東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
放送アニメの規格外超ド級作品。本作を凌駕する作品は暫く現れないだろう
{netabare}原作:武田綾乃
監督:石原立也
シリーズ構成:花田十輝
シリーズ演出:山田尚子
キャラクターデザイン:池田晶子
アニメ制作:京都アニメーション
主要キャスト
黄前久美子cv黒沢ともよ(主人公。1年、ユーフォ担当)
加藤葉月cv朝井彩加(1年。チューバ担当、高校から吹奏楽をはじめる久美子のクラスメート)
川島緑輝(サファイア)cv豊田萌絵(1年。コントラバス担当、吹奏楽の名門中学出身、久美子のクラスメート)
高坂麗奈cv安済知佳(1年。トランペット担当。久美子と同中出身で吹奏楽部に所属していた。父親はプロのトランペット奏者)
塚本秀一cv石谷春貴(1年。トロンボーン担当。久美子の幼馴染。中学時代はホルン担当)
中川夏紀cv藤村鼓乃美(2年。ユーフォ担当。実力がないことを自覚している)
吉川優子cv 山岡ゆり(2年。トランペット。デカリボンが特徴。夏紀とは仲が悪い)
田中あすかcv寿美菜子(3年。副部長兼低音パートリーダー。ユーフォ担当。副部長兼低音パートリーダー。ユーフォオタで曲者。実質的な部長)
小笠原晴香cv早見沙織(3年。部長兼サックスパートリーダー。バリトンサックス担当。部長はあすかの方が向いていると思っている控えめな性格)
中世古香織cv 茅原実里(3年。トランペットパートリーダー。トランペット担当。ソロパートの審査で麗奈に負ける)
滝昇cv櫻井孝宏(吹奏楽部顧問。イケメンで麗奈とは以前から親交がある。麗奈は滝が赴任することを知って北宇治高校を受験した)
松本美知恵cv久川綾(久美子のクラスの担任で吹奏楽部の副顧問。滝赴任前は顧問。)
原作既読。
2016年の覇権アニメ候補がとうとう放送されました。(秋ではなく今年放送されたアニメのなかで!)
初回は1時間スペシャル。
オレタタで終わった1期ですけど、2期は{netabare} 関西大会出場決定から始まります。{/netabare}
この作品はほとんどの方が視聴するか、したでしょうから、ここであらすじをながだら書くのは止めますね。
OPEPともに前期と変わらず作品をよく表現していると思います。
特にEPは前期よりも好きですね。
個人的には全てにおいて同じく覇権候補の「夏目友人帳 伍」に差をつけたと思っています。
{netabare} ちなみにアバンの映像は全国大会を前にした部の危機を示唆した伏線。
チームモナカの学園天国をフル演奏で聞きたかったな〜{/netabare}
(響け!ユーフォニアム全般に関する感想)
長らく停滞と迷走が続いていた京アニの本気を見せつけられたのが、この作品の1期です。
最初はヤマハとコラボの吹奏楽版の「けいおん!」でも狙ったかと半信半疑で観てました。
予想は良い意味で裏切られます。
キャラはモブに至るまで手抜きがなく、かわいいですけど「けいおん!」のようなふわふわした甘ったるさや「氷菓」や「中二病」、「甘城」のようにキャラ萌えに媚びた設定、また「日常」や「たまこマーケット」のような抑揚が少なくアクビが出るようなストーリーではありませんでした。
しかも、吹奏楽高校A編成の設定だと50名近いキャラとなります。
物語の骨格が比較的にシリアスな青春部活ものであったことで、下手に設定で小細工することをやめ脚本でキャラを活かす方向へと舵を切り、結果的に久美子、麗奈、緑輝、葉月、秀一、夏紀(二年ユーフォ)、優子(二年トランペットのデカリボン)部長、副部長、香織(三年トランペットパートリーダー)、滝(顧問)など物語のキーパーソンキャラ以外は独特なキャラ設定をしなくても、物語の中でキャラを立てることに成功した高等テクニックが俊逸でした。
(部長と久美子の幼馴染の葵との区別がつかないことはあったが)
そのうえ、金管、木管、弦楽器、打楽器と作画上高度な技術を要求される各種楽器の精密描写にキャラが演奏する表情、微妙な手、指の動きまでしっかりと表現されていました。
