oneandonly さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
たまには心で叫ぼう!
世界観:6
ストーリー:7
リアリティ:7
キャラクター:7
情感:6
合計:33
幼い頃、何気なく発した言葉によって、
家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。
そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。
高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。
(公式サイトより)
近くのレンタル屋で目に入り、以前に話題になっていたことを思い出して視聴することにしました。
1周したときの感想は、「TARI TARIの心情描写を少し丁寧にした感じ」というものでした(あの花の制作スタッフの作品ですが)。音楽系の出し物に取り組む青春劇という点や、終盤の強引さにちょっと惜しいと感じてしまったという点で想起するものがあったからだと思います。評価点もTARI TARIと同程度となっています。
リアリティ重視派として見て、2時間のうちの1時間半までは大きな違和感はなかったです。例えば、{netabare}クラスの出し物に対する生徒の冷ややかな反応とか、途中から変わりましたけど、最初の田崎が先生相手でも悪ぶった態度{/netabare}とか。心情描写がしっかりしていて、背景の作画もさすが映画そしてA-1 Pictures、と思いました。
世界観は現実に即しており、物語は{netabare}、冒頭のお城のくだりは面食らいましたけど、うまくまとまっています。タマゴの設定を成瀬の空想だとしたのも好感ですし、リアリティは下落要因ですが成瀬を捜しにいくシーンと劇をシンクロさせており巧みでした。恋愛部分をうやむやにしなかったことも{/netabare}評価。
リアリティは、最後の30分で評価が下がったのですが、これは{netabare}成瀬がいなくなってしまったところからです。いなくなってしまったこと自体にも共感はできませんが、成瀬にとって自分の王子様がいなくなってしまったショックは大きかったでしょうし、純粋な恋愛感情の表現として理解できます。問題はその抜けた穴を、直前で代役を立てたところです。さらに、途中から成瀬が合流。段取りは先生が手腕を振るいましたが、現場は混乱してしまいますよね。それから、坂上が成瀬を簡単に探し当てるところは、お城の話を聞いていたことも伏線としては弱いような気がします(お城を隠れ家にしていたなどの描写があればわかりますが…)。{/netabare}
なお、2周目では、突っ込みたくなるところも一応は説明しようとする描写があるなど、最低限は配慮されていることに気が付きました。
ミュージカルは、{netabare}ヒロインが2人になった所から観客はついていけなくなるように思われ、最後の歌も、両サイドで違う歌詞を歌うと、致命的に聞き取りができなくなりました。まあ、クラスの出し物ですので、これはこれで良いと思いますけどね。{/netabare}
キャラクターは、デザインは並ですが(坂上はあの花のじんたんを思い出しました)、心情描写は一部(成瀬)を除けば理解できますし、言葉の重要性をテーマにした作品ですので、所々でぐっと来ます(あの花程、うるうるとはなりませんでしたが)。
{netabare}言葉は時に人を傷つけますが、傷つけたことによって自身も傷つく諸刃の剣ですよね。だから、そういう鋭利な言葉は自分のためにもできるだけ使わないように心掛けています。しかし、それに慣れるのもどうなのか。逃げないで切り込んで自分も傷ついて打開しなければならない場面もあるはずですので、逃げるだけの人間にならないように気を付けたいです。それを確認できたのは良かったですね。たまには心で言いたいことを叫ぶ訓練をするのも良いかもしれません。{/netabare}
今回は声優も気が付きました。成瀬はレムの水瀬いのりさん、先生(城嶋)役はココロコネクトの先生(後藤)役でもあった藤原啓治さんですね。
2時間で良作を見たいと思う方にオススメの作品です。
<2022.8追記>
泣けてはいないので、情感を6点に変更しました。
(2016.9視聴、2017.2、2017.6、2022.8調整)