けみかけ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
一昔前なら『CLANNAD』二昔前なら『AIR』だったkeyへの扉を開く“良くも悪くもkeyらしい”新・key入門となる一作
『AIR』や『CLANNAD』、最近だと『Rewrite』などを手がけたゲームブランド「key」が2004年にリリースしたヴィジュアルノベルが原作
2016年7月からwebアニメとして配信された全5話をまとめ、さらに後日談となる小説作品『星の人』の内容を補完したのが今作です
117分
戦争によって滅び行く世界
外界は豪雪で閉ざされ、文化や技術も失われつつあり、世界人口も10万人を切ろうとしていた
教会の聖堂で細々と暮らす女性と子供しかいない集落で、外界で瀕死に迫っていた一人の老人が保護された
彼はいまや消失した文化の一つであるプラネタリウムを上映する旅人、「星の人」だったのだ
星の人に興味を持った子供たちは彼の元に足しげく通うようになる
星の人とプラネタリウムの出会いは、世界がまだ雪に閉ざされる少し前にまで遡る事になる
ほしのゆめみ、というプラネタリウムを案内する少女型のロボットに出会った日のことだった・・・
我々にもごく身近な幻想体験であるプラネタリウムをテーマに、ディストピアでのボーイミーツガールを描いた短めの原作は数あるkey作品、如いては泣きゲー全体の中でも特に洗練された一作として評価が高いです
これを原作へのリスペクトに厚い『ジョジョ』のテレビシリーズや『犬×僕SS』を手掛けた津田尚克監督率いるdavid productionがアニメ化しました
津田監督は『ジョジョ』との掛け持ちになるにも関わらず仕事を引き受けた理由を、「大のkey作品ファンなので今やらないと後悔するから」と語っておられましたねw
唯一のヒロイン、ゆめみちゃんをかわいく描くことはもちろんですが、どこか見覚えのあるディストピアの街並み、CGで描かれる大型プラネタリウムとその上演
と、まあ10年前ならいざ知らず、現代の世にアニメ化するならここまで出来る!というのを見せ付けてくれた様に感じ、たかがwebアニメの総集編と侮れない見応えがあります
後半、海老川兼武がデザインした多脚戦車との戦闘はやはりアニメならではの迫力を感じることが出来るでしょう
(そもそもゆめみが可愛いか?というツッコミはやめて下さいw可愛いの基準には個人差がありますw)
その一方で登場人物も絞られていて非常に短くまとまった映画に仕上がっております
これまでのどのkey作品の映像化よりも洗練されており、keyへの入門として一昔前なら『CLANNAD』、二昔前なら『AIR』を薦めるところではありましたが、本作が完成したことでいま新たにkeyという扉を叩く者が現れたら、オイラは迷わず本作を入門篇としてオススメすることでしょう
そしてもちろん、keyを知る人ならわかっておられることでしょうが【なんせ本作はkey作品です(笑)】
泣かせに来るのがkeyですw
むしろ「泣け!」と半ば脅されるのがkey作品なわけですw
オイラは終盤、目に涙を浮かべながら「こいつ今から死ぬって言うのによく喋るなぁ…」とか思ったことはもはや特筆すべきことではないでしょう!?w
この作品をすんなり受け入れられたのなら、あなたはkeyへの耐性というか適応が出来る人間なのだと胸を張って言ってよいことでしょう
つまり本作、入門篇でありつつ泣きゲーのリトマス試験紙なんですね