「四月は君の嘘」、「坂道のアポロン」や「ハルチカ」など音楽を題材にしたアニメは他にもありますけど、これだけの多種多様な楽器をキャラに演奏させた作品はアニメ史上初で、制作スタジオの中でも圧倒的な作画力を誇る京アニだからこそ描けた作品でもあります。
「けいおん!!」以後の京アニ作品は作画が素晴らしくても肝心のストーリーに難がありました。
それでも各作品とも一定の支持がありましたけど、京アニに欠けていたストーリーの面白さが加わった最強の作品がこのアニメです。
言葉のキャッチボールよりも微妙な心理をキャラの何気ない仕草や表情とセリフを合わせて伝える京アニの伝統的な手法もこの作品では絶妙な効果を発揮し、作品のメッセージをしっかりと伝えることに成功しています。
1クールでも2クール以上の作画カロリーがあったのではないでしょうか。
1期の劇場版を鑑賞された方々は、ここで百言を尽くすよりも誤魔化しが効かない大スクリーンでの京アニの繊細で迫力ある作画で十分過ぎるほど説得力があったと思います。
私事ですけど、この作品を観てから、毎年家の近くの会場で開催される吹奏楽部の大会まで観に行くようになりました。{/netabare}
第2話メモ
{netabare}Aパート、水着deサービス回。ただし鬱展開。
麗奈は巨乳、上背があるが微乳の久美子はズン胴、みどりは幼児体型、葉月は元体育会系だけあって引き締まったプロポーション。
副部長の素顔メッチャ美人、プロポーション抜群。メガネキャラの素顔が美人なのはお約束だね。(ステラのまほうのあやめも)
白ビキニ中世古は見かけによらず胸が大きい。
夏紀とデカリボンは仲悪いくせにいつも一緒。
嫌い嫌いも好きのうちの典型だね。
久美子、麗奈、葉月、みどりがお盆休みにプールに行った。
世間では久美子、麗奈の百合が騒がれているけど、「ささめきこと」や「青い花」イメージだと中世古とデカリボンの方が百合要素が高くないか。
デカリボンの目にハート、京アニも露骨に仕掛けているように思う。
トラウマ無自覚KY希美も来ている。夏紀と一緒に来たのか。
希美、夏紀の百合は望めなさそうだ。
久美子も余計なことを希美から聞かなければいいのに、希美は当時者ではないけど副部長に近い久美子だから本音をぶち撒けたんだろう。アホだなぁ。
久美子は毒もだけど鈍感さも相当なものだが、久美子の行動の顚末しだいでたいへんなことになるだろう。
ここは次の3話へ伏線持ち越し。
Bパート、合宿開始から。
瀧絡みで麗奈の目が死ぬ。麗奈は生真面目なんだよね。真面目すぎて損するタイプだけど、こういう人物は無理難題な仕事でも屁理屈垂れないでこなしてくれる、仕事のパートナーとしてウエルカム。しかし嫁なら疲れるだろうな・・
さて、今期のキーパーソン鎧塚が登場。なんだけど、久美子は地雷を踏みまくり。
久美子が使っているイヤホンはシナ製だな。スピーカー並みに音漏れしたら人前で使えないだろうし久美子将来難聴になるな。ってここ久美子に地雷踏ませる設定。
音漏れの曲に反応した鎧塚がいたりする。
今期の準主役鎧塚のキャラデザの凡庸さが気になっていたけど、今回でデッサンのメリハリが「長門顔」で確定したようだ。個人的には微妙だけど埋没から免れて良かった。私の声が届いたのかな・・(笑)
キャラの心理状態をセリフは最小限に抑え、表情描写で視聴者に訴える絶妙な手法にますます磨きがかかっている。
何を考えているかわからない鎧塚のキャラを立てるには適しているね。
鎧塚のオトゲー画面の選択表示、今後の展開のもの凄い伏線かもしれない。{/netabare}
第3話メモ
{netabare}まだ書いてないよ(*´Д`)。*° {/netabare}
第4話メモ
神回{netabare}キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
鎧塚伏線回収回。
鎧塚は大勢の中の孤独というやつか。離人症性障害だったかな。
伏線はこの症状を描写していたんだ。
第三者から見たら鎧塚は特殊人格だし、のぞみが鎧塚を追い詰めていたことを理解できないのは仕方がない。すれ違うってそういうことだよ。所詮は他人。
