ブリキ男 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
たゆみなく歩いていく夏目の成長を見守りたい
祖母である夏目レイコから受け継いだ"友人帳"を手に、高校生の夏目貴志が様々な妖怪や人との関わりを通して成長していく姿を描きます。
友人帳とはその昔、レイコさんがイビリ負かして子分にした妖怪の真名を書き連ねたもの。主人公の夏目は既に他界してしまったレイコさんの代わりに友人帳に記された名前を持ち主の妖怪へと返していきます。
真名とは魂そのもの。他者に掌握されればその身の自由を奪われます。ゆえに妖怪たちは友人帳を狙ってその所有者である夏目に目を光らせます。友人帳とは何なのでしょう?
今の世で言えばアドレス帳やメールリスト? それよりもずっと重い印象があります。厳格な意味を持つ言葉ですが、契約という言葉がそれに近いものかも知れません。それは主従関係を結んだ契約、あるいはレイコさんと妖怪たちとの思い出。だから本来の所有者ではない夏目は、レイコさんに代わってそれらの大切な秘密を元の持ち主に返すのかも知れません。
私には本物の妖怪は見えないけれど、私にとってのあにこれ、延いてはネット全体は妖怪の住まう場所。ここには肉体の枷から解き放たれた霊だけが宿ります。優しい妖怪もいれば怖~い妖怪もいる摩訶不思議な所なのです。
微笑を浮かべて心を隠して毎日を生きる夏目の姿に、かつての自分の姿を重ねながら、妖怪との交流を通して成長していく夏目の姿に、あにこれの人たちとの関わりを通して変わっていく自分の姿を重ねながら、たゆみなく歩き続ける夏目のうしろを追って行きたい誘惑に駆られました。
夏目の未来には何が待っているのでしょう。内に秘めた夏目の優しい想いが妖怪たちにだけでなく、いつか夏目の周りの人たちにも伝わっていく事を祈りつつ、その行く末を見守っていきたい。
願わくば、私にもニャンコ先生みたいに面白くて頼りになる道連れが傍らにいれば、道行きも明るくなろうものと、夢みたいな事を思ってしまうブリキ男なのでした(笑)