101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「月は出ているか?」
私は『ガンダム』シリーズから“戦争映画”の如き性格を見出すオールドタイプの一人ですがw
“戦後映画”の性格を持った、この宇宙世紀以外の『ガンダム』も大好物。
かつて地球とコロニーの間に“大戦”があった。
その後に残った荒廃した地球に打ち捨てられた人々にもそれぞれドラマがある。
戦争後遺症に苦しむニュータイプ兵士、兵器としての意味を取り戻すか否かで揺れ動く改造人間、
先の大戦に不要とされた自らの能力の再評価を求める者たち……。
甘酸っぱいボーイミーツガールから、
ガンダムパイロットになった少年を乗せた地上戦艦が砂埃を巻き上げながら、
旅路の中で、世界各地に点在する戦争の残滓を拾い上げつつ、
ニュータイプ思想など、『ガンダム』がファンに投げかけ続けたテーマについて、
メタフィクション的な視点も交えて問いかけていく。
方々でトラウマを蒸し返していく内容にも関わらず、
月から得たエネルギー源から発射されるサテライトキャノン。
毎回Bパートの引きから流れ込んでくる洋楽バラード(後期は日本語詞になりましたがw)
から次回予告、次回からセリフを切り取ってタイトル表示で締める粋な演出。
などロマンを感じながら視聴できる稀少な『ガンダム』でした。
惜しむらくは放送途中、視聴率低迷による金曜夕方から土曜朝への番組枠移籍と、
併せて行われた1クール短縮。
この影響もあってか、本作が取り組んできたニュータイプ幻想の相対化による、
ファーストガンダム以来のテーマの決着が、言葉足らずとなってしまったこと。
ただそれでも『X』が発掘した『ガンダム』の戦後物が醸す魅力が忘れられず、
これ、宇宙世紀でもやれば絶対面白い。誰かやって下さい……。
そう思い続けていたら、後年、福井晴敏さんが『ガンダムUC』でやってくれました。
こうしてただでさえ埋もれていた『X』は、
『UC』の影に隠れてさらに見えなくなって行きましたがw
私にとっては月を見上げる度に、ふと思い出す大切な『ガンダム』
ROMANTIC MODEが歌う前期OP主題歌「DREAMS」は今でも『ガンダム』で一番好きなOP。
捻くれ者ですが、マイフェイバリットガンダムには敢えて本作を挙げ続けたいと思います。