101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「あの夏は憧憬」
原作カードゲーム『WIXOSS』は未プレイ。
と言うより、課金ゲームアプリ並の金食い虫であるトレーディングカードゲーム自体、
食わず嫌いを通している私にとっては興味の対象外であったはずの本作。
けれど番宣CMにて、この娘たちはカードゲームで、
一体、何を絶望、絶叫しているのだろう?
といった感じで気になる存在になり、新作放送前に遅ればせながら視聴することに。
男である私としては、鬱要素と言うより、
本当は怖い女の子の禁断の園に足を踏み入れてしまったという感覚w
例えば萌えキャラを悲惨な目に遭わせ、本性を暴いたりする作品は、
深夜アニメでは結構ありますがw
本作の描写には妙な迫真を感じました。
特に{netabare} アキラッキーの精神攻撃えげつないですw{/netabare}
気になってスタッフ陣をチェックしてみたら、
構成、脚本等に女性陣が結構いらっしゃる。
私もあまり男だから女だからとは言いたくありませんが、
昼ドラ風味の女の修羅場だけでなく、
主人公少女と祖母、祖母と母の関係性の描写といい、
本作は男だけでは作るのが難しい話だと感じました。
物語上ゲームと現実世界がリンクする描写が必須な本作ですが、
その中でも 特に印象に残ったのは、
冒頭の {netabare}ビルが完成して、棒が入ったら街が消えそう。
という伏線張りも兼ねたばあちゃんの一言。
昔、落ち物パズルゲームの『テトリス』をやり過ぎて、
似たような着想を得た私としては、
世界には自分と同じイカれた妄想を繰り広げる方がいらっしゃるようだと分かり、
何だかホッコリしましたw
ゲームとリアルの境界を揺らがせる有効打だったと思います。{/netabare}
本作では特にBGMがお気に入り。
蝋人形館に流れていそうなミステリアスなピアノ音等から、
クラブミュージックの如き電子音満載のバトルBGMへ……。
振れ幅が極端で、好みが分かれそうな味付けではありますがw
本作のBGMは、正しく劇伴に徹していて好感できます。
曲自体は時に音楽未満の旋律だったり、電子の爆音だったり、
さらには旋律自体が外れ壊れていたりしますが、
それらが揺れ動く展開やキャラの心情に、良い意味で隷属しています。
ミステリアスから電子音へという個性的な風味が、
主題歌にまで浸透していたのも得点が高いです。
ある回でOP主題歌にバトル効果音等が付されたのも印象的。
主題歌CDも売りたい昨今のOPアニメーションではあまり見られない手法。
往年のロボットアニメなんかに多い表現で懐かしく拝見させて頂きました。
それ以上に私が好きなのが、Cyuaさんが歌うED主題歌。
音響方針と一体になった編曲だけでなく、
歌詞世界も物語やキャラの心情にリンクして心を揺さぶられました。
“届かない夏雲 揺れる陽炎
いつか取り戻す 笑顔の場所”
――――――――――――――――「あの夏は憧憬」