ヤマザキ さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
不自由な短編小説
「君の名は。」の大ヒットで今話題の新海監督の作品と言うことで、dアニメストアで観てみました。
「君の名は。」でも感じましたが、作画が非常に美しいです。雨に打たれる草木や新宿の風景、駅の雑踏や総武線のホームですら、この人の手にかかると美しくなってしまう。例えば外国や地方に住んでいて、実際に東京に行ったことのないという方が、先に新海監督の映画を通じて東京の風景を見てしまうと、実際に行ったときに「こんなはずじゃなかったのに」ってガッカリするかもしれません。
物語そのものはたった45分ということもあり、ストーリーやキャラとしてはさして取り上げて評価するというほどのものではありません。おそらくは短編小説のように、説明不足のところは自分で補完してそれで楽しむという、かなり能動的な楽しみ方をしないとあまりに説明不足、情報不足で楽しめないでしょうね。ただ、そうした作品の楽しみ方をすることが求められる一方で、あまりに作画の情報量が多すぎて、ストーリーの方に全く気が回らなくなるんじゃないかという危惧も感じました。そんな点を考えると、短編小説のような楽しみ方をするにはちょっと自由度が低い、言い方を変えれば作画の美しさばかりに見とれるしか楽しみ方が限定されてしまうような、そんな不自由な作品なのかもしれません。
{netabare}ちなみにこの作品の主要登場人物が「君の名は。」にも一瞬出演いたします。公式には同一人物だそうです。ただ、こちら「言の葉の庭」の設定からすると「君の名は。」に出ていること自体が不自然ではあるので、単なる同姓同名かつ他人の空似か、あるいはいわゆるサービス的カメオ出演と思うのがよいかと思います。意味や事情を問うてはいけなさそうです。{/netabare}
繰り返しになりますが、一言で言えば作画の美しさを愛でる作品です。イメージビデオ的に流して観るのが、もっとも適当な愛で方になるでしょうか?