はあつ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
新海誠監督の過去作品からの期待によるもどかしさ
新海監督ならではの美しい映像に、監督自らが仰ってた「退屈させない」ストーリー展開は、多くの方が絶賛されるとおり、見応えのあるエンターテイメント作品だと思います。
論理的な物を好む方には向いていないかもしれませんが、青春物が好きな方ならオススメです!
以下はネタバレになる、評題の監督の過去作品(主に「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」)から私が勝手に偏った期待をして、もどかしく感じた点についての感想文ですが、グチっぽい酷評気味の内容ですので、今作に不満の無い方は決して見ないでくださいね。
{netabare}
二人の心情に浸ることができなかった~
私の感度の低さが悪いと言われればそれまでですが・・・
前半では、目覚めた時の涙で「好き」になってるんだとは分かりますが、そこまでのコミカルかつ、激しい場面転換の中でも、「惹かれ合ってるんだな」とか「ときめいてるな」と感じれるシーンがもう少し欲しかったです。
後半は「町民を守るため」の行動を描く必要があり「彼女を救いたい、彼に再び会いたい」想いの描写が薄まった感がありました。
過去作では2人の心情にフォーカスをあてて、モノローグや情景を積み重ねてあり、相手への募る想いが切なく伝わったんですが・・・
美しい映像美に酔う事ができなかった~
新海監督の魅力の一つである風景描写。今作も期待どうりの美しさでしたが・・・
私は過去作で、桜の舞い散るさまに儚く叶わない恋心を重ねたり、雨の激しさや波紋に募る想いを掻き立てられたりといった、普段目にする景色を、息を呑むほどの美しい映像に変えて、ストーリーの情感を際立たせる点が魅力に感じていたんです。
でも今作では、彗星の空は、光と色が美しく華やかでしたが、迫り来る災害への不安とマッチしませんでした。
また、かたわれ時の出合い(自分的には一番テンションの上がったシーン!)の背景も監督らしい美しい作画でしたが、キャラの線が全面に強くて映像を堪能できませんでした。
楽曲の挿入が・・・
ファンの方に気を悪くされないでほしいです(アーティストさんの爽やかでポップな曲はピッタリでした!)が、途中の歌声は入れてほしくなかったです。キャラの強い想いをセリフにしてる少ない場面で声がかぶるのは辛かった~
前作のラストでは、ヒロインの心情吐露の直後のエンディング曲が、感動の余韻を膨らませてくれる鳥肌物の出来だったので・・・
最後に
ストーリー全体の感想としては、過去作と違いハッピーエンドで終わるのは全然ありなんですが、話を広げた分、まとめ方に粗さが目立つように感じました。特に「避難訓練で助かりました」だけでは呆気なく感じられました。
1クールのアニメドラマの尺があれば、前半では恋心の昂まりを、終盤には父親との和解、友達が報われる場面など見せ場をつくれたのでしょうけど・・・
以上、不満ばかり述べましたが、今作で間違いなくメジャー監督になられた新海監督に、宮崎監督や細田監督とは違う、新海監督らしい更なる驚愕の映像と感動のストーリーの製作を期待しているんです。
何せ、作文の苦手な私に、初めて(で最後の?)レビューを書かせるだけの魅力がありますもん!
{/netabare}