要 塞 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
天の恵みか、はたまた呪いか
アバンギャルドなオープニングからは想像もできないほどの、
綿密な精神描写が展開され、あらゆる意味で意外性に富んだ作品でした。
超能力を扱った作品は星の数ほどありますが、
この作品はそのどれとも違う特別なオーラを持っていました。
独特な作画が何よりも目を引くのは否定しませんが、
それよりも注目されるべきは超能力を持て余す主人公の心情が、
突拍子もないアバウトな設定の世界観において、無駄にリアルである。
この点に尽きると思います。
強大な能力を持つ主人公は、過去の作品においても、
ヒーローとして描かれることが多く、
その精神描写は作品を盛り上げるために必要なことであるとしても、
どこか浮世離れしているように感じます。
しかし、この作品の主人公・モブは、その名の通り、
大衆の一部から切り出したキャラに主人公という名札を付けただけ、
と言っても言い過ぎではないデザインだと思います。
(主人公としての存在感は大いにありましたが)
そしてその内面は、非常に世俗的で、
私たちが勝手に作り上げた英雄像からは程遠い。
この点が他の超能力作品との大きな違いだと思います。
そして、この作品の注目点をもう一つ上げるとすれば、
それはスパイス、および隠し味の効果が、絶妙であるという点です。
上述のような主人公ともなれば、その行動をただ追っていくだけでは、
オーディエンスもさすがに白けてしまい、人気も出なかったでしょう。
視聴継続欲をそそるスパイス、隠し味とは何なのか?
それは・・・{netabare}
むろん、超個性的なキャラクターである「師匠」の存在と、
一癖も二癖もある名脇役たちの言動などでしょう。
(※意見には個人差があります) {/netabare}
ただバトルするだけの超能力作品に疑問を感じ始めた方、
自分は所詮日陰者だ、と、人生裏街道爆進中の方、
最近超能力に目覚めた方、怪しいセミナーに誘われた方、
肩こり・腰痛がひどいと感じる方に、是非お勧めします。
もしかしたら、憑き物が取れて、
心が軽くなるかもしれませんよ。
あと、詐欺にはくれぐれも注意しましょう。