どらむろ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ジワジワと楽しくなる、日常系ホームコメディーの金字塔
「この物語は南家3姉妹の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください。」
…というフレーズがピッタリとハマる、日常系コメディーです。
一見するとギャグも萌えも地味に見えるのですが…過度な期待をしなければ…
最高に愛おしくなります。
2016年現在4期まで放送された人気作品であり、萌えとコメディー要素のある日常系アニメの代表格です。
…久々観返しても面白さ可愛さ一向に色褪せていなかった辺り、やはり名作だと再確認しました。
{netabare}『物語』
高校生の長女ハルカ、中学生の次女カナ、小学生の末妹チアキの南さん家の三姉妹が、仲良し…なんだけど姉妹特有?の遠慮の無さで、それがコメディーになったり、可愛らしかったり。
主にトラブルメーカーないたずらっ娘カナが、おませな優等生だけど毒舌なチアキにちょっかい出して、ドタバタ騒ぎ…母親代わりの長女ハルカが要所を締めて、ちょっぴり楽しいホームコメディーみたいに…。
カナとチアキはケンカばかりだけど、本当は姉妹らしい思いやりとやさしさが根底にあるのも良い。
…熱出したカナを、チアキが看病する話は、本当に仲良しなんだなぁと姉妹の絆にほっこり。
カナとチアキがハルカ姉様の為にケーキ作る→カナ食べちゃう→チアキ激怒→カナ反省して落ち込む→ハルカ「もう一度みんなでつくりましょう」ハルカ姉さま天使か!?
この回も自然な姉妹感出ていてほっこり。
小学校・中学校・高校と軸が3本あり、それぞれの交友関係の広がりが、南家を中心に楽しく交わっていく。
小中高の友人たちも個性派揃いな事もあり、カナ(時々チアキ)の奇抜な発想や行動が化学反応を起こして…毎回可笑しな展開に。
本作の特徴はこの交友関係の広がりで、1話1話はもちろん、連続視聴しても驚く程に飽きさせない。
また、男の子も多いのも特徴、男子勢が翻弄されたり、勝手に迷走したりするのも面白可笑しい。
しかも、男の子(男の娘)も可愛いんですよねぇ…。
ここでも小中高の立ち位置の違いが絶妙。
小学生はマコト(バカな子供)やシュウイチ(優等生、プレーンヨーグルト)が男女区別なく仲良しな感じ、中学生は藤岡がカナに純情な微笑ましい恋心抱くがカナが予想斜め上を行く性格の為空回り、そして高校は保坂先輩が完全に蚊帳の外な変人…と、主要女子グループに対する男子の立ち位置や距離感が小中高でうまく分かれているのが面白い。
ここら辺の世代的に違和感の少ないキャラ配置も何気にみなみけの特徴、しかも小中高と3軸が混ざって楽しい感じになる作風は、他に類を見ないです。
ラブコメの波動を感じる要素も藤岡とカナ、リコと藤岡の中学生組が微笑ましい一方で、絶妙に報われなさが(かわいそうだけど)コメディーに。
小学生のマコトが南家長女ハルカさんに憧れる微笑ましいオネショタ…も、稀代のイタズラメーカーなカナのせいで何故か「男の娘」に…かわいい。
…これ程に男女共に交流しつつ、ビックリするくらい自然にラブコメの波動がヘシ折られる、ある意味日常系として抜群の安心感が凄い。
結構修羅場回もあったのに、終始コメディーが崩れない。
個別ネタでは「先生と二宮くん」が笑える。
作中の連続ドラマで男女が「先生!」「二宮君!」としか喋らない…
南家のお茶の間を気まずくする等のホームコメディーの一助になったり、唐突に始まってマンネリ感を打破したり。
カナとチアキが遊んだゲームは爆笑でしたw(格闘ゲームで「先生!」「二宮くん!」で殴り合う)
チアキが石ころに名前を付けて蹴りながら帰宅する話も、ノスタルジーと可愛さで和みます。
…ギャグも萌えも、他の似たジャンルに比べて抜きん出ている感じはしないのですが。
でも、1話1話も、全体通しても、「過度な期待をしなければ」抜群の安定感で楽しめるフシギな作品です。
軸がしっかりしている上での、豊富なキャラ同士が自然と交わる雰囲気が良いのでしょう。
基本1話完結な一方で連続ドラマな側面あり、(主にカナが)起こしたトラブル(男の娘マコちゃん誕生など)の影響が連鎖反応で可笑しな事になっていったり…
軸がしっかりしている安定感からの、絶妙な化学変化。(特に男子が)結構綱渡りなハラハラ感もあったり。
これが終始飽きさせないんですな。
…女尊男卑感をあまり感じないのも好印象。
いや、藤岡の恋が悲しい程にカナに通じず「お前の軸足は死んだ!黄金の左は死んだ!」と理不尽に蹴られたり、マコトはチアキに容赦なく毒舌浴びせられたりカナに女装させられたり、タケルおじさんは色々と気の毒だったり、保坂は速水にイジられたり、もう一つの南家の兄弟たちもハルカ姉様にビビったり等々…あれ?
