しもん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ペットは可愛いから飼いません。
ペットは可愛いから飼うものらしい。でも、ペットは望んでペットになったのだろうか。そのペットを愛でる行為は、ペットにとってどんな意味を持つのか。
ペットを家族だと言い張る者がいる。彼はペットを人間に見立てているのか、自分達と同格の存在だと言う。しかしペットにとっては飼い主に依存していることに変わりはない。一方的で強権的な関係だ。
ペットはある種の奴隷のようなものなのだ。少なくとも、動物を可愛いと思うほど感情移入してしまう僕にとってはそうだ。だからペットを飼うのは極力避けたい。
愛でるというのなら人形なら大丈夫だ。だって人形には命がない。相手の意思なんてない。
人間の子供はどうか。親と子の関係。これもやはり、一方的な関係になる。子供が小さなうちは特に。だったらペットのとき同様、育てる気は起きなくなるのかもしれない。
思えば人形だって、愛でるときには特別な感情が起こる。幼少期、人形遊びをしていた頃を思い出せばわかる。それは感情移入だったのではなかったか。
ペットにも人形にも子供にも、支配と隷属の関係という影が見える。対象に感情移入しようとした途端、不安になる。ペットも子供も人形も、だんだんと同じに見えてくる。
そもそも愛とは何か。
僕には、それが美しいものとは思えない。自らつくりだした幻想にすがりつき、離れようとしない。とても誇るべきものとは言い難い行動として現れる。
押し殺してきた欲求が、捻れ、歪んだ結果生まれたものならば、
愛はきっと、
どれも醜いかたちをしている。