u-i さんの感想・評価
1.3
物語 : 1.0
作画 : 1.5
声優 : 1.5
音楽 : 1.5
キャラ : 1.0
状態:観終わった
とにかくキャラ心理が酷い
声優、作画、音楽が1になっていますが、正確には4以上はつけても良いほど素晴らしいです。また物語についても評価できる点はあり、ストーリーライン、大枠で見れば少なくとも1をつけるほどのものではありません。
ただ、それだと平均満足度がこのアニメに対する満足度と明らかに乖離したものになってしまうため、わざと低くつけさせていただきました。
このアニメの酷い点は突き詰めればたった一つです。キャラのほとんどが歯車であり、その心理は物語に都合が良いように、物語を進めるためだけに動き続けることです。
本来、物語はキャラの行動と出来事、それによって動く心理を原動力として動きます。しかしこのアニメにおいては全く逆で、話を動かすためにキャラの心理が動き、キャラが配置されるのです。そのためキャラの心理はおよそ人間とは思えないほど酷い方向に突っ走り、共感や感情移入のできないクズ人間ばかりに見えてしまうばかりか、展開そのものも納得できないものになっているのだと思います。
このように感じられる描写は中盤から終盤にかけて(特に終盤は酷いです)多々見受けられます。
例として挙げていくと
・中盤あらゆる面で主人公の支えとなり、ある出来事によって主人公の主義を転換させ、その後の展開に大きく影響を与えた重要(なはずの)キャラが、その出来事を終えたあとには忘れ去られる。
・上記キャラがいるにも関わらず、主人公が「僕を信じてくれたのはヒロインだけ」というような発言。
・物語を動かす黒幕っぽいキャラクターが最後まで目的を明かさず謎のまま消える。
・終盤に本格登場したキーキャラクターが、ただ主人公とラスボスの対立を煽って踊るだけでキャラとしての描写がほぼない。
・大して絡みの無い男のために体売ってまで奉仕しようとする女。
・終盤にいきなり出てきていきなり死んだ重要っぽく描かれてるけど全然重要じゃない、視聴者からすると一体あいつは何なのか良く分からない敵。
などなどです。
物語を都合よく進めたいがため、あるいはこういう展開ああいう絵を画面に映したいがために出され動かされたキャラがあまりにも多すぎます。
中盤に視聴者が見てフラストレーションのたまる展開、人間の醜い部分が大きく描かれる部分があるにも関わらず、その動機となる心理描写に説得力がまるでありません。これでは主人公からモブキャラまで、どいつもこいつもクズばかりと言われて仕方ないような見え方になってしまいます。
このアニメは「脚本が台無しにした」といわれることが多いようですが、中でも最大の問題は、「キャラの動かし方の根拠」だと思います。行動とその結果である展開は分かりますが、根拠が薄弱で納得できないのです。
このアニメの見方ですが、頭を空っぽにし、キャラの心理に関して深く考えないようにすると、それなりに楽しく見れるかもしれません。