いけこ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
良い作品ではあったものの1度見ただけではしっかりと理解できず世間の評価に違和感。考察付き
※予告の範疇を超えるネタバレは隠しています。
これから見る方に要点だけお伝えすると
・今までの新海作品の中で一番綺麗(アニメ最高峰の綺麗さ)
・秒速や言の葉よりも星を追う子どもや雲の向こうに近い。(ファンタジー寄り)
・これまでの新海作品に比べシナリオがかなり複雑。監督変わったのかと思うくらい。
・故に初見時の過剰な期待は禁物。
・ちょっと複雑なので一度見てよく分からないならもう一回見ると違和感が氷解してすっきりします。
・新海作品を見たことがある方、確かに結末はいつもとは違いますがやはり余韻を感じられる終わり方という点は変わってないです。
と言った感じになります。
私の中では新海作品はあまり万人受けしないイメージがあったのですが、いざ映画の放映が始まると巷の評価は絶賛の嵐。これは何かがおかしいと思い、映画館に足を運びました。
とりあえず一度だけ見てみたのですが、今までの新海作品に比べると時系列等が非常に複雑で、良い終わり方ではあったものの結局何だかよく分からない作品だなあというぼんやりとした感想を抱きました。
隣で見ていたカップルも「綺麗だけどよく分かんなかった」と口にしており、個人的には1度だけ見た人の半数ほどはこのような感想を抱いているのではないかと思います。(と思った割には絶賛の嵐でありすごく不思議である)
見た方はわかると思うのですが、今作は主人公の入れ替わりと{netabare}3年間という時間のズレ{/netabare}が合わさり、観客側としては「今三葉の中にいるのはどっちだ?{netabare}今は彗星の落下前?後?{/netabare}」と少し混乱してしまいます。
この映画の良さを理解するには、1度見終わった後に頭のなかを整理して、もう一度確認のような感覚で見に行くことが一番良いのではと思いました。
私は最終的に3回見に行ったのですが、1回目によく分からなかったけど2、3回見て腑に落ちた点を記していこうかなと思います。
{netabare}まず初見時に個人的に一番良くわからなかった点である糸守町の結末についてです。
最終的には町長が避難訓練という形で町民を学校の校庭に避難させて隕石の落下による被害者は最小限に抑えられたのですが、なぜ半信半疑の町長がその決断に踏み切ったのか。
それは最後に説得してきた三葉の中身が瀧ではなく三葉だったから、また三葉母と町長の間でも昔入れ替わりが起きており、今回の騒動の中で三葉の発言がただの宮水家の妄言ではないのかもしれないと考えを変えたためと考えるのが一番しっくり来るのではないかと思います。
町長の過去の入れ替わりの根拠としてはお婆さんも過去に入れ替わりの経験があることから宮水家自体にその能力があること、「妄言は宮水の血筋か」という発言でしょうか。(普通は娘の様子がおかしくても「お前は誰だ」なんて言葉は使わない気がするしそこも根拠に入れてもいいのかも)
また、町長が三葉に向かって「お前は誰だ?」と質問したときの三葉の中身と三葉がもう一度説得してきた際の三葉の中身の違いに気付き、ようやく三葉の発言を少し真に受けるようになって避難訓練という形で避難させたのだと思います。
2つ目は全く起こらなくなった入れ替わりが口噛み酒を飲むことでまた入れ替わることができた理由です。
初見時はファンタジーだからその辺はざっくりなのかなーと思ったのですが、ちゃんと劇中でお婆さんが「米でも酒でも何かを体に入れる行いも結びという。体に入ったものは魂と結びつく。」また、口噛み酒を祠に備えに行く際も「お前の大切な半分を置いていくことになる」という発言をしていることから、口噛み酒を飲むことによって瀧と口噛み酒に宿った三葉の魂が結びついて入れ替わりを可能にしたのだろうと思います。
また、論理的には完全に破綻してるのですが、瀧と三葉が入れ替われた理由も結びという観点においては瀧が三葉から渡された組紐を持っていたからではないのかと思えたり思えなかったり。
(組紐を渡すためには入れ替わりの経験の必要があり、鶏が先か卵が先かのジレンマに陥ってしまいますが、そこを無視すると)入れ替わりが起きている間は三葉も瀧も同じ組紐を持っており、それを三葉が3年前の瀧に渡してしまったために入れ替わりができなくなったと解釈すると面白いかなと思います。笑
また、入れ替わった際にお互い3年の時間のズレに気づかないという点に違和感を覚えたのですが、これに関しては何度見ても3年のズレに気づかない明確な理由は見つからず、そんなに深く考えられていないのかなあと思いました。(三葉が休日と平日を勘違いする描写は時間のズレのヒントになってはいるものの、初見時にそのシーンのみで年単位の時間のズレが起きているということに気づくのはやや難しい気がする)
まだ考察したいことがあった気がしたのですが、書いてる間に忘れてしまったので一旦ここまでにします。{/netabare}
あと一つ気になったのは、私自身RADWIMPSはかなり好きなのですが劇中歌が少し主張しすぎているような気がして映画の途中に流れるのはちょっとどうなのかなーと思ってしまいました。
個人的な新海作品の順位としては君の名は。を一度見ただけの時は
1.秒速5センチメートル
2.星を追う子ども
3.雲のむこう、約束の場所
4.君の名は。・言の葉の庭(同率)
…
でしたが、複数回見て色々ともやもやが解決した結果、
1.秒速5センチメートル
2.君の名は。
3.星を追う子ども
…
となりました。笑