Ka-ZZ（★） さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ラストまで目が離せない作品でした…

この作品の原作は未読ですが、「ももくり」を輩出している漫画アプリcomicoの作品であること、そして、かやのん、戸松さんが出演される事を知り視聴を決めた作品です。

この物語の主人公は海崎 新太…
折角入社した会社を3か月で退職してしまった彼は現在無職でフリーターの27歳です。
これからの生活に困っていた彼の前に「夜明」という人物が登場しました。
夜明は「リライフ研究所」の職員で、海崎に1年間の高校生活を送る実験に参加する事で生活を保障するという話を持ちかけられるのです。

藁にも縋る思いだった海崎は、2度目の高校生活を送る実験に参加する事となり、物語が動いていきます。

リライフ生活を送る上での絶対条件は、自分が被験者である事を口外してはならない、という事なのですが、もう一度高校生活を送りたいか…と考えると、個人的にはNoです。
まず海崎同様、色々と忘れていて学校の授業についていける気がしないのと、体育の授業も体力の低下によって受けられる気が全くしません。

いくら生活のためとはいえ、もう一度高校生活を送る決心をした海崎に拍手喝采です。
27歳だと高校を卒業してから約10年…間違いなく著しく体力は低下していて、高校生と同じように動くことは限りなく不可能でしょう。

それに高校生とコミュニケーションを取るのだってかなりキツイと思います。
今の若い人達って何を考えているか分かりませんから…
もし私がリライフしたなら「ぼっち確定」となったでしょう。
それならそもそも声なんて掛からないのかもしれませんが…

凄いのは海崎のコミュニケーションスキルの高さです。
クラスに打ち解けるのに、そう時間はかかりませんでしたから…

クラスに馴染んでくるとこれまで見えなかったモノが見えてくるようになるのですが、ここからがこの物語の真骨頂です。

海崎は様々な高校生の悩みと直面するのですが、彼なりの答えの出し方にはとても見応えがありました。

喉から手が出る程欲しいモノ…そのために頑張ってきたのにあと一歩届かない…悔しい…
ホントは仲良くなりたいのに、どうすれば良いかが分からない…
違う…ホントはこんな事が言いたいんじゃない…でも何でこんな台詞しか紡げないの…？
自分の気持ち…どうしたら伝えられる…？

こんな等身大の悩みは、今を一生懸命生きているから生まれてくるモノ…
だから悩みの解決にはどれだけだって手を貸すことができます。
だけど、自分に置き換えて考えると…どうしても消極的になってしまうんです。
だって、リライフ期間はたった1年…その1年が過ぎたらまた元の自分に戻ってしまう…
このかりそめの場所に気持ちを…思いを残す事に何の意味がある…
…この海崎の意見には私も同意です。

今の状態って、例えば1年間海外出張に行っている様な感覚なんじゃないかと思います。
自分の生活の基盤の無い場所で、何を浮ついているの…？
それより優先すべき事があるんじゃないの…？
きっとこんな考えが根底にあるのだと思います。

きっとそれでも夜明は本心に素直に…と勧めてくれると思います。
リライフの1年間って、元の生活に戻った時にどの様に活かせるんだろう…
例えばコミュニケーションに問題がある人がリライフによって問題を克服して元に戻って有意義な生活を漫喫する…というなら話は分かります。

でも、海崎の場合問題らしい問題が有る訳じゃないんですよね。
確かに物語の序盤は無職のフリーターでした。
でもその理由も物語の進展に伴い明らかになるのですが、彼の問題…というにはあまりに話が大きすぎましたし、彼の選択した行動が間違いだったとは思えないんです。

とても悔しかったと思います…
こんな理不尽がまかり通る世の中に絶望を感じたと思います…
彼が心の奥底に抱える闇…気になる方は是非本編でご確認下さい。
タイトルにも記載しましたが、最後の最後まで目の離せない作品でした。

オープニングテーマは、PENGUIN RESEARCHさんの「ボタン」
エンディングテーマは、2000年前後のJ－POPで毎回異なる曲が流れてきましたのには思わず懐かしさを感じてしまいました。

1クール全13話の作品でした。面白さが当初の個人的想定を遥かに上回った作品だったと思います。ラストの展開は想定外…これを知ったら続きが余計に気になりました。
続きの気になる作品が増える一方です…
この作品も続編が制作されるなら絶対に視聴したいと思います。