猿の尻尾 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
新海誠の集大成であり最高傑作
新海誠の作品を少なからず好意的に思っていた人間にとって、これはご褒美のような作品だ。
繊細で儚く、情緒的で切ない。新海誠作品といえばそんなイメージが浮かぶ人が多いだろう。
細部まで描き込まれた美しい背景と文学的なモノローグ、緻密に描写される主人公達の心情。
そういった所謂新海節に心を打たれ、その作品群に心を奪われてしまう。
今作もそんな新海誠らしさはノリノリに発揮されていて、冒頭の美しい風景を見せながらのモノローグで「ああ、これこそが新海誠だ」と久しぶりの彼の新作に嬉しくなってしまった。
そんなファンだからこそ打ち震える物語の結末に私はただ呆然とした。
瞳から涙こそ流れなかったものの、スタッフロールが終わり劇場の照明が点くまでの間、余韻がこれでもかと体の中を駆け回り幸福という感情を心に撒き散らしていた。
新海誠が好きだし、彼の作る作品は大好きだ。そう偽りなく思っていたとしても胸のどこかで例えようのない不安感、あるいは物足りなさを感じていた人は多いのではないだろうか。
そんな人に是非見て貰いたい。
新海誠は間違いなく才能のあるアニメーション演出家であり作家なのだと、確信を持って胸を張れるだろう。
彼の作品を少しでも好きだと思った人、アニメーションが好きだと言う人、劇場で作品を観るのが好きだと言う人。
そんな人は是非、この最高の青春エンタメを楽しんでください。
きっと後悔はしないでしょう。
最後に1つだけ不満を述べるとすれば、これ程の作品を作ってしまったのだから今後の作品が非常に不安です。
作る側も観る側も一生忘れられないような作品ですから。
何とか引きずられず次回作に取り組めれば良いのですが……。