STONE さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
前半は我慢が必要かも
「新世紀エヴァンゲリオン」以降、その影響を受けたような作品が幾つかあったが、この
作品もその一つかなという印象。
いわゆる「ポスト・エヴァ」みたいな話になるとセカイ系の話になったりしちゃうけど、
ここでの影響は謎めいた設定や世界観、少年少女の精神性に重きを置いた鬱的展開のロボット
アニメという部分で。
冒頭の平和そうな離島が一皮剥けばハイテクノロジーの防御設備満載で・・・、という展開に
引き込まれるが、以後は正直ウーンと言ったところ。
竜宮島を襲うフェストゥムと、島を守るためにファフナーに搭乗する少年少女といった
図式や、ファフナーと搭乗者の関係性など、ちょっとエヴァに似すぎ。
またキャラの心情描写や展開など、描写不足やメリハリの悪さを感じるが、この辺は後半に
なると解消されており、テンポ感などは明らかに序盤と異なるので、調べてみたところ脚本が
代わっていたんだね。まあ納得。
展開の方も、新国連という竜宮島と敵対する人類の組織が登場したり、フェストゥムも
様々な行動を取る存在がいることが判るなど、内容に重層性が感じられるようになってから
俄然面白くなっていった。
エヴァの方がテレビシリーズにおいては終盤、主人公の精神的問題描写に完全シフトして、
ストーリー展開自体は投げっぱなしだったのに較べると、それなりにうまくまとめられている。
ただ、人類とフェストゥムの邂逅からの歴史の一部だけを切り取った印象で、前史もあれば
アフターストーリーもありそう。
ストーリー展開自体は劇中描写だけでも追えるし、キャラの会話などから過去に何があった
とか、劇中で直接描写されなかった部分などはある程度は推測できるが、それでも詳細な理解は
本作だけでは無理といった感じで、何らかの別媒体の補助が必要な作品。
いわゆるバトル展開という部分においては次々と子供達が倒れていく展開はとにかく
痛ましく、犠牲がないと前に進めないのか?と思ってしまうほど。
子供達が前線で戦う中、大人達は因子の関係上戦うことができず、バックアップしかできない
というのも、彼らの心情を思うとこれまた辛いことだろうという感じで、より痛ましさを
感じさせる。
このバトルの合間に描かれる日常も、平和を伝えるために意図的に作り出された日常といった
感じで、こういった部分にも哀しさを感じてしまう。
宇宙から来た存在と戦うという図式においてはいわゆる侵略モノなのだろうが、
フェストゥムと人類というまったく異なる行動様式の存在が接触したために生まれた悲劇と
いった部分などはコンタクトモノの側面を強く感じる。
そういう意味では、解決への糸口が相互の理解にあるというのもらしいと言うか。
作品全体に強く感じるのが自己認識といった概念で、ミールの発展性などのスケールの大きな
部分から、竜宮島の子供達が自分の役割、居場所を探すといった局地的要素まで含めて、
自分という個をどう捉えるかといったテーマ性があるみたい。
様々な名称など神話からの引用が多いが、多くの神話がその神話を語り継いだ民族の歴史に
深く関与しているように、この作品で描かれた内容も人類とフェストゥムの歴史における新たな
神話になるのかも。