シャンゼリゼN゜5 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
飛騨⇔東京 時空メモリーズ
不安定に流動して距離感が変化する世界と時間。それに伴う記憶や想い。
それぞれの距離感に応じ、様々なドラマが繰り広げられます。
そんなドラマの魅せ方や事の運びが、とってもドラマティックであり、巧かったです。
時の流れや状況、精神の切迫感といった緩急の付け方はとても巧妙で、その勢いとテンポ感の強弱に私の感情も同調させられてしまいました。
展開のメリハリに関してもしかりで、例えば、繰り返されたドアの開け閉めへのこだわりなどなど、まるでページをめくるかのようなフェーズの切り替えは秀逸だと思います。
感情的な側面にあたっては、時空を越えたという意味合いにおいて、どこか神話的なものを髣髴させる浪漫感が漂う中の感情の感覚的ファンタジー。
脳ではなく身体が精神が覚えている。感覚的に共鳴し無意識に共有している。
感情を馳せて馳せて共鳴して惹かれ合う想いは、そこに切なくて哀しい要素があったにせよ、ロマンティックです。
本人との接触ではなく、彼・彼女の日々の日常という世界を通して、垣間見えていく彼・彼女の人間性。
家族関係、友人関係、社会的立場、といった、その人の存在を肯定し構成している、その人の一番コアな部分に触れることは、ある意味裸体を見られるなんてことよりも恥ずかしくて、内面的なこと。
表面的なことではなく、内面的かつ対外的な側面から特別な感情を抱き、その感情が触れ合っていく手法は素敵だと思います。
そして、そんな感情の触れ合いや、時間、場所の距離がゼロになった瞬間。私の感情は、時が止まったかのような間が生まれ、鳥肌ものでした。
この瞬間こそがこの作品の醍醐味の一つになるだろうとは分かっていたものの、いざその瞬間に出くわした時に、素直に出会えてよかったと思えたのは、卓越した構成と演出があったからこそなのだと思います。
様々な角度から切り口を設けて立体感のある想い・感情を描く手法には、独特イノベーションを感じました。
充実した素晴らしい作品であり、見てよかったです。世間一般の評価が高い??ことにも納得させられた感じです。
ただ、満足度はとても高かったのは確かなのですが、どうも印象に薄い感じがしています。
綺麗に整いすぎていたから?ハッピーエンド系だったから?
結果的にマーケティング的構想の色が濃かったのも確かなので、その影響なのかな。
ちょっと分からないのですが、早々に余韻の残り香がなくなってしまったのは確かでした。