たんたんたぬき さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
入り込める人間ドラマ
私は人間ドラマにシンパシーをかんじる作品を高く評価する事が多いです。でもアニメで実写と同じようにそこを楽しみに見られるか?って作品は少ないです。この作品は稀有な作品だと思います。
単純にコレは漫画読んで無いですが、原作のストーリーが面白いんでしょうね。この作品はアニメ向きか?実写向きか?に重要なポイントは絞れると思います。音がある事が良かったのと思うので映像化した意味はあります。でもアニメとしてどうなのか?がポイントになります。
それと言うのも漫画原作の実写化がイマイチになりやすいのは、漫画独特の絵の面白さがあって話が実写向きでも合わないって点があるからです。無難なのは漫画はアニメ化したほうが面白いです。この作品のどこがアニメ向きか?なら時代だと思います。現代とずれるほど、それをあわせるのが難しくなります。その点金かければなんとかなりますが、日本の場合その期待は薄い。よってアニメ向きだと感じます。昭和はもう時代劇なんだなと感じさせる作品です。
悪い言い方をすればアニメってのは映像として誤魔化しがしやすいです。それでも戦争時代の雰囲気を出そうとしてる部分はしっかり感じ取れたと思います。
後は文句なしに声優でしょ。ここにとにかく不満が無かった。落語は知りません。ただプロの落語家が声優やるのもなんですし、ある程度仕方ないかと。一部プロの落語家さんやってますが、それなりには馴染んでいます。ただずっと出続けるとなるとどうだったか?は未定です。
実写とアニメどちらが良かったか?で結局良いものが先に出来たらその後作ってもどっちかが悪いんですよ。その点素直にアニメとしてよいもの出来たなと思います。漫画を映像化する時のポイントは、アニメに較べて実写は博打だと言う事。なら原作が優れてるほどアニメ化した方がストレートに面白さを表現しやすいんですよ。
漫画の映像化って部分はコレぐらいにします。原作見てないので突っ込みきれない部分もあるためです。
さてストーリー部分ですが、展開筋心理描写会話。どれを取ってもシンパシーに繋がっています。リアルな舞台の人間ドラマとしてはかなり面白い作品です。
筋ってのは、芸に邁進する事で人間関係がおかしくなる主人公が、結局人間関係だと悟ったのにそれらをすべて失ってしまうという点です。これが冒頭の冷たい感じのする主人公に繋がっています。展開は、意外とこの作品展開が大胆なんですよね。2転3転次はどうなる?って見せてくれます。精細な人間ドラマが売りだと思うのに、やり過ぎぐらい展開ダイナミックですよ。心理描写はモノローグの部分ですね。これは会話とセットにしても良いです。会話の部分でそのキャラの心情が見えるような会話が目立ちます。それが見事にモノローグと繋がって一人の人間像を浮かび上がらせます。どいつもこいつも一人の作家の分身じゃなくて、別の人間が会話してるんだってのが強く感じられるものがありますよ。会話の背景に人の頭が見えて皆いろいろ考えて感じて生きてるんだ、こういうのを感じます。
2期あるようですが、見たいと思います。でも1クールとしての完成度は無茶苦茶高いです。続きが無くても問題ないです。原作が終ってない作品としては1クールの傑作で手放しでお勧めできます。
ただ喪失がテーマの様な作品に、彩り温かみが出てくるとすると2期なんじゃないか?とは思います。まあ推測ですが、ああ偏屈になちゃったなって人の一生としてはすごく綺麗に描けてると思います。本当は1期できちんと主人公得たものがあります。ただそれをすべて失ってしまうってのがオチになってて、どうしてもそっちが描くものとして強く出てしまっています。
原作と比較し無いと詳細には分かりませんが、途中で区切る事は必ずしも悪い事じゃないです。蛇足感のある長さってたまにあるので。それでも1クールで原作が続いてる作品を無理矢理評価するって無茶苦茶なんですよ。それが出来る作品は相対的に高く評価して当たり前だと思っています。他が悪すぎるから。深夜アニメの大半が、原作の宣伝と、BDが売れる間だけアニメ化される出来損ないだと思ったほうが良いです。