見方によっては新たな百合関係の幕開けにもなるのかな。
それにしても、こんな特殊な人間関係に関わってしまった久美子は、主役も奪われ鎧塚達にかき回されて踏んだり蹴ったりだろう。
逆に原因を見抜いていたデカリボンもあすかもある意味JK離れした対人センスだけど。
鎧塚がパニクったときの2人の対応の違いは性格の違いそのままだね。
物語には出ていないが、鎧塚が病んでいた理由を知っていたデカリボンは相当気遣っていたんだろうね。
しかし、デカリボンの迫真の演技は拍手ものだ。鎧塚のスカートが引力に逆らってるのが気になるがw
鎧塚の場合は原因がのぞみで明確だから鎧塚の心理的なしこりが解決してしまえば健常者に戻るだろうけど、1年も耐えていたのはある意味凄い。(現実ならこんな単純にはいかない)
デカリボンの株が急上昇{netabare}次期部長だからそろそろageとかないと。{/netabare}
久美子は空気化。姉さん大丈夫なのか?麗奈モブ化。
田中あすか回開始の伏線。
いやー私はニヒリストあすかが一番好きだったりするんだなw{/netabare}
第5話
もはやこの作品、神回続きで各論では形容する言葉が尽きてしまった。
秋アニメは概して偏差値が高いが、この作品の前には全てが霞んでしまう・・それほどにパーフェクト過ぎるし、他の作品にとってこのユーフォ2の存在は大きな不幸だったのかもしれない。
放送アニメで劇場版並みのクオリティ・・史上最高のアニメと評しても過言ではない。
{netabare}1期の見せ場であったがどこか腰が引けたような大会演奏シーンと打って変わり、今回は約13分Bパートの殆どの尺を用い、劇場版に匹敵するクオリティまで高めた。(劇場版を制作したことから作画スッタフに自信がついたと思う。)
欲を言うならば、関西大会出場までの部員達の心理描写にもう少し尺が欲しかったが、京アニの心血の全てが演奏に注がれたことを思うと贅沢過ぎる希望かな。
全ての楽器と演奏の作画に一切手抜きはなく、よしんば、奏者の息づかい鼓動まで視聴者に伝わるような迫力だ。
特に、今回、前半の準主役鎧塚と彼女の成長を象徴するかの如く木管の作画、そして、橋本の指導で合宿や練習でクローズアップされたパーカッション他、ブラッシュアップされた打楽器の演奏モーションが目を惹いた。
また、演奏中の久美子と麗奈の1期回想シーンを除き、演奏場面で府大会と似たカット数ヶ所あったが、かつてのエンドレスエイトのとき同様、同じように見えても新規で原画を起こすのが京アニクオリティ。推測だが今回もそうだと思う。
そして5話は構成素晴らしさも特筆するべきだろう。
拍手で締めたBパート後にEDで演奏の感動の余韻を残し、ワンクッション入れた演出はCパートで結果発表、感動を最大限に感受できる環境を整えた素晴らしい演出だった。
全国大会発表前に「金」でピースをした麗奈の胸中は全力を出し切った者だけが許される特権のように清々しさだった。
正味2分弱のCパートがパートフル尺のように長く感じたのは私だけだろうか・・
北宇治高校全国大会出場おめでとう!{/netabare}
そして、京アニスッタフの皆様、素晴らしいアニメを世に提供して下さり最大の賛辞を贈りたく思います。
第6話−第8話メモ
本作は安定しており、余程のことがない限りこのまま独走だ。
よって、あらすじ的な各話レビューもさして必要性を見出せない。
{netabare}6、7話はあすか、8話は久美子姉に纏わるシリアス展開だが、普門館まで順風満帆のストーリーとせず、様々なエピソードを織りこみ、ともすれば平坦冗長になりがちな青春部活ストーリーに変化と緩急をつけ聴衆を飽きさせることなく、群像劇の特色を活かし困難に立ち向かう部員達の成長、皆の意識と呼応するように滝の想いを伝えていく構成力にはただただ脱帽する。{/netabare}
今夜の放送(第9話)では多くの伏線を回収していくのだろうが、京アニがどのように描き伝えていくのか楽しみだ。
New!第11話までメモ
{netabare}本作のクールも終盤に差し掛かってきた。
あすかの決着の仕方に随分と不満の向きが多いようだが何故だろう?
