ヤマザキ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
親の目線でSAOを語る
新作映画公開を控えて再放送が始まったのを機に観始めましたが、途中から面白くなってしまい、dアニメストアで公開されていたので、前倒しで観ました。ちなみに原作未読、オンラインゲームはまったくやりません。
そもそもこのソードアート・オンライン(以下、SAOと略す)に興味を持ったのは以下の3点からです。
・あにこれで評価が高い
・音楽がまどマギと同じ梶浦由記さん
・キャラ原案がゆゆゆと同じabecさんことBUNBUNさん(・・・でいいんだよね?)
1点目については常々書いているとおり、やはりあにこれで評価が高いものはハズレ無しですね。かなり引き込まれました。
2点目。音楽もいいですね。チェロの独奏を活用したアレンジはやはり梶浦さんのもの。素晴らしい。
3点目。・・・あ、そういうえばゆゆゆと同じだったな、ってくらい意識しなかったです。いや、アスナも直葉もリーファも可愛いんですけどね。
さて、肝心のストーリーですが、けっこう良かったのですが、御前、なにせオンラインゲームなどやらぬ口、それどころか、プレステも、ニンテンドーDSも、それどころかテレビゲームだってろくろくやらなかったわけです。もちろんポケモンGOだってやりません。唯一、初代ファミコンは持っていました。大学生の時にドラクエ2が出ましてね、徹夜でクリアした後に「オレはいったい何をやっていたんだろう?」と虚しくなりまして、それでファミコンを捨てたというのが最新のゲームの記憶であります。・・・って、えらく昔の話だな、おい。
だからこのSAOを観ていてふと不安になるんですよね。「オレってホントにこの物語を理解できているのか?」って・・・。気がつくとどっぷりはまれない自分を自覚します。「所詮はゲームなんでしょ?」と。
で、そのあたりの懸念を敢えて無視して感想を書きますが・・・。
{netabare}確かに前半のアインクラッド編は、ゲーム内での死が現実の死に繋がる「デスゲーム」。「これはゲームであっても、遊びではない」の言葉どおりに命がけです。でも、ですよ。実際にこの騒動に巻き込まれた人たち(=ゲーム参加者)は、真の意味で「デスゲーム」ということを理解するんでしょうか?「いつもやっているゲームのように負けたらいつの間にか死んでいた」という状態のように思うんですよね。非常に「命の軽い世界」ではあるのですが、たとえ「デスゲームなんですよ」「負けたら死ぬんですよ」と警告されていても、その点理解できたんでしょうかねぇ?負けてみてそれで初めて死んだことを理解する、そんな(考えようによっては非常に恐ろしい)状況ではないでしょうか?{/netabare}そのあたりのなんというか、「命の軽さ」と「それを理解できない(であろう)プレイヤーたち」を観るにつけて、現実感のなさ、あるいは現実感の希薄さを感じずにはいられませんでした。
そして後半のフェアリィ・ダンス編になって、デスゲームじゃなくなると、そのあたりが余計に強くなります。{netabare}実際、主人公のキリトだって1回死んでますしね。{/netabare}正直なところ、ちょっとダレたなぁ、さらに緊張感がなくなったなぁ、と感じました。それから、{netabare}アインクラッド編で大量の殺人を犯している茅場晶彦に助けられるって展開もなんだか理由がイマイチ理解できないなぁ・・・{/netabare}って思いました。
ストーリー的に良かった点も挙げておきましょう。{netabare}途中、ゲーム内で結婚したキリトとアスナ。なんだよういちゃつきやがって、爆発しろこのやろ・・・、も、もとい、若い者はいいのう、ほっほっほ、と思っていたら、アインクラッド編最終回での美しくも悲しい別れ。そしてアスナが目覚めず、寝たきりになっているという「現実」。ああ、この喪失感。観ていて主人公同様に辛い気持ちにさせられ、ああ、制作陣にまんまとやられたなぁ、と思いました。{/netabare}このあたりのストーリー展開は上手かったですね。
さて、私も人の親であります。そして、キリトやアスナや直葉と同じ、中学生の子どもがいます。もし、自分の子どもがSAOのようなオンラインゲームにはまってしまったらどうでしょうか?私だったら激怒しますね。仕事を終えて家に帰宅すると子どもが夕食の席にいないで自分の部屋に籠もりきり。なにをしているのかと思って部屋に入ると、ヘルメット状のものをかぶってすっかり瞑想状態・・・。これ、親として許しておけないでしょう!オレだったら子どもが学校に行っている間に捨てちゃうな・・・、いやいや、ハード○フに持っていって換金しちゃうな。だって、そんな仮想現実に現を抜かして現実逃避している場合じゃないでしょうよ。さらには子どもたちがみんなこんなのにはまってしまったら、日本は、世界は、どうなるのよ!
というわけで、親目線でこのSAOを観ると、我が身我が家庭に置き換えてなんかイライラし、そして、オンラインゲームの将来が怖くなるのでした。SAOは近未来、2022年から始まる話。そんな近未来になってしまって欲しくないと心から願うオヤジなのでした。