じぇりー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
一緒に観に行った母は、途中寝てたくせにラストはきっちり泣いてましたよ(笑)
これまでに新海作品は「秒速5センチメートル」と「言の葉の庭」を視聴したことがある私にとっては、良い意味で予想を裏切る展開と結末が待っている作品だった。
思った以上にファンタジー要素が強い。遠くに暮らす、当然会ったこともない少年少女が互いに夢の中で「入れ替わる」という現象が引き起こした奇跡。
最初はその入れ替わりに戸惑い、次に楽しみ、最後に逆境に立ち向かうことになる2人―このプロセスが時にシリアスかつ丁寧に、時にギャグタッチに、時にスピーディーに描かれていて、緩急があった。
ヒロインの祖母の言葉がかなりの割合で物語のキーになっているので、これから観られる方はおばあちゃんにも注目。
1度見ただけでは、全てを深く理解するのは難しそうだ。だが、そこまで頭を捻って何かを汲み取ろうと必死になる作品でもない気がする。
作画・キャスト・音楽・ストーリー全てを総括して、娯楽的要素の高い作品と言えそうだ。
私が個人的にいいな~と思ったのは、入れ替わった2人が、それぞれの友人たちと心を通わせていくプロセス。
特に主人公とヒロインの友人・家族たちとの絡みが良かった。
作画は特に光の描写が美しい。彗星の描き方、それを見上げるヒロイン目線の星空はさながらプラネタリウムのようだ。
キャストは、俳優と職業声優とのミックスだったが、違和感なく聞くことができた。ジブリ作品でもそうだったが、神木くんはスゴイ。
ただ、不満というかひっかかった点を挙げるとするならば、音楽自体の良し悪しは別として、その使われ方だ。ここ!というシーンに、(まぁ、映画館なので…)大音量で人の歌声がかぶさってくると、作品と音楽とが邪魔し合っているような感覚があった。
もう一つの不満点は、時代なので仕方がないとはいえ、スマホが主人公たちの行動に寄与しすぎているところだ。
「君の名は。」のタイトルが醸し出す、相手を想う心と、それを知らない・言えないというもどかしさや切なさ…みたいなものに、アナログ的な良さがあるのに、主人公もヒロインもバンバンスマホを使っているハイ・テクノロジー。「矛盾」とまでは言わないが、何だか残念な気がした。
予告動画にある、{netabare}ノートや体への書き置きだけで繋がること{/netabare}は困難だったのか。
今や朝はスマホのアラームで起きる時代なのか。目覚まし時計さえ前時代的なものになりつつあるのだろうか。
目覚まし時計のけたたましい音を、布団をかぶったまま手で叩いて消すのが、従来のアニメの鉄板シーンだった時代はどこにいったのか。
落涙する人も多いと聞く中、涙腺が弱めの私がそれでも泣くことはできなかった理由はこの辺にありそうだ。