「スーラジ ザ・ライジングスター(OVA)」

総合得点
計測不能
感想・評価
7
棚に入れた
30
ランキング
7909
★★★★★ 4.1 (7)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.0
音楽
4.1
キャラ
4.4

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

インド版巨人の星。日本アニメとは異質なテンポ、王道スポコンと家族愛・友情良かった

「巨人の星」をインド版にリメイクした、日印合作アニメ全26話です。
野球→クリケットだったり、随所にインドらしさ満載。
全般的なテンポが日本アニメとは異質なんですが、大筋はスポーツの王道サクセスストーリー。
巨人の星を知っていた方が色々と比較出来て楽しめますが、知らなくても面白いかも。
…セリフはヒンディー語で日本語字幕付きです。

ちなみに、原作者の川崎のぼる先生公認。日印国交樹立60周年企画の一環らしいです。
※初見はニコニコ動画でした。ツッコミ所多いので、ニコ動的にはコメント出し合って結構楽しかった記憶がw

{netabare}『物語』
基本プロットは巨人の星を踏襲。
スーラジ(星飛雄馬ポジの主人公)が、幾多の苦難を乗り越えて、クリケットに情熱を燃やすサクセスストーリー。
紆余曲折の苦難の連続で、終始目が離せない展開でした。
舞台がインドの都市ムンバイ、スーラジは貧乏なスラム(貧民街)暮らしなので、インドのスラムの雰囲気も見所でした。
生活は貧しくとも、父も姉も、仲間たちも、皆誇りをもって楽しく過ごしている雰囲気良かった。
ここら辺は近年の日本作品に見られなくなった要素、貧しかった時代に希望を持って気高く生きていた時代の活力を感じる。
家族(特に父)との絆が終始大事な作風、スーラジの苦難の度に父の助言あったり、時に反発したりしつつ、成長していく。
現代日本作品では廃れた「超努力・ド根性」でムチャを通す様はハラハラするものの、周囲の良き支えがある優しい作風なので、終始清々しさあり。

脚本構成が日本アニメーションとは異質なのも特徴、CM前の後編予告?で後編のネタバレやっちゃうのはどうかと思った…

さて原作は野球なんですが、本作は「クリケット」です。
野球の原型、欧州と旧植民地など世界的には、ベースボールよりメジャーっぽい。
…正直クリケットのルールさっぱり分からんのですが、「野球と似て非なる物」でした。
投手が投げて、打者が打つのは共通。でも、何球も投げて、沢山打たれるのが前提のゲームバランスだったり、ゲーム性が野球とは完全に別物な感じ。
…単に私が馴染み無いのかもですが、日本の野球作品よりも、1球や1打席辺りの緊迫感が乏しく、試合のドラマ性が大味に感じるのが最大の難でした。
とにかく沢山投げまくって撃たれまくって、いつの間にか決着している感じ。
ここら辺は、せっかくのスーラジ対ヴィクラム(花形満ポジのライバル)の対決もイマイチ盛り上がりに欠けた。
せっかくの日本クリケット協会がアドバイザーになっていたのに、通して観てもルール最後まで分からず。
(ウィキ見れば良いかもだけど、あえて知識入れずに視聴)

…ただ、だからつまらないかと言えばそうでも無かったり。
スーラジも相手選手も必死に対決している雰囲気はヒシヒシ感じる、むしろクリケット特有?のテンポの良さは、いつの間にか引き込まれる不思議な吸引力を感じる。
元ネタの巨人の星っぽいトンデモ魔球やトンデモ打法も炸裂、(ねーよ!)とツッコミたくなる面白さあり、飽きさせませんでしたw
本作は1球1球よりも、全体の流れとテンポを楽しむ作風なのかも…。
ライブ感は楽しいので、案外ニコニコ動画での実況に向いた作品。
ドラマもかなり良いので、観て損はない佳作と言えましょう。


…個別の見所。
スーラジと父と姉との家族愛がとにかく良かった。
日本人よりも、互いに本音で言いたい事ぶつけ合う感じ、愛情表現も分かり易いので、星親子よりも親子関係がスムーズな印象。
ここら辺、安易と感じるか、ベタだけど好ましいと感じるか。私は好ましいと思った。

