ato00 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
星降る夜に<2回目の視聴により微修正><追記;地上波初放送記念><追記;prime video配信記念>
アニメ界に彗星誕生!
新海監督の過去作を高評価する私にとって、この社会現象は誇らしい。
しかし、本作の感想を正直に言おう。
新海作品の集大成だけど、「不満!」
つまり、個人的に満足してないってこと。
(2回目の視聴後もその気持ちは変わっていません。)
ある夜嫁が突然「君の名は。って知ってる?」
私「僕が観ようっていってたやつだよ。」
嫁「テレビのワイドショーでやってたよ。」
私「じゃ、観に行く?」
嫁「うん。」
はやりものに興味を示す嫁にちょっと苦笑。
てなことで、アナ雪以来の嫁とのアニメ劇場鑑賞です。
(中略)
鑑賞中の嫁「なんで?」
私「(何声に出しとるん)」
(中略)
嫁「頭混乱だよ。」
と言いつつ、矛盾点を指摘。
私、これを聴き流しつつ。
「(アニメでご都合主義を排除したら成り立たないっちゅうねん)」
って思ってました。
さて、ここからが物語のあらすじです。
わかりやすい(?)ように時系列で語ります。
{netabare}物語の始まりは1200年前。
このとき地球に大接近した彗星の分離核が岐阜県の片田舎に落下。
そのクレーター跡に、一つの町が誕生します。
その町がヒロイン三葉の生まれ育った地、糸守。
この町の神事を司る家に生まれた三葉。
その家に生まれた女性には不思議な力がありました。
人格入れ替わり能力。
なぜこの力が受け継がれたのか?
それは、この地に訪れる厄災に備えて継がれたもの。
ところが、その厄災は回避できず、1200年ぶりに巡ってきたティアマト彗星の分離核の落下により町は壊滅します。
三葉とともに・・・。
その前日何かに導かれるように、ひと月くらい前から夢で入れ替わっていた東京の男子高校生に会いに行き、組紐を渡す三葉・・・。
一方、東京に住む男子高校生瀧。
その年、1200年周期で地球に接近するティアマト彗星を仰ぎ見ていました。
その前日、不思議な現象が・・・。
見ず知らずの女の子に呼び止められ、組紐を渡されます。
知らず知らず、組紐をお守り代わりに手首にまく瀧。
その出来事をほぼ忘れた3年後、不思議な夢を見ます。
自分が片田舎に住む女子高校生になってる夢を。
その名は三葉。
どうも、その娘も夢で自分になっているらしい。
その奇妙な現象に戸惑いつつも、反発し惹かれあう二人。
でも、その関係は長くは続きません。
彗星が岐阜の片田舎に落下した厄災のちょうど3年後、連絡がとれなくなり、入れ替わりも終わります。
組紐に導かれるように岐阜の山奥に向かった瀧の目には厄災により廃墟と化した糸守が・・・、そして三葉の死亡を知ります。
三葉を助けたいがゆえに、記憶を頼りに奉納された三葉の口噛酒を飲むと3年前の厄災日にタイムスリップそして入れ替わり。
そしてパラレルワールドへ・・・。
街を救うために奔走する三葉(心は瀧)。
そして、瀧(心は三葉)との一瞬の邂逅・・・と同時に元に戻り組紐を返却する。
一方、大厄災を目にした三葉の活躍によって、町住民は避難。
人的被害が回避されます。
5年後、その出来事が忘却の彼方に消え去った頃、瀧と三葉に運命の再会が訪れます。
「君の名は・・・」とともに。{/netabare}
こんな感じかな?
2回視聴したのでたぶん間違ってない筈。
ここからが評価です。
{netabare}彗星衝突・人格入れ替わり・タイムスリップ・パラレルワールドとSF要素がふんだんに採用されています。
それを巧みにシナリオに組み入れ、繊細な映像とそれにマッチした音楽により表現したところが、この作品が評価されている理由だと思います。
そして、主人公とヒロインがほとんど接触しないラブストーリー(3回だけの出会い、それも1回は時間を超越して)と、特異な物語となっています。
一方で、男女入れ替わりというコメディー要素を採用している時点で新海作品として初めての大衆化に成功しているといえるでしょう。
これまでの新海作品の名シーンを彷彿させるような場面があったり、言の葉の庭の女先生(cv.花澤香菜)が登場したりと、新海ファンとしてはたまりません。
でも、心を深くえぐる感動がないんですよね。
だから、個人的にはあまりシンクロできませんでした。{/netabare}
以上のことから、社会的大ヒット作品にもかかわらず、観終わってからの感想が「不満!」になるわけです。
ということで次回作に期待しますよ、新海監督。
くれぐれも世間に迎合しないように、己の意思を貫くように。
<追記;地上波初放送記念>
{netabare}やはり面白い、そしてよく出来ています。
観れば観るほど味が出るアニメ、難解なストーリーの理解も深まりました。
ということで、上記のストーリーの時系列に一部間違いを発見、修正しました。
これで完璧です。
CMもひとつの見どころ。
「君の名は。」の原点であるZ会のCMの地上波初放送?
新海ファンにとっては嬉しいところ。
その他印象に残ったCMは2編。
ソフトバンクの入れ替わりコメディー。
上白石萌歌さん主演、実写版近未来糸守町。
目を点にして観ちゃって下さい。
最後に声優さん。
主人公二人は俳優さんなのに違和感がありません。
たいしたものです。
その他、私的名声優、花澤氏と碧ちゃんが出演されています。
ポイントを押さえた配役に万歳です。{/netabare}
<追記;prime video配信記念>
{netabare}何気にprime videoを漁っていると「君の名は。」を発見!
映画公開からもう6年なんですね。
そりゃ、配信されるってもんです。
再視聴で改めて感じました。
最重要アイテムは、やっぱり「組紐」だと。
二人をつなぐ絆ってところでしょうか。
2011年3月、東日本大震災が発生しました。
当時、日本人の誰しもがこの大災害、その後発生した原発事故に心を折られたものです。
その復興途上叫ばれた「絆」という言葉。
これをたよりに頑張ってきたような気がします。
この作品は、個人ではどうしようも出来ないことが起こった場合、人々の繋がりで乗り越えていけることを暗に示しているように思います。
その象徴としての「組紐」なのでしょう。
彗星落下により人命を救いたいと思う瀧君と三葉。
クレーター淵での時間を超えた邂逅が、組紐により実現したのです。
そして、その後の三葉の奔走は、瀧君と三葉の記憶が組紐で結ばれたものと解釈できると思います。
さて、もうすぐ「すずめの戸締まり」の公開です。
不確実で先の見えない現代社会に、新海監督が紡ぐ物語が一石を投じることができるのか。
楽しみでもあります。{/netabare}