我儘という正義 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
そして惑わない様、再び我儘という灯火を灯して歩く
今の現実と地上は殆ど同じだ。
今ある環境に胡坐をかいて、今自分がどうして生きているのか、どうしないといけないか見ようとしていない。
今の自分たちは、沢山の命の犠牲の上に成り立っている。
直接手はかけていなくても、自分の代わりに死んでいく何処かの誰か、食物として殺される生命、その他大勢の命。
そんな、沢山の命を紡いで人は今生きている。
生きたいと願った者がいた。
叶えたい夢があった者がいた。
そんな想いがあったのに人は何も考えずにのうのうと暮らしている。
そんな事が本当に許されるのだろうか?
だから、自分は自分の我儘を押し通す。
たとえ、叶わなくても。
それが自分に出来る責任の取り方で生きるという事だ。
妥協だらけの人生じゃ満足できるはずがない。
死んだ者の分まで自分たちは自分の人生に満足しなくてはいけない。
半端じゃだめなんだ。
死ぬ事なんて当たり前で戦争が起こる事も当たり前なんだ。
平和なんて耳障りの良い物に騙されて、甘えるな。
自分の大切な物は自分で守れ。
人に組織に守ってもらおうとするな。
虚偽の平和が続いたって何も変わらない。
何も変化しない。
形骸化していくだけだ。
吉井と自分は同じだよ。
運命に抗う人間が好きなんだ。
人間の可能性が。
吉井は決して間違っていなかった。
ただ、既に退廃の風が人の心を汚染してしまっていた。
吉井が地上から降りて来た様に櫟士も降りて来た。
想いを紡ぐ為に、生きる為に。
櫟士には分かるのだと思う。
昔の彼がそうだったから。
死に際で生きたいと願う気持ちが。
ただ生きているだけ。
でも、生きている。
今生きている自分も、今存続している人類も、滅亡する機会なんていくらでもあった。
昨日死んでも良かった、今日人類が滅んでも良かった。
でも、生きている。
生きているというのは異常なんだ。
死んでいることの方が正常なんだ。
沢山の我儘を紡いで今生きている。