スーラジとヴィクラムの口喧嘩。
ここら辺日本人と違い、互いに一歩も引かないやりとりが面白い。

幼馴染ミーラちゃんが、大怪我したスーラジを介護する看護師マーヤに嫉妬しまくるラブコメの波動を感じる展開。
この作風で意外とラブコメしてました。

9話、スーラジのチームが、ドローンを飛ばしてライバルを偵察する話。
流石、IT大国インド。
…日本人との倫理観の違いがちょっと気になる。
バレたら違法だと自覚しているのにスーラジもノリノリな辺り、インド的には主人公がやってもOKなのか…。
日本だとライバル側が仕掛けそうな話だなぁ、と。
ここら辺はギャグ回なんでしょうか。

スランプの際に、導師(ヒンディー教か?)の助言がターニングポイントになる展開。
父の助言と自身の努力や仲間の協力そして試合の流れも悪くは無いものの、直接の問題解決には結びつかない。
最後の一押しは宗教家の助言な辺り、インド人の精神性を感じた。
※こういうお国柄が伺えるシーン好きです。
2016年度増えている中国アニメとか、ちょっとしたシーンでそういうの分かるの好き。
90年代にNHKで放送された「装甲救助部隊レストル」という韓国アニメでは「父からの助言」が一番重要→儒教だなぁ~、とか。


『作画』
キャラデザはインド的、慣れれば悪くはないです。
お姉ちゃんもマーヤさんも美人なんですが、日本的な萌えは期待できず。ミーラかわいい。
動画は日本アニメとは異なる独特な感じ、全般に大味なんですが、時折トンデモな動きするので面白い。
インドのスラム街の乱雑だが温かい雰囲気伝わる背景作画も見所でした。
…また、全部ヒンディー語で日本語字幕見ないと分からないので、必然的に画面に釘付けになります。

『声優』
全員インド人でヒンディー語。良し悪しは判断しかねるのですが、概ね好演だったのでは。

『音楽』
OP、ED共にしっかりと主題に沿っている。歌詞に主人公の名前を入れるのは好き。
BGMも中々良く、試合展開の雑さをノリと勢いでカバーしている感じ。


『キャラ』
不屈の主人公スーラジが幾多の苦難を乗り越えていく。
才能豊かで努力家な割に不運な男、普通なら潰れそうな状況でもめげない…ワケでもないメンタルの弱さ、慢心したり、自己管理が壊滅的にダメなアホっぷり…が、むしろスーラジの良さかも。

父シャームは、星一徹より遥かに人格者でした。日本人から見ても、理想の父親。
父ちゃん、ちゃんと説明しろよ…とは思いますが、そういう作風なので。
息子を温かく、かつ大きな視野で見守る大物、かっこいいです。

姉シャンティーは、明子姉さんよりも自己主張が出来るステキな女性でした。
ここら辺は日本人でも、時代が近いインド作品の方に共感できるかも。

伴忠太ポジの親友バップー凄い良い奴、作中一番の理解者、まさに女房役でした。

花形満ポジのライバル・ヴィクラムは嫌な奴…と見せて、実はスーラジ好き過ぎるツンデレか。
野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」の猪狩君っぽいですw

左門豊作ポジのラージは卑劣な性格で印象良くない。
こいつだけは原作改悪…。
バップー父はナベ〇ネ彷彿とさせる…ダメだこいつは。

多分、長嶋茂雄さんポジなサミール強かった。スーラジの先輩として存在感あり。
イチローポジというかずばりイチローのトンデモ武道家っぷりスゴイ。助っ人外人のスーパーキャラ、武道の心得は日本の心ですな。

看護師マーヤがとても魅力的、自立した大人の女性で包容力あり、スーラジが惚れるのも分かる。
幼馴染のミーラちゃん、ラブコメの波動を感じて可愛いです。幼馴染は負けヒロイン…でも本作では負けていない!

他スラムの仲間たちがハートフルだったり、練習投球専門のスタッフがちゃんと信念あったり、サブキャラが好印象。{/netabare}

投稿 : 2016/10/12
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サンキュー:

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