u-i さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
前半と後半で話しにねじれがある
前半だけで見れば面白い作品です。また後半だけを見ても楽しめるかもしれません。しかしこれらを一つの話として見た場合、全く面白くありません。
前半は世界に跋扈するゾンビ(作中ではカバネリと呼ばれます)を時にかわし時に戦いながら平穏の地を目指し旅するぞ、という旅物あるいは冒険物の雰囲気で、主人公の目標もゾンビをこの世から駆逐し人が自由に平和に生活できるようにすること、という分かりやすいものになっています。
これが後半に入ると、いきなりキャラ同士の因縁が絡み合う人間関係と政治的な話が核に据えられます。
本来、前半のような分かりやすい目標を立てたとき、物語の終わりにはその目標が達成されたか、されなかったか、がはっきりと分かる形で提示されるのが普通です。
また、後半のような人間関係や因縁の絡む話をやるならば、前半できちんと伏線を張ったり過去から続くあるいは現代で構築される関係と因縁を提示し、順序を踏んでから後半の段階に入らなければなりません。
この作品ではどちらも中途半端で、前半の分かりやすい構図や目標が、気がつくと忘れ去られて、後半ではなじみの薄い因縁や人間関係が主軸となって物語が展開されています。
前半部分は不完全燃焼で、後半部分には説得力がありません。
全体を通して演出が良く(特に音楽を使った演出は熱かったです)、作画も声の演技も安定していました。
ただ、前半と後半で本質の全く違う話を無理やりつなげたがために、話自体の魅力が半減どころじゃない状態まで鈍ってしまったことが非常に残念な作品です。