KazuHiroくん さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
悪くない。
友人から何度も押されて、1年位の時間をかけてやっと見終わったアニメであった。
僕自身小説というものはほとんど読まないし、ミステリーなんてものは映画も含みて見るということは全くない。
その為、このアニメの本質を理解するというのにはすごく時間がかかった。
それが1年という視聴期間を要したものだったのかもしれないと僕の中で最後に思った感情である。
最初に氷菓を見始めたときは、何のためにこのような無駄な推論を繰り広げているのだろうか?
この解答を得ることに意味があるのだろうか?
そんな疑問を頭のなかにめぐらせていた。
はっきり言って、見るのが苦痛で全く面白くなかった。
本来であれば、僕は見るのをやめて今後一生続きを見ることはなかった、と言うか実際、挫折して半年くらい見なかった期間がある。
しかし、定期的に友人から氷菓の素晴らしい点を聞かされていくうちに、つまらなくても最後まで見てみようかという感情を持たされたため、幾度かの中断期間を要して最後まで見ることができた。
僕が氷菓の面白さを少しばかり理解することができたのは、第19話の学校内アナウンスからその内容を推論するというゲームが始まったことである。
このアニメ自体すべての物語は、解決する必要はまったくない、極めて非重要的な内容である。
解決せずとも人の生死にはかかわらず、日常生活にも支障がない。
しかし、その解決事態がいわゆる娯楽であり、面白さを求めているということなのである。
それをわかりやすく説明してくれたのが、第19話なのであった。
それが当たっているかなんてどうでもよく、それが理にかなっているか、そして相手を納得させることができるか、まるでディベートのようなゲームなのである。
アニメのストーリーを楽しむというアニメ特有の楽しみだけでなく、推論というゲーム性を一緒に体感する、これが氷菓の他のアニメとは異なる特性なのかもしれない。
ただ、それが僕にとって最高のアニメであるというわけでもない。
そもそも僕はミステリーを知らないが、ミステリーを入門するという一つのステップとしてはいいのかもしれない。
もし、ミステリーオタクが、非ミステリー人物にミステリーを推し進めたいのであれば、この氷菓を見せるという方法は悪くないのかもしれない。
もう一つ、僕がこのアニメのいいと思ったところは、19話のメインヒロイン千反田えるの時折見せる、いつもとは違う純粋かつかわいい反応である。
これは、ある程度の長い時間を折木 奉太郎と時間をともにして、初めて心を許した瞬間なのではないかと僕の中で思った。
今までも、言ってしまえば馴れ馴れしい態度はあったのかもしれないが、それは他人行儀のようなところを含んでいた。
がしかし、この19話ではなんだか幼馴染のような、素直な千反田えるを見ることができた。
そして、その顕著な瞬間は10:55秒「きな臭いのきなってなんでしょうね!」のあとの「ん~~~~~」の顔と声は明らかに今までの千反田えるとは違う姿だった。
何度もリピートしてしまったというのは言うまでもない。
そして、その後に顔を近づけすぎて、二人の気まずそうな感じだったり、21話のバレンタインデーの回だったり、後半にかけて徐々にただのミステリー解決アニメからそれを含んだ恋愛アニメにシフトしていくのが個人的にとても面白かった。
つまりだ、ぼくはやっぱり、ミステリーよりも恋愛アニメのほうが好きなのかもしれない。