るるかん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
時間と糸と人との、複雑で美しい『結び』を堪能しました。
『結び』とは、{netabare} 時間が流れること、糸をつなげること、人をつなげること。
三葉の祖母がそう語っていた。
瀧と三葉がどのように時間の流れに抗いながら、糸をつないで、出会うのか。
そこには美しい自然と伝統を重んじ神に口噛酒を奉納する宮水家の、土地の氏神
を敬う日本的耽美があり、その伝統が神と人間を結んでいた。
瀧と三葉の入れ替わりは、彗星の被害にあった糸守町の人々を悼んだ氏神の
意志だったのかな・・・と思う。三葉の運命にもう一度息を吹き込むべく神の
所業がタイムスリップということだったのだろうか。物語全体を通して、
『結び』とは・・・を深く考え我々が今一度大切にするべきことを強く印象
づけられた思いだ。
瀧と三葉は入れ替わることにより、お互いを知り、そして新しいものを発見
する。三葉は憧れていた都会の生活。瀧は東京では考えられない日本の伝統
行事を知り、美しい自然を心に刻む。お互いに欠けていた大切なものを得て
二人の気持ちは一層近づく。
そんな折に彗星の落下が二人の運命を大きく変える。
三葉のいない変わり果てた糸守町を瀧は訪れ愕然とするが、口噛酒のことを
知っていた瀧は、土地の氏神の祠へ出向き、三葉の口噛酒を口にする。それ
がタイムスリップのトリガーとなり、二人の運命がもう一度巻き戻される。
神は時間を糸のように捻じ曲げ、人と人とを結んだ。宗教的というより、
美しい日本耽美の思想が盛り込まれており、ただ忙しいだけの日常で荒んだ
自分の心も清められた思いだ。土地の氏神を崇めることに比重を置いたの
では無く、伝統を大切にする和の心が丁寧に描かれていて感銘を受けた。
若干、時間の流れに翻弄されて物事の順序が整理できなかったのだが、彗星
が落ちる前日に三葉が瀧に会いに来ていたのが3年前、その後、瀧も三葉に
会いに来ている。そしてタイムスリップして、かたわれ時に三葉に会い、彗星
のことを伝え避難をするように伝える。
その日以来、お互いにずっと何かを探している気持ちを持ちつつ8年の時が
過ぎ、三葉の髪紐が互いを結ぶきっかけとなる。(・・・と私は感じた。)
夢から目覚めると記憶が消えているという設定が活きてますね!!{/netabare}
作画も総じて美しいし、登場人物も都会の人と糸守町の人との大きな違い
を丁寧に著していた。極端な日本の縮図を描きつつ、関東も関西も関係な
く、田舎も都会も関係なく、歪められた時間の流れの中で育まれた若者の
美しい恋模様を、ストーリーの核である『結び』が演出した。
作中の挿入歌がそんなに必要だったかな・・・と若干不満が残りましたが、
いい映画を観ました。日本のアニメ文化も、世界を『結ぶ』ものになって
欲しいですね!!
あんまりまとまりのないレビューですみません><;