てけ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
破天荒な話に見えるけど、テーマはばっちり!
オリジナルアニメーション。
互いの傷を繋ぐ「キズナシステム」により繋がれた高校生たち。
痛みを分け合うことで本当の繋がりを得る、という説明を受けるのだが……。
面白いですねぇ。
冒頭だけを見るとシリアスなバトルとかそっち方面に見えます。
ちょっと進むと、はちゃめちゃなゲームに巻き込まれる、カイジとかライアーゲームとかそっち系の作品に見えます。
……でも実は甘酸っぱい青春ドラマだった!
この作品、設定はゆるゆるです。
キズナシステムがどういう仕組みなのかとか、バックボーンはどうなっているのかとか、
設定部分にはあまり触れません。
また、特筆すべき伏線もありません。
流れに任せ、トラブルが次々に降ってくるタイプのアニメです。
{netabare}
かっちょんとのりちゃんが知り合いだった、ってのはわかりやすすぎるし、よくある設定。
当たり屋の話をしたあとにかっちょんが当たり屋みたいなことをやったり、小ネタは効いてるんですけどね。
{/netabare}
キャラクターも、一般的な感性からは理解しにくい思考の持ち主。
これからどういう行動を取るか予想がしにくいです。
ですが、そんな彼らの人間関係が構築されていくさまを見るのがとても楽しい!
たしかにキャラクターは変人揃いで個性的。
しかし、内面は歳相応の少年少女であり、悩み、あこがれ、恋をする。
クラスメイトという設定はあるものの、親密度はほとんど0です。
そこからどうやって1になり、2になり……と進んでいくのか、
各個人の立場から丁寧に描いています。
各個人によって違う、つまり、メンバーに温度差があるのがポイント。
「一緒の境遇だからもうお友達!」という人もいれば、いつまでたっても「強制的に繋がれただけのあかの他人」という人もいる。
グループとしての達成度ではなく、最後まで個人の考え方を重視しているのがいいですね。
この温度差をどう埋めていくのか、どこが落とし所になるのか、少しずつ模索していきます。
設定もキャラも破天荒に見えますが、芯はしっかりしています。
「繋がる」とはどういうことか、「友達」とは何か、テーマはぶれることがありません。
{netabare}
心の中が見えればすべてうまくいくか。
決してそんなことはない。
人の心の中なんて汚いもので、きっと聞きたくない言葉がどんどん胸に突き刺さる。
アニメ内の表現なんてまだマイルドなほう。
わからなくたっていい。
むしろわからないからこそ「わかろうと努力」できる。
それが「繋がる」ってことの本質なんじゃないか。
シンプルながらいいテーマ、いいまとめ方です。
{/netabare}
こういう話好きですねー。
特殊な環境に置かれた特殊な人間関係を扱った思考実験。
それでいながら、扱っているのは普遍的なテーマ。
そして、大事な場面では共感できる心理や行動をちゃんと表現。
作るのが非常に難しそうですが、うまくまとめ上げていると思います。
映像もすごく活き活きしていました。
綺麗だとかリアルではなく、動きを重視した「アニメーション」。
電撃ビリリのリアクションとか昭和チックで好き。
表情豊かで見ていて飽きませんでした。
良かったよ!