狗が身 さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
僕達はどうして…こんなところまで来てしまったんだろう……
僕としてはネット上で散々叩かれまくっているし、懐古厨に思われたくないんだけど…やっぱり、良作とは言い難い作品です。
まあ序盤~中盤…アスランとの決闘までの流れは良かったと思う。元々とは友達だったはずの二人が、戦争という状況にどんどん取り込まれていって、果ては憎しみをもって殺し合うまでに発展していく、ここまでの流れはね、両者の心理描写もしっかり描けていたから、2人の決闘のシーンはすごく迫力があった。それまでのフレイとの妖しい関係、サイとの不和も含めて、起きてはならない事態が起こっているという恐ろしさのようなものが画面にあったんだ。
そんな死闘を経験したキラが、アークエンジェルを離れて、どういう決意で再び戦場へと戻るのか…ここにすごく期待をもてた。
でもその以降は…期待していたものがなにひとつ描かれなかった。
フリーダム搭乗以降でキラが掲げた不殺。これ自体は素直に感心した。
自分が他者よりも優れた能力があったとしても、常に死の危険がある戦場で不殺を心がけるなんて、中々できるものではないだろうから。
この時のキラからすれば、これが綺麗事であるということは、充分に分かってるはず。それでもこれを実行するのは、よほどの覚悟がないと出来ないことだ。
この行動には確かに、キラの想いと力が反映されていると言えるよね。
でも逆に言えば、これ以外には何もなかったんだよな。
極端なことを言えば、キラにはオーブ自体も否定して欲しかった。
後のデスティニーを観れば尚のこと強く思うんだけど、ウズミのやり方も否定されるべきだったんじゃないだろうか。ウズミのやり方は不完全で、だからこそ新しい道をカガリとラクスが見出し、それをキラとアスランが守る、という流れが理想的だったかな。
なぜここまで引っかかるかというと、終盤のクルーゼに対するキラの反論が原因。
自身の生い立ちからくる人類を愚かさを主張するクルーゼに対して、キラは「それでも守りたい世界があるんだ!!」と言う。
でもね、「それでも」と言ってる時点でクルーゼの主張を否定しきれていないし、なによりキラがそれまでして守りたい世界に、説得力がないんだよ。
仮にここでキラが「守りたい人たちがいるんだ!!」と叫んでいれば、僕はここまで大きな不満を持たなかったかもしれない。人にとって必要なのは自分に優しい世界でなく人である、という主張として、僕は好感をもてたと思う。
だけどこれじゃあ、クルーゼの主張を論破できないから実力で排除した、という気がして、素直に喜べないんだよなー…。
正直に言えば、、アクション面がいまいちだったから、余計にストーリー面に対するツッコミが厳しくなってる感じは否めないけどね。
メカデザインは素晴らしいものが多く、設定や舞台にも光るものはあったんだけど、モヤモヤとしたものが残る結果となってしまいました。