本作は1期の伏線回収が多く、当該伏線を回収する前に、他のイベントで更に伏線を張り回収していくパターンが見受けられる。
鎧塚回も1期に既に伏線があり、今期で傘木を登場させ鎧塚伏線を回収している。
傘木の去就にあすかが深く関与していたことが、あすかイベント発生の伏線ともなっている。
あすかは1期より本作の重要なキーパーソンであり、その存在は鎧塚の比ではない。
あすかイベントを行うためには、綿密に舞台装置を整える必要があり、本作では久美子の姉を用いたシネクドキ(提喩)で伏線の回収を図る手の込んだ演出がなされている。
シネクドキは名作映画では多々用いられるが、アニメで観たのは多分初めてで、驚愕の演出手法である。
多くの方は久美子の姉のイベントに疑問を感じている様子だが、あすかイベントの舞台装置と考えれば納得がいくのではなかろうか。
あすかが部活を辞めざる得なくなったそもそもの理由は、母親が学業の支障となると考えたことが表向きの理由であるので、学業と部活は両立している状況があればそれで解決で良い。
ただ、母親の本音は離婚したあすかの父親がユーフォの奏者であり、あすかとユーフォを引き離したかったことだけれど、あすかは母親の気持ちは百も承知でユーフォを続けていたのだろう。
あすかと母親の間で父親を巡っての諍いがどれ程あったかは、久美子の独り言で隠喩はされていてもストーリー上は直接表現されていないので分からない。
しかし、普門館に行くと言うことは必然的に審査員である父親との接点が生じることであり、この事実は母親として心中が穏やかでなかったことは想像できる。
母親はあすかに本音を述べてはいないだろうが、普門館を前に学業を理由にして部活を辞めさせる方向へと母親が動いたこと理由は、父親絡みの建前であったことを察して、一時部活を自粛していたのだろう。
その状況下、あすかの心は部活と母親との間で揺れていたが、継続の踏ん切りをつけさせたのは紛れもなく、昼休みの久美子との対話の結果だ。
ここで久美子は、あすかの父親のことを指摘している。
そして、その久美子を動かしたものは、キッチンで久美子の姉が述べた親との葛藤の本音だ。
あすかに向けた久美子の涙の意味とは…姉の本音と覚悟を知り自責の念で電車で泣き、更にその想いをあすかに重ね、姉と同じ後悔をあすかにはさせたくはないと遣る瀬無い衝動に駆られた感情の爆発があすかのエモーションをストライクで直撃したのだろう。
あすかの涙にそれが現れている。
8、9話の久美子の姉のイベントがなければ、10話の久美子の行動もない。
物語は久美子を軸に全て繋がっている。
これも想像の域だが、あすかは久美子に背中を押され、母親と父親のことを本音で話し合ったのかもしれない。
そこで、母親は普門館行きを許容する何らかの心理的到達点に達するが、あすかへの建前上模試の結果を踏まえ、部活参加を二つ返事で認める妥協に至ったのはなかろうか。
私はあすかの問題の本質は父親だと思っていたので、この解決には特に不満もないし、あすかのイベントを冗長にやる必要もまた、ないだろうと思う。
京アニ側が伝えたかったのはもっと別のことだろうから。
本作のタイトルはサックスでもチューバでもなく【ユーフォ】だ。
何故【ユーフォ】なのだ?
何故、主人公がユーフォ奏者の久美子なのだ?
