plm さんの感想・評価

3.7
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ぴぎぃぃ！！

　前作ラブライブからμ'sメンバーが卒業後、キャラクターを一新した新シリーズ。
ラブライブシリーズの作品の魅力といえば、豊かな表情（顔芸）やアクション、
それに個性的なキャラたちの掛け合いから繰り広げられる、勢いあるコミカルさ。
今作でも期待したいのはそこである。

μ'sが都会のスクールアイドルだったのに対して、今回は比較的田舎の学校が舞台。
太陽が照らす海辺をイメージに、フレッシュに一新したラブライブ。

■が、二番煎じ
　せっかく舞台やキャラクターを一新しているのに、
物語の構成は無印ラブライブの焼き直しな内容。

元気系突撃っ子・高海ちか（ほのかポジ）がスクールアイドルやりたい！と言い出し、
天然系幼馴染系・曜ちゃん（ことりポジ）が応援しだすも、
クール系常識人・梨子（うみポジ）が入るのを渋り、スカウトを繰り返す。
ここまでテンプレ。

そこに仲の良い下級生の二人組、るびぃ（花陽ポジ）とズラ（凛ポジ）が現れ、
二人は片方がアイドルに強い憧れを持ち、もう片方がそれを後押しする形で参戦。
ここまでもテンプレ。

色物枠のヨハネ（マキより……にこポジっぽい？、学年違うけど）も加わる。

対立していた三年勢、生徒会長ダイヤ（えりちポジ）と、その親友マリ（希ポジ）
の過去が語られ、スクールアイドルへの想いは同じだということで合流する。
これまたテンプレ。

余った果南さんは空気気味。

～～～

細かいところでは、もちろん色々違う個性はあるが、
物語上での記号的なキャラクター性も際立って感じてしまった。

続編として見ずに新規ファンを取り込む内容と考えるなら、それでもいいのかもだが。
半分以上の話数がこれに割かれているため、やっぱり焼き直し感が拭えない。
ラブライブはメンバーが揃ってからの掛け合いが面白いところだと思うので、
メンバー集めが鈍足の進みだったのは残念だった。もっとサクサクで良かった。

■良かった回
　展開が焼き直しとはいえ、キャラの個性が感じられる回は良かった。
お気に入りは
・５話　ヨハネ堕天回
　ヨハネ自体は中二キャラという最近流行りの属性なので、そこまで目新しく感じないが
　リトルデーモン化したるびぃちゃんが可愛かった。
・１０話　シャイ煮回
　３年勢が加わり、３年勢がキャラ崩壊し、全員の掛け合いが楽しめる回。
　やっぱり全員揃うとメンバー集めのストーリー都合がない分、素直に楽しかった。
・１１話　友情ヨーソロー、曜ちゃん回
　曜ちゃんがかなり魅力的なキャラだった上、一歩進んだキャラ掘り下げ回だったため。
　キャラの心情描写が最もよく表れていたのもこの回だと思う。

■曜ちゃんが強い
　曜ちゃんのアイドル適性はメンバー中でもかなり秀でていると思う。
アニメを観る限りで、アイドルとしての気概、キャラ立ち、持ちスキルで評価すると、

ちか：アイドル心は人一倍高い、しかしスキルはなくキャラ性も少々弱い　…１点
曜ちゃん：アイドルに前向き、ヨーソローで個性有、水泳スキル持ちで人気者　…３点
梨子：アイドルへの気持ちは薄め、キャラも普通、ピアノスキル持ち
　　　アイドルへの気持ちが変化していきそうなのでポテンシャルはあるが　…１点
るびぃ：アイドルへの憧れは強くキャラも立って、スキルはないが高評価　…２点
ズラ：気概はそこそこ、キャラはまあ立っている、全体的にほどほど？　…１．５点
ヨハ：キャラは凄く立っているが、気概はそこまででもなく、スキル乏しい　…１点
会長：気概は強いが中心的ではない、キャラ立ち微妙、スキル見当たらず　…１点
マリ：想いはかなり強い、キャラはシャイニー、スキルは？　…２点
果南：気概は消極側、キャラは出番が少ない、スキルは一応ダイビングと体力有　…１点

これは勝手な評価ではあるけれど、曜ちゃんはずば抜けてハイスペックに見える。
逆境でも仲間を応援できる前向きさ、タフさを感じるし、協調性も高い。かなりの強キャラ。
次点でルビィがキャラが立っていて、気持ちも強いのでアイドル適性が高く感じる。
恥ずかしがり屋のくせに、がんばるびぃ！などの技を編み出したりするので面白い子だった。
マリさんも３年勢のせいで出番は後半のみだけど、アイドル映えするキャラに思えた。

もうちょっと彼女らの先々の化学反応が観たかったもんだ。

■どうしてこうなった最終回
　寸劇が相当ひどかった。学校存続のための「０を１にする」を理解してもらうために
自分たちの身の上を説明するというのは、一つの方法かもしれないが……長すぎる。
舞台でやることではないというリアリティの無さに加え、言葉で苦労を説明してしまう寒さ、
内容的にもただのダイジェストというつまらなさの相乗効果でひどいことに。
ただの回想で尺いっぱい使って、ライブ開始の方がまだマシだったレベル。
「０から１」になるどころか、同じようなセリフの繰り返しが、
ひたすら０を繰り返しているような感覚にさえなる。
そもそも「人を集めないと廃校」みたいなプロットまで持ち出してくる必要がなかった。
最後までストーリー都合が足を引っ張っていたなーという印象。

表情豊かなキャラや作画はシリーズ通し良かったので、なんだかちょっともったいない作品。