東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
実際は主人公宇佐美さん、ヒロイン内巻くんの学園コメディ。
今期のダークホース。
思春期にありがちな恋愛に素直に向き合えない宇佐美さんを思わず応援したくなる物語。
物語上はヒロイン設定の宇佐美さんですけど、男性はおろか女性にも共感が得られるキャラだと思いますし、物語展開のほんとんどは宇佐美視点で進むところがポイントです。
原作コミック既読。
原作いみぎむる(電撃マオウに連載)
監督は「みなみけ おかえり」「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の及川啓さん。
構成、脚本は「ヨスガノソラ」「パパのいうことを聞きなさい!」の荒川稔久さん。
日常系アニメの制作経験が豊富なコンビの作品。
アニメ制作feel.
【あらすじ】
月杜中学美術部を舞台に繰り広げられる、ラブコメになりそうでならない微妙な距離感と軽いギャグがたまらない作品です。
11話、最終話を除き、1放送回で2〜3話の変則構成。
宇佐美さんと内巻くんが主役とならない原作はかなり削除されています。
物語の主な登場人物は、二次元嫁をこよなく愛し三次元には興味を示さない主人公で二年生美術部員、画力は相当の持主の内巻すばると、ヒロインでうさぎの小物にこだわる常識人の二年生美術部員宇佐美みずき、睡眠へのこだわりがハンパない先輩の部長、しかし、内巻くんと宇佐美さんの関係進展を見守っており、ときおり、内巻くん絡みで宇佐美さんを弄るのを面白がっています。
そして、いつの頃からか美術部に入り浸っている、一年生女子でトラブルメーカーの白人美少女のコレットさん。(原作では、親が大金持ちのロシア系外国人、美術部の一年生)
宇佐美さんが内巻君を片思いなことを知っている様子で、内巻くんの隣で添い寝するとか、宇佐美を揶揄っているフシがありけっしてKYではないようです。
いつも、宇佐美さんをヤキモキさせているのが、内巻くんのクラスに転校してきたオタクで中二病の伊万莉まりあ。
コレットさんの中二病師匠でもあります。趣味や行動とは裏腹に実は結構常識人。内巻とは話題が合うので仲睦まじく話していることが多く、その姿を見るたび宇佐美はヤキモキと嫉妬をしています。
しかし、本人達は趣味仲間の感覚で恋愛感情にまでは発展していません。
その他、新人教師で天然なために今ひとつ頼りにならない美術部顧問の夢子先生、宇佐美の同級生で友達のかおり、涼子、新聞部のさやか達サブキャラが、宇佐美さんの片思いを中心に物語を盛り上げていきます。
一貫しているのは、宇佐美さんと内巻くんの進展しない焦れったい関係ですけど、基本的にはストーリーの連続性が低い各話15分程度の完結ストーリ。
【みどころ回】
全話それなりに楽しめますけど、独断偏見でピックアップをすると、
・ギャグ回
(第8話Cパート)
秘密の小部屋で会話が盛り上がりイチャつく内巻くんとまりあにイラつく宇佐美さんがキレます。
宇佐美さんに怒られた二人が静かにマンガを読んでいたら、謎の文書が挟まっていました。
美術部の卒業生が残した謎めいた文書を巡り、謎解きにチャレンジする宇佐美さん、内巻くん、まりあの三名。
苦労して発見したお宝はエロ本でした。
宇佐美さんの美術知識が凄いことも判明したゆるいギャグ回です。
(第9話Aパート)
屋上ではで学校に魔導書があるとかないとかのまりあとコレットさんの中二病会話、そこに夢子先生が現れて二人の話しを間に受け、魔導書を捜しに校内を巡回。
美術部では前回発見したエロ本の扱いを巡り、部長と内巻くんがもめています。