あすかのイベントと並行して久美子の姉のイベントも発生した。
久美子が吹奏楽を始めた動機は姉にあり、姉の心情描写から姉の犠牲の上に久美子が吹奏楽を続けられた現実を認識させ、吹奏楽に対し漠然としたものから、具体的なポリシーの形成に至るプロセスを描写し久美子を掘り下げることこそが重要な核心なのだろうから。
あすかと姉の危機をほぼ同時に体験し、苦労なく吹奏楽を続けていた久美子が受けた衝撃と、現実への覚醒は彼女を大きく成長させたこととも思う。
9話のタイトル【ひびけ!ユーフォ二アム】
本作のタイトルを冠した9話は、普門館を前に本作のコンセプトを視聴者に伝えるためのアレゴリーだと私は思う。
あすかの存在は主人公の久美子に匹敵するほど本作において重要な存在であり、一話を消費してまで、ユーフォと本作の関係を示す必要がある程、ユーフォは特別の存在である証しではないかな。
そう、真に重要なのはあすかの去就や、久美子の姉の大学中退ではない。
8、9、10話の3話の尺を使ってまで京アニが伝えたかったことは、普門館の更にその先にある3期に向け、久美子視点で起こる今後のイベントの伏線を感じ取って欲しかったことだと思う。
一部は早速11話の麗奈イベントで具現化した。
更に11話では麗奈と対立していたデカリボンが麗奈との距離を縮めてくる。
ここは3期への伏線だ。
更に8、9、10話はセットでアレゴリーとなっている。
あすかのイベントでは本作におけるユーフォの位置づけを再定義かつ強調し、ユーフォと久美子の関係を具体的に結びつける意図で、二つのイベントを並行させるシネクドキを駆使しアレゴリーを完成させた高等技法は、アニメとして最高水準の演出である。
数々の名作映画で用いられ、クールを大切に使わざるを得ない昨今アニメ事情において、尺を贅沢に使い、手間もかかる高度な演出を惜しみなく投入している京アニに、本作に対する並々ならぬ気迫を感じたのは私だけだろうか。
恐らく、やりたくても出来ない事情を抱える他の制作会社の監督や演出は、本作を垂涎の的で観ていることだろう。
勿論、この尺の使い方は3期前提でないと無理だったのかもしれない。
その他に演出で気がついたのは画面の横方向に対し水平(90度傾ける)にキャラを描写する一種のメタファー技法だ。
本作では9話、あすかと久美子の対峙描写で用いられ、今期放送中の『オカルティックナイン』でも用いられている。
気になる方は確認してみると良いだろう。
ただ、あまり凝った演出をすると、右脳よりも左脳を刺激する為、右脳が感じる素直な感動が得られなくなるリスクもある。
しかし、プロ奏者の子弟が2人もいる北宇治高校恐るべしだな…。
11話は滝の亡妻に関する伏線の回収だが、9話の職員室で、滝の机の上に置かれた写真で麗奈が滝の奥さん(女性の影といった方が麗奈的には正解か)の存在に勘付き、10話でのアイコンタクトと久美子逸らしが久美子に対しての怒りの隠喩である。
この回収は速やかだったからか、あすかイベント収束回の10話ほど物議を醸していないようだ。
麗奈と滝の関係はどこかで区切りが必要だろう。
そうしないとダラダラと締まりが悪く、今期が終了しても何かしこりを残すからね。
ゆえに、この回は今期の余計な伏線を収束させる意味でも必要不可欠な尺だ。
滝が結婚していた事実は麗奈とっては大きなショックだろうが、それと同程度に久美子がその事実を隠していたこともショックだったのだろう。
普通は久美子と同じ態度を取るが、当事者の麗奈は冷静にはなれない。
実に人間心理の微妙な点を衝いてきた回だが、京アニは秀逸な作画でこの難しい表現をクリアしている。
今迄曖昧だった麗奈と滝の過去関係を丁寧に描写することで、麗奈が滝に恋心を抱いたプロセスが如実に伝わる。
この丁寧な描写があればこそ、麗奈の動揺が演奏に現われてしまった心理もしっかりと把握ができる。
勘の鋭い麗奈を嫁にすると、浮気はすぐにバレることも分かった。
更に麗奈が滝の奥さんのことを直接問い質したことで、亡き妻を想う滝の気持ちを汲むに及び、遂には片想いに(一旦)終止符を打つ決心に至る。
麗奈が奥さんの墓前にお参りしたことは、様々な隠喩があると思うが、今期はこれがケジメだろう。
無論、久美子の身辺も合わせて、3期ではまた新たな風が吹くかもだが…。{/netabare}
2016.12.17 05:13(前回)
2018/11/24追記
長期間放置して忘れていたので取りあえず評価を確定。
評価ポイントが簡単な記述となり味気なくてすみません。根拠等は後日補足します。
(★は一個0.5点)
物語★★★★★★★★☆☆4.0(評価点)
→△0.5エピソードの構成が1期より粗いことと、{netabare}2年生の昨年の大量退部、{/netabare}描写不足で説得力に欠ける。ここは1期の滝の指導方針と密接にリンクするため、関西大会後の久美子姉やあすかの尺を短縮しても、より丁寧な説明が必要だった。
作画★★★★★★★★★☆4.5(評価点)1期と変化なし。
声優★★★★★★★★☆☆4.0(評価点)1期と変化なし。
音楽★★★★★★★★★☆4.5(評価点)1期と変化なし。
キャラ★★★★★★★★☆☆4.0(評価点)
→1期と変化なし。みぞれのキャラ設定で△0.5も考慮したが、そこまで減じる必要もないので同点保留。