なばてあ さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
カタルシスとパラダイム
繰り返される「死に戻り」(と声優陣の鬼気迫る演技)が、視聴者の物語世界への認識をすこしずつ変えていく。それが一番興味深かったし、ここに物語としての特筆すべき新しさがあった。結果、後半の話数では、メインキャラではないモブキャラのひとりが死んでいく個々のカットさえ、胸に刺さるようになる。リアリティのフェーズが完全に別のところへ移行する。ここに作品が賭けられている。坂井氏のやわらかいキャラデザと、きわめてハードなプロットとの齟齬も大事。その間隙がリアリティの移行を担保する。
{netabare} 具体的には13話から18話冒頭にかけての「死に戻り」が決定的。それを経たあとの白鯨討伐戦では、打ち倒されていくモブキャラの痛みさえ、観ているこっちの肌感覚にヒリヒリ沁みてくることに最初は戸惑い、その後それがカタルシスを増幅することに寄与する。ちなみに18話が神回か否かでいうと、わたしは神回だったほうに一票。 {/netabare}
カタルシスと言ってしまえば有り体だけれど、このカタルシスは、世界認識の変質をトリガーにしている点がメタ的でもあり、批評性を獲得していて新しい。
衝撃:★★★★☆
独創:★★★★☆
洗練:★★☆
機微:★★★
余韻:★★★☆