シャベール大佐 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
もし観るなら、じっくり観たほうが楽しめると思います
禁酒法時代のアメリカが舞台。マフィアに家族を殺された主人公・アヴィリオの復讐劇。
なかなか面白かったです。
もともと個人的な好みとしては、マフィア物の映画であるとか復讐劇というジャンルの作品には、それほど心惹かれるというわけでもないので、序盤は特に期待してもいなかったのですが、観続けているとこれが予想以上に出来が良くて、中盤くらいからは毎週楽しみにしていました。
作品の中でいったい何人の人が死んでいったのだろうというくらい、たくさんの人が死んでいく物語で、犯罪や暴力が当たり前のように行われている世界を描いているのに、観終わった後に印象に残るのは、怒りや憎しみといった激しい感情ではなく、虚しさや寂しさでした。哀愁漂う曲をバックに、割れたガラスに人物の顔が浮かんでは消えていくEDの映像を観ていると、それぞれの辿った末路が思い出され、なんとなく諸行無常や盛者必衰なんて言葉が浮かんできます。第11話のサブタイトルなどもそうですが、作り手側も意図してそういう雰囲気を出していたように感じました。
登場人物の数はかなり多く、物語の途中で退場していくキャラもたくさんいますが、ストーリーの都合で駒のように動かされていると感じる展開はなくて、一人一人それぞれ違う個性のある、血の通った人間として、しっかり作り込んであります。一般的な基準で言えば、ほとんどの登場人物が犯罪者という悪人であり、物語的な価値観でも主人公の敵であるキャラがたくさんいるのに、誰が悪いとか憎いとか、そういう感情にならない描き方でした。
音楽は、OP、EDともに、作品の雰囲気に合っていました。
作画、声も普通に良かったです。
ジャンル的に万人受けするような内容ではないと思いますが、もし観るなら、流し見などでなく、キャラの名前と顔を覚えてじっくり観たほうが楽しめる作品だと思います。