呆れた宇佐美さんに正座させられ説教される部長と内巻くん。
そこに夢子先生が現れて急遽エロ本を隠す部長と内巻くん。
夢子先生の隙をついてエロ本を持ち出したものの、魔導書を捜しているまりあとコレットさんに捕捉されて内巻くんがお腹に隠している本を魔導書と勘違いしたコレットさんと格闘の末に隠し持っていたエロ本がポロリ。
気まづい雰囲気が漂っている最中に、夢子先生が現れコレットさんが堂々とエロ本を読み始めます。
夢子先生に誰の本か尋ねられたコレットさんはあっさり内巻くんと言います。
そして内巻くんはめでたく説教部屋へと連行です。
・キュンキュン
(第3話Cパート)宇佐美さんの級友かおり、涼子、さやかの3人が美術部に遊びに来て起きたハプニングで、宇佐美さんと内巻くんが間接キスをしちゃったお話。
(第6話全部)宇佐美さんのライバル?伊万莉まりあの初登場回。
(第8話Aパート)ひょんなことから宇佐美さんと内巻くんが教室に閉じ込められて夜を二人きりで過ごす回。内巻くんが宇佐美さんを女の子として意識し、照れを見せた貴重な回。二人きりでいる宇佐美さんの妄想もかわいい。
(第10話Bパート)内巻くんの寝顔に思わず宇佐美さんが欲情する回。
・友情
(第10話Cパート)宇佐美さんと内巻くんの恋路を心配する友達のかおりが、まりあの正体を探るためにストーキングして、逆にまりあの性格の良さにほだされてしまうミイラ取りがミイラになったお話。
・ほのぼのとロリコン
(第2話Bパート)宇佐美さんの回想回で、内巻くんに惚れた動機が語られます。小学生のコレットさんと萌香ちゃんが登場。
迷子の途中に知り合ったコレットさんに吹き込まれて、宇佐美さんと内巻くんを悪人と思い込んだ萌香ちゃん。
内巻くんがお母さんのスッケチを書いて見せて信用させ、無事お母さんの元に連れて行きます。
(第9話Cパート)校内で迷子になった前の顧問小山先生の孫娘萌香ちゃんになつかれる先輩。
萌香を肩車して校内を案内します。ロリコンがいたについている先輩でしけど、観ていてほのぼのする回です。
そして、この話し「もえさんぽ」は第10話Aパート「思い出のターコイズブルー」に続きます。
・青春
(第11話)日頃は何かとトラブルが多い美術部が団結して作品を作るお話し。
夢子先生の発案で文化祭に空き缶アート出展することになった美術部の面々。
コンセプトがなかなか決まらず、結局宇佐美さんが絵の具を思いつき、原案を見たまりあの意見でコンセプトが固まります。
制作に取り掛かるも、集めた空き缶を捨てられるハプニングにおそわれて完成が危ぶまれたそのとき、日頃は怠惰な先輩のGJで形勢を挽回して完成します。
なぜか、空き缶集めの協力に萌香ちゃんとお母さんも登場。まりあの巨乳も明らかになります。
1話をまるまるを使って、アニメには登場しない原作キャラも含めたキャラ総動員の文化祭編は、宇佐美さん達の青春物語そのもので清涼な後味を残した神回です。
【まとめ】
この作品の凄いところは、キャラデは萌え系、OPでエロを予感させ男性視聴者を呼び込み、女性視聴者にはストーリーを宇佐美さん目線で展開させ、感情移入へと巧みに誘導する構成がされている点、サザエさん方式で各話のストーリーをショートにしたことで、物語の展開が軽快となり日常系にありがちな冗長なダルも排除され、キャラもしっかり立ったことです。
そして、回を追うごとに少しづつ二人の仲は進展しているように見えるので、思わず宇佐美さんを応援したくなります。
でも、最後まで、二次元からブレない内巻くん宇佐美さんの苦労はこれからも続きますね。
キャッツアイも作品に合っていてかわいいし、OPもEDも良かったです。