「聲の形(アニメ映画)」

総合得点
88.4
感想・評価
1522
棚に入れた
7498
ランキング
115
★★★★★ 4.1 (1522)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

過去の痛みを乗り越える方法はひとつではない

世界観:6
ストーリー:7
リアリティ:7
キャラクター:6
情感:6
合計:32

“退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。
ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。
彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。
しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。
やがて五年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。
“ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子の元を訪れる。
これはひとりの少年が、少女を、周りの人たちを、そして自分を受け入れようとする物語――。
(公式サイトより)

「君の名は。」と同日に劇場で観ました。「聲の形」→「君の名は。」の順で鑑賞し、合間の時間で本作の評価点をつけたので、「君の名は。」と比較をして評価に影響があったということはありません。

ネタバレを含めた概要としては、
{netabare}冒頭、主人公の将也が自殺をし損なうところまでのエピソードが流れた後、舞台は将也の小学生時代となり、将也は耳が聴こえない障害を持つ転校生の硝子をいじめてしまい、その後には自分がいじめに遭い、その後人間関係をうまく築けないまま成長していった過去が流れます。そして、将也と硝子の再会を起点に、小学校時代の友人たちが集まって、当時壊れた関係を修復していく{/netabare}
という物語です。リアルな表現も多いので、全体的に重さを感じる作品でした。

聴覚障がい者が出てくるので、手話が結構描かれていて、映画を観終わる頃にはいくつか覚えられると思います。このタイトルを利用してもしなくてもいいですが、手話を覚えるためのアニメとか作ったら覚える人が増えるような気がしますね。

私はこの映画を見るにあたって事前情報をひとつも入れていなかったので、エンドロール時に驚きました。本当に聴覚障がい者なのかと思ってしまうほど、早見さんの演技はすごかったです。

さて、リアリティ面。
{netabare}まず、硝子が転校してきたときに、ノートに書いた文字で自己紹介をしますが、近くの席の数人しか見えないよ、というのと同時に、耳が聴こえない生徒であることをわかっていながら、それを先に説明しない先生に不信感を受けました。{/netabare}
私は疑問の描写があるとどうしてもツッコミを入れたくなってしまう性分でして、集中力が落ちてしまいます。

{netabare}札束が燃えてしまうシーン。重なっているのですぐには灰にならないし、面積が2/3以上残っていれば全額で交換してもらえます。その後、全額がなくなってしまったかのようなシーンがありましたが、ほとんどが交換できたことを言ってほっとさせてほしいところです。

硝子の妹に靴をあげるシーン。小さいサイズの靴をなぜ持っているのかが不明でした。

そして、ここからが物語の核心にもつながる部分です。小学生時代など昔の人間関係で生じた痛みは多くの方が経験するものだと思いますが、当事者が集まって解決するというのが、スッと入ってこないのですよ。

この点はあの花と比較するとわかりやすいでしょうか。あの花は、めんまの幽霊がじんたんの前に出現したのが起点となり、元々友達(超平和バスターズ)だったメンバーが集まるというもので、受け入れられました。しかし、本作は、将也が自殺を考えて、過去に自分が行ったいじめの償いとして、硝子に会いにいったのが起点となり(謝罪しに行ったはずが、それを忘れて友達になろうと言うのもおかしな話です)、当時の主な関係者が徐々に集まってくるのですが、お互いに大して仲が良かったわけでもなかったように見えました。植野(隣の席にいた女子)が今更何度も出現してくるのは何故なのでしょうか。同じ学校の別のクラスとかで、当時から好意を持たれている設定でしたっけ?

それぞれ、今の人間関係や日常に追われていて、過去のことはどうでもいいと思う人のほうが多いだろうし、過去の痛みがあったとしても、それは当事者が集まる必要はなく、別の物事に対処することによって各自が乗り越えていくものだと思うのです。乗り越える必要の生じるタイミングが同じってこともありません。
(数年前、20年来の同窓会を企画したことがありますが、昔仲良かった人に直接電話で話しても断られたりするのが現実です(涙))

このような見方をしているので、辛い描写がある度に(京アニだけに余計鋭利です)、なぜそんな目に遭わせるのか、と思ってしまうのでした。{/netabare}

京アニなので水準はクリアしていますし、キャッチしている方の評価は高いようなので、気になる方は鑑賞して、ご自身で判断していただければと思います。
(2016.9劇場で鑑賞)

投稿 : 2016/09/22
閲覧 : 412
サンキュー:

37

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