Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
スポットライトの当たるところだけが居場所じゃない…
この作品は円盤の第7巻に収録されている番外編の物語です。
この物語は、私たちが本編で視聴してきた表舞台の舞台裏を描いた作品になっています。
そう…この物語の主役は、本編のオーディションで惜しくも落選してしまった人たちなんです。
スポットライトの当たる場所で…みんなと一緒に演奏したいからたくさん練習して…
部員全員が舞台には上がれないから誰かが落ちる事になる事は分かっています…
自分の名前が呼ばれず、思わず泣き崩れてしまったのは悔しいから…
その悔しさは自分への甘さへの後悔なのか、それとも全部を絞り出しても届かなかったからなのか…
ただ一つハッキリするのは、明暗が分かれて自分は「暗」側になったということ…
オーディション終了後は、物語の構成上目標である全国大会出場に向けて合格したメンバーの練習が主体となっていました。
合格したメンバーの中でも様々な葛藤や確執がありましたから当然といえば当然です。
それでもオーディションに落ちた人たちも吹部の仲間なんですよね。
そういうところにスポットを当てるなんて…この作品の優しさを感じます。
物語は、滝先生の落選組に対する絶妙なフォローから始まります。
決して心中穏やかではない彼女たちへの滝先生の優しい気遣いは、是非とも見習いたいところです。
彼女たちには2つのミッションが課せられました。
一つは自分たちのチーム名を決める事…そしてもう一つは自分たちだけの曲を弾けるようになること…
この作品は私にとって心が震えた作品でしたが、それは課せられたミッションに対してではありませんでした。
落選組はチーム「モナカ」として奮闘するのですが、チーム全員から「全国出場を果たしたい」という部員共通の目標に一遍の曇りがないことと、合格組を「全力で支えてやる」という強い意志がひしひしと伝わってくるんです。
何事も一人ではできない様に、「縁の下の力持ち」がいて初めて成立するのが部活だと思います。
それは吹部に限った事では無く、スポーツ系でも文化系でも何でも同じです。
支えてくれる人がいるから頑張れる…という事ってあると思います。
だから例えスポットライトが当たっていなくても、チーム「モナカ」はキラキラに輝いていました。
大会当日、本編では描かれていませんでしたが水面下で北宇治高校吹奏楽部にはピンチが訪れていたのです。
そこで立ち上がったのがチーム「モナカ」でした。
「チューバの肺活量…なめるなよっ」と言って全力で疾走する葉月ちゃん…私は涙無しには見れませんでした。
点と点が繋がって線になり、やがて線は面になって音を奏で始める…
「合格組」とか「落選組」とか関係ない…部員一人ひとりの心の持ちようで全体のポテンシャルはまだまだ上げられるんだ…そう実感させて貰いました。
これって仕事でも同じ事が言えるんだと思います。
1クール30分の作品で・・この作品のファンなら必見の作品だと思いました。