剣道部 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
♪原点回帰♪ ~名作と言われるには理由がある~
[文量→特盛り・内容→考察系]
【総括】
流石に名作と呼ばれるだけのことはあるな、と。萌えも素晴らしかったですが、萌え以上にヒロイン達の成長や葛藤が描かれ、人間ドラマとして見所のある、骨太なストーリー。おそらくは、アイドル業界で最も強い感情である「嫉妬」を意図的に、徹底的に排した{netabare}(むしろ、それを意図的に黒井社長に押し付けた上手さが光った){/netabare}作品でした。
綺麗すぎる、リアリティーがないと言われればそうですが、まあアニメなんだし、そもそもアイドルは夢を売る職業、ウ○コなんかしないんです(笑)
やはり、名作と呼ばれるには理由があります。昨今のソシャゲ原作アニメのお手本にしてもらいたいアニメです♪
《以下ネタバレ》
【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
広く浅く各キャラを紹介する序盤。狭く深く各キャラにスポットを当てていく前半。アイドルとしての仕事や成長を見せる後半。しっかりストーリーを成立させる終盤。と、多人数ヒロインを扱うアニメの基本的な構成ですが、それを高いレベルで実行していた印象です。
また、各キャラ回でも「単にそのキャラだけが掘り下げられれば良い」というより、回のメインキャラを掘り下げつつ他のキャラも立たせたり、他のキャラとの関連性を深めていったりと、多人数ヒロインを扱う上で上手い作り方だと思いました。そのバランスの良さに、「制作の、全てのヒロインへの愛」を感じました。⬅ここ大事!
好きなキャラクターは、千早と真。
千早は私の好きな不器用キャラで、作中で最も成長が見られたキャラでした。シリアスな過去を乗り越えるなど、実質のメインヒロインとでも言える存在でしたね。「約束」を歌う場面では(日本酒の力もあって)不覚にも少し泣きそうになったw 今井麻美さん、出演本数はそこまで多くないけど、流石の歌唱力でしたね。
真は、ボーイッシュキャラなのですが、実は少女趣味ってのが萌えポイントですね。これといった活躍が無かったのが少し残念でした。
疑問点としては、「なぜ竜宮小町だけをユニットデビューさせた?」ということです。竜宮小町の3人が、他の9人より明らかに実力が上とも思えず、疑問を感じました(まあ、原作の設定だから仕方がないけど)。
自分が社長なら、「美希(元気と若さ)・千早(歌とクール)・真(ダンスとボーイッシュ)・あずさ(天然とおっとりお姉さん)」でユニットを組ませるな。容姿、歌唱力、ダンス、キャラクター、ポテンシャルの面でバランスが良いと思うんですが(もしくは、あずさに代えて、可愛い系&若さで、春香を入れるか?)。
あと、どう考えても双子(亜美と真美)のバラ売りは事務所的にあり得ないんじゃ? 双子ユニットの方が(辻・加護やマナカナみたく)話題になるよね。
この辺(ユニット構成)は、「アイドルマスターシンデレラガールズ」の方が納得しました。(まあ、竜宮のメンツをアイドル的に実力上にすれば、その他のメンバーとの確執や各キャラの葛藤は描けたけど、765プロの「みんな仲良い感」は失われるから、一長一短やね)。
竜宮小町がどんだけのもんか分かりませんが、事務所初のワンマンであの箱はあり得ないんじゃ? せいぜい200人くらいのキャパでやると思うんだけどw
メインキャラの中での主役は春香ですが、春香は良くも悪くも「無色」でしたね。これも、多人数ヒロインアニメの基本で、その中心にいるのは一番個性が尖ってない(基本に忠実、王道な)キャラクターになるのですね(個性がないんじゃなく、尖ってないというのが、ポイント。このアニメは、春香が主人公じゃないと成り立たないと思っています)。
ただ、そんな春香が終盤に空回る感じは観ていて切なくなりました。アイドルとしてヒマだった序盤をしっかり描き、クリスマス回などで「みんなの絆」を見せることで、フリが効いていました。春香があくまで良い子で、合同ライブの成功という正当な理由のために頑張っていて、それぞれが売れるのは良いことで、みんなやりたい気持ちはあるのに……と、誰も悪くないのに色んなことが少しずつズレていく感じは切なかったです。プロデューサーの奈落転落からの白黒字幕のエンドロールとか、明るい作風で2期続けてきて、ド終盤にここまでシリアスを魅せてくるのか、という驚きがありました。細かなカット割りにもそれぞれ意図が感じられ、制作が本気で作っている感じがしました。
この終盤のシリアスには、「アイドルって何?」という問題提起が多分に含まれている気がします。アイドルという、非常に定義が曖昧で、活動の範囲が広い職業だからこその葛藤だと思います。アイドルと一口に言っても、歌をメインでやりたい人もいれば、バラエティーで活躍したい人もいる。ドラマや映画だってある。だからこその、ズレや葛藤。人を笑顔にするのがアイドル、でもその為には自分が笑顔でいなければいけない。
美希が言っていた「どこにでもいけるのは、ただいまって帰れる場所があるから」というのは、多分事実なんだと思います。現実のジャニーズとか見てても、「鉄腕DASH」→TOKIO。「嵐にしやがれ」→嵐。「関ジャム」→関ジャニ。とか、それぞれがその番組を大切にしてる感じはするし、そういうグループは長続きしています。お笑い芸人にしても、どれだけ売れても、漫才とかコントとかLive(原点)を大切にしているコンビはやっぱり空気感が良いと思います(さまぁ~ずさんとかバナナマンさんとか)。
そういう、「765プロにとっての原点」を探すのが、終盤のシリアスだったんでしょう。それはやっぱり、「ぎゅうぎゅう詰めのワンボックスカーで出かける田舎の夏祭り」のような、皆で作っているライブ。アイドルアニメの定番となった、最終回のライブにどれだけの価値を詰め込めるかがアイドルアニメの評価になるのだろうけど、今まで観たアイドルアニメの中では、ライブシーンで一番感動したアニメでした。ライブ中に(まるで第1話のような)各キャラの紹介カットを流す演出は個人的には◎。本当に一人一人のヒロインを大切にしているアニメだと思いました。
ラストのオマケ日常回も良かったです! シリアスなだけじゃない、765プロのもうひとつ魅力が詰まってました♪
{/netabare}
【余談 ~親戚が地下アイドル~】
{netabare}
実は親戚の子が今、東京で地下アイドルをやっていて色々とアイドル業界の裏話も聞けるので、結構詳しいです(笑) 765プロは一応メジャーっぽいですが、やっている活動は(序盤なんかは)実質地下アイドルと変わりませんでしたね。しっかし、「地下」ということに限定するならば、今は(若ければ)「誰でもアイドルになれる」時代なんですね。3回ほど親戚の子のライブを見に行きました(合同ライブというやつでした)が、 小学生やら中学生が平気で出てるんですね。歌もダンスも容姿も、正直言って学校の文化祭なら誉められるレベルでしたが、それ以上ではなく。そんな彼女らに熱狂する大人達を見て……日本の経済はまだまだ大丈夫だと思いました(日本の将来は不安になりましたがw)。
{/netabare}