東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
がんばったぞい!
原作きららキャラット掲載の4コマ漫画。
今回はフェアリーズストーリー3完成までの1クール。
さすが4コマのアニメ化にかけては右に出る者がいない動画工房の本領が発揮された良作です。
ゲーム開発会社に高卒新卒で入社した青葉を取り巻くなぜか女性ばかりの先輩社員と繰り広げるゆるーい日常の萌えコメディ。
もちろん、社員の立場で飼い猫同伴出社まで許されたり、子供の自習室のようなゆるふわな雰囲気の企業は現実には存在しませんけど、IDカードによる入退室の管理や守秘義務のように社会人として基本中の基本はしっかりと伝えてゆるさ故に生じやすい誤解を防ぐ努力はしっかりされています。
青葉のチームで飲みに行ったときも、未成年の青葉には飲酒させないとか結構、脚本は細く気を遣っていますね。
コウのノーパン姿やりんとの関係でさりげなくエロと百合要素を盛り込み、可愛いキャラデザで誰でも楽しめる作品にまとめあげてくれました。
でも、さすがに青葉の友達ねねはもうちょい大人っぽくキャラデザしてあげても・・。
あれなら小学生でしょう(笑)
青葉達のチームだけでは弛みがちに進むところへ棘のある直言屋あはごんうみこ登場で、ゆるいだけではなく、ちょっとした辛味を付け加え視聴者を飽きさせない工夫もされています。
アルバイトできた ねね の教育係になり、社会人としての心構えを説いてました。
会社設定である以上は社会経験のない視聴者に向けての配慮も大切です。
うみことねねをコンビにしたのは好感が持てました。
結構キャラが多めで、かつ、各キャラ設定も深いアニメですけど、エピソードを含めた登場人物の紹介が巧みで、青葉を取り巻くキャラに違和感なく溶けこめるようにした演出も巧みでした。
ドロドロしたリアルな社会性を本作品では求めていないので、モブ含めて男性キャラを排除した割り切りも違和感は感じませんでしたね。
原作から考えたら、最終回でコウのAD打診を取り上げたのは、青葉に対してコウが必要以上に目をかけた理由のほかに、2期へのフラグのような気がします。
それにしても、社会で苦労して丸くなったコウが上司で青葉は運が良かったですね。
アニメ本編には登場しなかって和子(プロデューサー)がなぜか完成パーティー受付に登場したのも2期のフラグかな。
それにしても青葉可愛いくてまいったわ・・。
原作はまだ先があるので、是非2期も期待するぞい!
ところで、放送前に一部のメディアで「SHIROBAKO」のゲーム会社バージョンのような取り上げられかたをしたので、誤解して視聴された方々も多いようです。
ゲーム制作は彼女達の日常の共通テーマであるだけで「SHIROBAKO」のような業界紹介的な要素はほとんどありせん。
あくまで、物語の舞台設定がゲーム開発会社というだけです。
「SHIROBAKO」のようにある程度本気でやれば、ガチブラックの業界イメージが下がりますからね。
「SHIROBAKO」もですけど、本作品も業界関係者は結構観ていました。黒い描かれ方をされないでホッと胸を撫で下ろしたことでしょう。
そういえば、このサイトで動画工房作品のレビュをするのは初めてですので、動画工房作品の長所をざっと申し上げます。
第一にキャラデザがとにかく可愛いこと。
第二にキャラの魅力を最大限に引き出すためにモーションにこだわりがあること。
簡単に言えばヌルヌル動かします。
EDで円盤がぐるぐる回っているシーン、単純ですけど、制作は相当手が込んでいますよね。
とにかく動かすが動画工房の信念である事が分かるEDです。
第三に物語のテンポを緻密に考えたコマ割が巧みなことです。カメラワークを多用する処理はあまりしない方針のようです。
そのかわりに、背景や美術はそこそこに妥協をしているようです。
わりと動画工房と似たような方向でアニメを作るのが「この美術部には問題がある!」を制作したfeel.ですね。
また、キャラデザの可愛いさは共通していても、動画工房やfeel.とは逆の方針で制作しているのはSILVER LINK.です。
キャラを動かすことよりもカット構成やカメラワークの演出を重視おり、背景、美術の作り込みにもこだわりがあります。
「のんのんびより」と見比べてみると分かりやすいかもしれません。
演出、効果重視はシャフトの制作技法と似てます。
シャフト出身の大沼監督あたりがノウハウ持ち込んだのかな?
SILVER LINK.の手法は限られた予算と日程で多くのアニメを制作する旧虫プロが考案したリミテッドアニメ制作方法の王道で、それを垂直に継承しています。
誤解がないように申し上げますますけど、限られた予算と限られた日程で最大限の知恵を絞って視聴者を楽しませるのが制作会社の使命であり、そのための手段である手法の選択に優劣は存在はしません。
あくまで、アニメを別視点で捉える意味で制作会社のクセや方針のマメとして書きました。
正直、ヌルヌルキャラを動かし、背景美術にもこだわれるのは劇場専門スタジオや京都アニメーション、PA.Works、マンパワーが見込める大手のJC.staff、サンライズ、A-1ピクチャーのように限られたスタジオです。
ただし、規模の小さい京アニは他の制作会社の倍以上制作スケジュールをとっています。
京アニはクオリティを確実に追求するため制作本数が絞られという短所も生じますけど、オリジナルレーベルがあるので、売り上げを絞っても利益率を上げる経営方針のようです。
最近、数をこなしているPAはクオリティ維持よりも外注を増やして辻褄を合わす傾向にありますけど、富山は在京のスタジオをよりも固定費が安い分、経費の圧迫が少ないので本数当たりの利益で有利になりますね。
企業は売り上げても利益が出ないと倒産するので、それぞれのスタジオの経営状況で制作方針は左右されますね。