東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
正義とは何かを問うたアニメ黎明期の名作。
秋アニメでリバイバルするので、15年以上前(まだ、20世紀だったはず)ですけど、有線のサービスチャンネルで観ているので、覚えていることだけ書きます。
なんたって、これ105話もあるんです。各話ごとはとても覚えていないですけどね。
OPは「白いマットのジャングルに〜」で始まるあの曲。
EDは「みなし児のバラード」という曲で、心が折れているときに聴くと涙も出てくるような胸にジーンと響く曲です。
YouTube「東映アニメーションミュージアム公式」にあるので是非一度聴いてみてください。
原作:梶原一騎
漫画:辻なおき(連載ぼくら、週間少年マガジン)
放映:昭和44年10月〜昭和46年9月(全105話)
制作:東映動画(東映アニメーション)
当時はセル画ですけど、同時代の『巨人の星』や『あしたのジョー』よりもいいとはいえず、フイルム傷も結構あるので作画は低評価としています。
また、アニメと原作漫画は展開が違うので、原作を読まれた方でアニメを観ていない方は注意してください。
物語の結末は伊達直人の安否を曖昧にしたアニメの方がいいと思います。
『あしたのジョー』もなかなかシリアスですけど、前半の悪役レスラーの時期、虎の穴から刺客が送り込まれる後半は全て死闘ですので、故意の殺しあいはしないボクシングよりもよりも殺意がある反則プロレスの方が遥かにシリアス展開です。
スポ根ではなく、人間ドラマに近い作品です。
グロシーンも多いので、気の弱い方は視聴に注意してください。
主人公、伊達直人(タイガーマスク)は孤児で、あるときに孤児院を飛び出し悪役レスラーを養成する「虎の穴」に入るためにスイスに渡り、地獄の訓練を生き延びプロレスラータイガーマスクとしてデビューします。
しかし、ファイトマネーの半額は「虎の穴」に上納することになっていました。
残りのファイトマネーから出身孤児院に寄付をしていましたが、孤児院が極度の経営不振で危機に陥っていることを知らされ、虎の穴へ上納をやめファイトマネーのほとんどを孤児院再建に寄付します。
上納金を納めないものは裏切り者とされ抹殺の対象となります。
日本支部の責任者ミスターXは秘密裏にタイガーマスク抹殺を画策します。
虎の穴と手を切ったときに、タイガーマスクの実力を買っていたジャイアント馬場から日本プロレスへの参加を打診されます。
どこかに所属しないと試合ができないため、二つ返事で日本プロレスに入り、地方巡業へと向かい、巡業先で伊達直人として、孤児で盲目の少女ちずると出合います。
孤児院の関係者から、手術で目が治ることを聞かされ、馬場の制止を振り切り、優勝賞金10万ドルを賭け、近々開催される覆面ワールドリーグへの参加を決意します。
ところが、覆面リーグ戦はタイガーマスクを抹殺するために仕組まれた罠でした。
虎の穴から異様な出で立ちの覆面レスラーが続々と登場します。
特に、私が印象深いのは黄金バットのような仮面をつけたレスラー。
仮面から強力な光を放って目を眩ませ、仮面に仕組んだ金属製の切り刃で相手をズタズタに切り裂きます。
準々決勝でのダメージが回復しない身体で臨んだ準決勝でタイガーマスクはこの変な仮面とはリングアウトの引き分けとなります。
しかし、凶器を仕組んだ仮面で試合をしたことで、グレートゼブラ(ジャイアント馬場)が試合のプロモーターミスターXに抗議をし、決勝戦は(タイガーマスクの負担を減らす意図で)タッグマッチとすることで了承させました。
グレートゼブラはタイガーマスクとタッグを組み、ライオンマン、エジプトミイラのタッグと対決します。
なお、タイガーマスク含め、誰もグレートゼブラの正体は知りません。
ライオンマン、エジプトミイラとの対決に勝利したグレートゼブラ、タイガーマスク。
引き上げる通路でタイガーマスクがグレートゼブラに対し正体を明かすように詰め寄り、ジャイアント馬場は覆面を脱いで正体を明かします。
ジャイアント馬場はタイガーマスクの参戦が賞金欲しさや、売名行為ではないことに気がつき、そして、覆面リーグは虎の穴の罠であることを疑り、タイガーマスク救援のために参戦したのでした。
ここまでがテレビ26話で、少女との後日談は次の27話ですけど、本当に泣ける美談です。よければ視聴してみてください。
話数が多いので26話まで見れば、タイガーマスクの生い立ち、虎の穴の概要、ジャイアント馬場との関係が分かります。
27話からは群像劇のような展開と、虎の穴からの刺客や他のレスラーとの対決。
リング上のみではなく、伊達直人としても命を狙われたり、
ウルトラタイガードロップや、必殺技、ウルトラタイガーブリーカーを編み出す話し。
ヒロインで幼馴染みの若月ルリ子との恋愛回話102話と103話にまたがります。(分かる人には分かる演歌をBGMとしたエロ描写)ここで、直人はルリ子にタイガーマスクの正体を打ち明けます。
最終回、虎の穴総裁タイガー・ザ・グレート戦で真っ二つにへし折った机の先を刺されかけたところ、覆面に刺ささり、破けて素顔が露出し、観衆や応援に来ていた孤児院の子供達にも、タイガーマスクが伊達直人だったことがバレます。
今まで、反則を自重しクリーンファイトで闘っていたけど、ついに逆上したタイガーマスクは反則につぐ反則でグレートを半殺しにする。
既にノックダウンしかかっているグレートになお手を緩めず、このまま続ければ間違いなくグレートを殺すことを危惧した馬場や猪木がリングに飛び出したが、グレートをリングロープです巻にし、さっきタイガーを刺そうした机の破片でグレートをメタクタに殴りつけます。
気絶したグレートをリング照明に吊るし、ゴングで殴りとどめを刺そうとしたところ、馬場の必死な説得に我に返り、リングから立ち去るが、その直後吊るされていたグレートともども、照明が落下しグレートは下敷きになる。(死亡と言われていま)
最後に伊達直人は「俺はグレートを倒すため反則で立ち向かった。だが子供達には解ってもらえると思う。俺の命がけのファイトと悪に立ち向かう人間の勇気をきっと解ってくれたと思う。」
そう言い残して、飛行機で海外に旅立つ。
別カットでルリ子との会話になるようにオーバラップで編集されています。(ルリ子のセリフは思い出せません。)
凄惨な最終回でしたけど、タイガーの行動に形容する言葉も出ず、しばらく考え込みました。
この作品のメッセージは己の築いてきた立場、名声の全てを失う覚悟で「正義」を貫くならば、例え「正義」の名においても、起こした結果責任と報いを甘んじて受けなければならないことだと思います。
矢吹丈が自分のために闘ったとすれば、伊達直人は守るべき人達のために闘ったのかもしれません。
1期タイガーマスクは何度も観なおし作品が伝えたいメッセージを汲み取る必要がある、内容が濃い作品です。
古い作品ですので視聴する上では難儀かもしれませんけど、アニメ好き全ての方に一度は観ていただきたい名作です。
2016年初校
2018/11/17誤字脱字訂正