には、青春群像劇の質が高いのが良い。
メイン主人公の晴希は優秀な姉にコンプレックス抱いていたり、経験者の翔も過去にトラウマを抱えている等、主要メンバーは皆何らかの心の傷があり、これがチア活動に陰を落としたり、仲間同士の葛藤が生じるドラマに。
大学生たちは高校生までと違い、進路も含めて多様な悩みもあり、バイトや就職活動にリソースを取られるメンバーもいる等、メンバー間でチアに対する打ち込み方に差が生じて、中々足並みが揃わぬ展開も見所でした。
モラトリアム最後の時期。
個人差が大きく、まだ幼さが残るメンバーもいれば、外見は大人だが未熟な奴もいる。
これらひとりひとり(16人以外にも晴希の姉の晴子も含めて)のドラマが大人数の割には丁寧、それが皆で同じ課題に打ち込む過程で、ごく自然に青年たちの成長に繋がっていく。
高校生以上に、人生はそれぞれ多様であり、それぞれの生き方やスタンスに違いがある。
それを互いに認め合えた時、モラトリアム最後の青春、皆が大きく成長する。
終盤、女性コーチによる一人一人の評価と送る言葉…結構感動的です。
真面目なドラマも見所ですが、全般的には明るく楽し気な作風なのも良い。
大学生活を皆で満喫している雰囲気(気の置けない仲間同士が集まって騒いだり)。
部内ではガチ勢(尚史、ひさし)とエンジョイ勢(タケル)の対立もあり一時はギスギスもありますが、ここも過度に深刻にならずに青春劇に繋げてくる。
…思うに、ここが高校(中学)生との違いかも。
高校生までと違い、仲間だからとてベッタリしてないんですな。
各々自主的であり、部活だからとて過度に踏み込まない。踏み込めない。
皆それぞれ違う。でも…皆かけがえのない仲間だ。
紆余曲折ありつつ、青春劇として大団円。良い感じです。
総じて、面白かったです。(どうせ美男子動物園だろ…)と切るのは惜しい位には。
惜しむらくは、肝心の男子チアリーディングの見せ場がイマイチ盛り上がらず。
※作風違いますが2014年の女子中学生のよさこいアニメ「ハナヤマタ」ちょっぴり彷彿。
こちらは一応盛り上がりあり、男子チアももうちょっと頑張って欲しかった。
…青春群像劇の成果としてのラストの演技をバッチリ決めてくれていれば、もう一段評価上げてました。
惜しい。私的に青春群像劇としては同時期の「ReLIFE」より評価が高いくらいなのに。
『作画』
美男子もいれば、アフロや不良風リーゼントもいる等、多様性あるのが良い。
女性陣は晴子姉ちゃんやさくらちゃん可愛い、美人コーチも含めてキャラデザ好みです。
キャラデザは文句なしなのですが、惜しむらくはラストのチアシーン。
一番の見せ場、もっと頑張れなかったのか…。
『声優』
新人と中堅ベテランとバランス良く、文句なし。本作初主演(主要キャラ)多く、概ねハマってました。
米内佑希さんは晴希で初主演、悩める青年良かったです。
ガチ勢ひさしは畠中祐さん、遊☆戯☆王ZEXALの遊馬です。余裕の無い感じ好演。
中国人留学生の陳子軒(チン・ズーシェン)を、中国語ナレーターの文曄星(ウェン・イェシン)さんが怪しい京言葉で好演。この方はナレーターとしては大物です。
さつきコーチの甲斐田裕子さんの貫禄お見事でした。
『音楽』
EDにして主人公チーム「ブレイカーズ」のテーマ曲でもある「LIMIT BREAKERS」が良い感じ。
情熱は伝わってきました。
ラストしっかり決めていれば…。
『キャラ』
男子チア部だけで16人も、他にコーチや晴子姉ちゃん等印象的なキャラ層が厚いです。
1クールで16人全員に一定の見せ場と個性があるのは凄い。
愛称で呼ばれたり、ある程度のグループ単位で纏まっている(鍋島兄弟、金銀銅トリオなど)のも、大勢な割にキャラ把握がし易かった。
※「ガルパン」と似た意味で、大勢のキャラ配置が巧かった感。
名前は覚えられずとも(ああ、あの兄弟か、あのトリオか)と分かり易いので。
主要キャラ全員良かったのですが…
巨漢のトンは可愛い彼女持ち、バンブーブレードのダン君を彷彿w
怪しい中国人な陳子軒(チン・ズーシェン)も、終盤一気に評価上がって好印象。
女性陣も魅力的。晴子姉ちゃんは凛々しい武闘家、彼女は17人目の主役だった。
リアルな姉弟関係萌え。
コーチ…これは大学生の若造が惚れるわーステキです。
さくらちゃんが健気で萌えました。{/netabare}