うーむ、やっぱり女性陣が強い。
その割には、何故か本作は不快感少ないです。
何故なのか?うまく説明できないもどかしい…。
…これがみなみけの良さといいますか、小中高のコミュニティーの絶妙さなのかも。
藤岡に関しては、本人視点では結構幸せそうだったり、視聴者目線では結果的に報われてたり(本人気付かないけれど)するので、これも男子が不遇過ぎる感を和らげているのかも。
余談ですが。
原作の桜場コハル先生は男性作家、掲載誌の週刊ヤングマガジンは男性漫画誌。
この手のジャンルは殆ど女性作家か、芳文社・スクエニ系が主流な中で、本作は異端かも。
…もうひとつ余談ながら「過度な期待はしないで下さい」というフレーズ、私大いに気に入っており、レビューで多用しております。
大概のアニメは「過度な期待をしない」事が楽しむコツなので。特に萌え系や日常系は。
セカイ系も然り、過度な期待ハズレは損だと思っている。
『作画』
キャラデザにクセはありますが、可愛いです。栗みたいな口かわいい。
若干ハンコ絵な感じも、あまり気にならないのも本作の特徴。
時折リアル顔になるのも面白い。
ハルカ姉さまが専らエロ担当だけど、お色気面は控え目なのも、ホームコメディーとしては安心感。
チアキとカナの追いかけっこなど、カメラワークも魅力あり。
『声優』
ハルカ姉さまの佐藤利奈さん、カナの井上麻里奈さん、チアキの茅原実里さん他、男女ともに豪華かつハマリ役多く、また本作がデビュー初期な人気声優多数。
ハルカ姉さまは超電磁砲の御坂美琴と並び佐藤利奈さんの代表役、優しいお姉さま系も絶品です。
カナの暴走っぷりやチアキの毒舌おませ小学生も、井上麻里奈さん茅原実里さんの好演大きい。
ボーイッシュな女子小学生冬馬の水樹奈々さん、おバカ小学生内田の喜多村英梨さん、大人しいけど天然女子小学生吉野の豊崎愛生さん等々、可愛いです。
マコちゃんの森永理科さんも、溢れるダンディズムもとい可愛さがバツグン。
藤岡の柿原徹也さんは、グレンラガンのシモン。井上麻里奈さんのヨーコとは、奇しくも片思い繋がりだったり。
…そう思うと、余計に可笑しい。
隠れMVPは保坂の小野大輔さん、保坂のきもちわるさに拍車をかける熱演見事。
…先生&タケルおじさんの浅沼晋太郎さんも注目。
この方も2007年声優デビューなんですね。
『音楽』
OP「経験値上昇中☆」ED「カラフルDAYS」共に南家三姉妹(佐藤利奈さん、井上麻里奈さん、茅原実里さん)が歌い、楽しく雰囲気に合った良主題歌です。
『キャラ』
南さんの三姉妹初め、小中高と男女ともに豊富で面白いキャラ多数。
次女の夏南が起点となる事が多く、強いて主人公1人挙げるとすると彼女か。
おバカで元気いっぱい、発想が面白く、隙あらば何か面白い方向に転がそうとする天性のトラブルメーカー。
言動や表情で色気感じさせないけれど、黒髪ツインテールで普通に美少女、藤岡が惚れるのも納得。
私的に一番好き。
三女の千秋は小学生なのにマセていて毒吐きまくる、気難しそう…でも実は小学生相応の反応が可愛らしく、夏南にちょっかい出されてのリアクションに萌え。
春香に対しては春香姉さま呼び、次女への態度の差も萌え。
(萌え面で)夏南とは方向性の違う天才児、こんなに可愛い女子小学生は中々いない!
長女の春香は一歩地味…かと思いきや、回が進む程に真の実力者っぷりや完璧超人に思えて実はだらしない一面など、たまらない可愛さが判明していく。
母親代わりな包容力もステキ、保坂ならずとも憧れるのは分かります。
もうひとつの南家の末っ子の冬馬も男の子みたいだけど、実は千秋よりも女の子…
男の娘というよりも女装男子な小学生マコちゃんも逸材。
そのおバカっぷりも、「俺には隠し切れないダンディズムが!」といいつつ女子より可愛かったり。
2007年度、男の娘キャラの代表格の1人かも。
藤岡も純情で良い子なんですが、ライバルに対しては攻める時は攻める気概が良い。
保坂先輩のキャラが強烈、この人は出てくるだけで笑いを取れるタダ者ではない。
高校組も逸材揃いでした。{/netabare}